宅建の過去問 令和2年度10月実施分(2020年) 権利関係 問10
この過去問の解説 (3件)
以下、解説になります。
1. 正しいです。
占有は相続により承継されるので、Bの17年間とCの3年間は合算することができます。
合算して20年間の占有になるので、Cは甲土地を時効取得することができます。
2. 誤りです。
民法162条2項によると、「占有開始時に善意無過失」であればその後悪意に転じた場合でも、そのまま10年間占有を継続すれば時効取得ができます。
よって本選択肢のDは、甲土地の所有権を時効取得することができます。
3. 正しいです。
Dは占有開始時に善意無過失で、3年間占有した後に悪意のFに売却しています。
Dの占有した3年間をFは自身の占有期間である7年間に合算できるので、Fは10年間の占有継続を主張して甲土地の所有権を時効取得することができます。
4. 正しいです。
民法166条2項では、「債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と定められています。
よってAの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはありません。
誤っているのは選択肢2なので、答えは2になります。
正解は2です。
本件では、善意無過失による10年間の取得時効(いわゆる短期取得時効、民法162条2項)が問題となっています。
そして、占有者の善意無過失の判断はいつの時点が基準となっているかというと、これは「占有の開始時」が基準となります(同項)。
よって、占有開始から3年後にAの所有に気づいたことを理由に時効を主張できないとしている点で誤りです。
1:「占有の承継人は、・・・自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができ」ます(民法187条1項)。
CはBを相続してその地位を引き継いだ承継人に当たりますから、Bの17年の占有とCの3年の占有で、合わせて20年間甲土地を占有したものといえ、20年間の取得時効(いわゆる長期取得時効、民法162条1項)を主張でき、この選択肢は正しいことになります。
3:これは選択肢1と2の合わせ技です。
Dの占有開始時にDは善意無過失で、FはDから甲土地を購入してその地位を引き継いだ承継人に当たりますから、Dの善意無過失による占有を基準に10年間占有を続けたこととなり、Fは短期取得時効を主張できます。
4:消滅時効の対象となるのは、「債権又は所有権以外の財産権」(民法166条2項)ですので、所有権は消滅時効の対象となりません。
時効について誤りを見つける問題です。
正解は2です。
2.誤り
今回甲土地を買ったのはDです。
Dは無権利者Eから善意無過失で甲土地を買い、
3年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有
7年間、甲土地が本当はAの所有と知りながら占有
しました。
取得時効は善意無過失なら10年、そうでなければ20年で自分のものとなります。
この選択肢の場合、占有開始時にDは本当に自分のものだと信じた善意無過失で土地を占有していました。
そのため、途中で真実を知っても10年で消滅時効で土地を得ることがでます。
よってDは土地を時効取得することができます。
1.正しい
所有の意思をもって平穏かつ公然にBとCで合わせて20年土地を所有した、つまり時効取得は合算できるのかという問題です。
占有は前の占有者の占有期間を合わせて時効取得できるため、Cは土地を時効取得できこの選択肢は正しいです。
3.正しい
この選択肢で甲土地の流れは次のようになっています。
①Dが無権利者Eから善意無過失で甲土地を買う
②所有の意思をもってDが3年占有
③甲土地がAのものと知るFに売却
④Fが所有の意思をもって7年占有
占有取得のための期間はDがEから甲土地を買った10年前から始まります。
この時を起算点と言います。
一番最初、Dは善意無過失で甲土地の占有開始が始まっています。
選択肢1同様、占有開始が善意無過失のため、10年で時効取得が可能となるのでこの選択肢は正しいです。
4.正しい
- 所有者が土地を20年以上放置した場合、その所有権は時効によって消滅するのか?という問題です。
- 権利がある土地を放置しても、勝手に所有権が無くなることはありません。
- よってこの選択肢は正解です。
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