問題
この設問は2012年(平成24年)に出題された設問となります。
正解は 4 です。
民法419条3項では、金銭の給付を目的とする債務の不履行については、不可抗力をもって抗弁とすることができないと規定しています。したがって、Bの責に帰すべき事由によらず、返済期間が経過した場合でも、Bは債務不履行に陥り、Aに対して遅延損害金の支払い義務を負います。
1.Aが信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、不法行為には該当します。しかし、契約を締結しただけでは債務不履行の問題は発生しないため、Aが債務不履行による損害賠償責任を負うことはありません。
2.民法419条では、金銭の給付を目的とする債務の不履行については、損害賠償の額は、法定利息によって定めると規定しています。法定利息は年3分です。なお、利率に関する定めがある場合には、その定めた利率となります。(改正された民法が2020年に施行)
3.BがCに不動産を引渡しCが登記を備えた場合、BはAに債務の履行ができなくなりますから、当然、AはBに対して債務不履行の責任を追及できます。
【答え】4.
1. 正
(判例)
本肢では、判例の通りです。
2. 正
(民法 第419条1項)
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。
ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
(民法 第404条)
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年三分とする。(改正された民法が2020年施行)
本肢では、条文通りです。
3. 正
(民法 第415条)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
本肢では、二重譲渡において、甲不動産は登記したCのものとなり、AはBに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。
4. 誤
(民法 第419条3項)
第1項(金銭の給付を目的とする債務の不履行)の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
本肢では、Bは債務不履行になり、Aに対して遅延損害金の支払義務を負うことになります。
1.文章の通りです。Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはありません。
2.文章の通りです。利率に関する定めがない場合、遅延損害金は、年3分の利率により算出します。(改正された民法が2020年に施行)
3.文章の通りです。AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。
4.金銭債務の場合、遅延損害金の支払義務が発生します。