通関士の過去問 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問50
この過去問の解説 (2件)
輸入貨物の課税価格を計算する関税評価に関する問題です。
現実支払価格
① 17,000円 × 80台 = 1,360,000円
購入数量が100台のため、一台あたりの単価は17,000円となる。
加算要素
② 8,000円 (問3 ロ) Xの工場から本邦に運送するための包装費用
③ 80,000円 (問3 ニ) 本邦の輸入港までの運送に要する費用
④ 23,000円 (問3 へ) Xの工場から本邦の輸入港まで運送するために使用するコンテナー賃借料
※同法基本通達4-2の3(2)に、買手(買手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行つた検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入しないと規定されております。
売手Xは、買手Mとの売買契約を履行するため、輸入貨物の生産に必要な検査及び輸入貨物が売買契約に定める品質等に合致しているか否かを確認するためのすでに検査を行っているものと考えられます。
そして、買手Mが依頼した検査機関により行われる検査は、売手Xが行う検査と別に、輸入貨物が売買契約に定める品質等に合致しているか否かを、輸出国で確認するために行うものであり、買手Mが自己のために行った検査であると認められます。
したがって、この費用は輸入貨物について売手のために支払われるもの(売手への間接支払)とは認められず、現実支払価格に含まれません。
※関税法基本通達4-8(3)イ(ハ) に、コンテナー賃借料(輸入港到着日(入港日を含む。)までの期間に対応する額が明らかな場合には、当該賃借料の額は、当該期間に対応する額によるものとし、輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まないものとする。)と規定されております。
<輸入貨物の課税価格計算>
正解は2の1,471,000円
【解説】
外国の輸出業者から事務用書庫を買い入れた輸入貨物の課税価格の計算は次の通りです。
1: 現実支払価格
事務用書庫本体の売買価格(工場渡し価格)は、設問1から購入数量が100台あり15%の値引きを与えられた単価の17,000円となります。
17,000円×80台=1,360,000円・・・①
2: 加算要素
(設問3 ロ) 関税定率法第4条第1項第2号ハより、Xの工場から本邦に運送するための包装費用は加算になります。8,000円・・・②
(設問3 ニ) 同法第4条第1項第1号より、Xの工場から本邦の輸入港までの運送に要する費用は加算になります。80,000円・・・③
(設問3 へ) 同法基本通達4-8(3)イ(ハ)より、Xの工場から本邦の輸入港まで運送するために使用するコンテナーの賃借料(当該輸入港当日までの賃借料)は加算になります。23,000円・・・④
3: 非加算の費用
(設問3 イ)同法基本通達4-2の3(2)より、買手の自己都合(問題文上はMが自己の為にと表現)により要する検査費用は非加算となります。
(設問 3 ハ及びホ)Xの工場からB国に輸送するための包装費用は、本邦に輸入する貨物の費用とは関係ないことから非加算になります。
(設問3 ト) 同法基本通達4-8(3)イ(ハ)かっこ書より、Xの工場から本邦の輸入港まで運送するために使用するコンテナーの賃借料(当該輸入港到着日の翌日から返却日までの賃借料)は非加算になります。
従って、課税価格は➀+②+③+④=1,471,000円
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