問題
各国の1人当たりエネルギー消費量を石油換算トンで表す。1石油換算トンは約42GJ( ギガジュール )に相当する。世界平均の消費量は1.9トンである。中国の消費量は世界平均に近く2.0トンである。( ア )の消費量は世界平均の3倍を超えており、7トン以上である。( イ )の消費量は世界平均の約2.5倍の5トンである。( ウ )の消費量は世界平均の約2倍であり4トンである。
各種統計資料をもとにした問題も、環境分野に限らず、技術士試験ではよく出題されます。このような資料は随時更新されているため、過去問の通りに覚えてしまうと、最新の資料に基づいて出題された場合正しい選択肢を選べない可能性がありますので、常に最新資料の内容をチェックするようにしておきましょう。
IEAの資料による各国の1人あたりの一次エネルギー消費量をまとめた資料は、資源エネルギー庁の「エネルギー白書」に毎年掲載されています。本問で紹介されている2011年版のIEA資料に準拠したものについては残念ながらまとめがありませんが、2015年版に準拠したものが2016年の白書に掲載されており、それ以降は毎年掲載されています。
こちらhttps://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2016html/2-2-1.html を参照しますと、世界平均が2.0トンをわずかに下回っていますが、中国が2.0トンを少し上回る程度であり、ほぼ記述の通りであることがわかります。ロシアおよび韓国はそれぞれ5.0トン程度ですので、世界平均の2.5倍程度ということになり、(イ)に当てはまります。また、アメリカおよびカナダの消費量は7.0トン程度で、(ア)に当てはまります。日本およびドイツ(の所属するEU)では、4.0トンを少し下回っていますが、極端に離れているわけではありませんので、(ウ)に当てはめます。
よって、正解選択肢は5.となります。
現時点で最新の2021年版(2020年資料に準拠)はhttps://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/2-2-1.html で見ることができます。中国、カナダ、韓国などの消費量が増加していること、また、2019年からはアメリカの統計が載らなくなったこと(パリ協定脱退の影響と思われる、再加盟したので今後はまた掲載されるか?)など、いろいろな変化があることがわかります。このことからも、最新情報へのアクセスは不可欠であることがおわかりいただけるかと思います。