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行政書士の過去問 令和2年度 法令等 問4

問題

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表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
   1 .
表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
   2 .
表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
   3 .
表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
   4 .
表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
   5 .
表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。
( 行政書士試験 令和2年度 法令等 問4 )
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この過去問の解説 (3件)

13

正解は5

1.妥当
表現の内容規制とは、表現しようとしているメッセージそのものを規制するのもです。
例:政府の転覆を扇動する文書など

2.妥当
表現の内容を理由とした規制で、高い価値の表現(政治に関する表現)ではないことを理由に、通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があります。
例:営利を目的とした表現など

3.妥当
「表現内容中立規制」とは、表現をその伝達するメッセージの内容若しくは伝達効果に直接関係なく、表現行為の時、場所、方法を規制するにとどめるものをいいます。
きわめて厳格な「表現内容規制」と違い、中間審査となっています。
例:学校近くでの騒音の制限など

4.妥当
前半部分はその通り。
また、後半部分も、

「表現行為に対する事前規制は、本条(憲法第21条)の趣旨に照らして厳格かつ明確な要件の下においてのみ許容される」

(最大判昭61.6.11)

と判例にあるため妥当な選択肢です。

5.妥当でない
「判例によれば許さない」とする点で本問は妥当ではありません。
文言の射程を限定的に解釈したうえ憲法に違反しないと判断した判決(最判平19.9.18)があるため、判例によれば、限定的に解釈し合憲とすることも許されます。

付箋メモを残すことが出来ます。
11
答え…5

1. ○(妥当である)、3.○(妥当である)
●内容規制…表現の内容を規制します。
●内容中立規制…表現の時・場所・方法などを規制します。
表現の内容は関係がありません。


2. ○(妥当である)
低い価値の表現(例:営利的表現)は、高い価値の表現(例:政治的表現)に比べて緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があります。


4. ○(妥当である)
●事前抑制
事前抑制とは、表現物を発表前に公権力が抑制(規制)することです。
事前抑制の例としては、「裁判所による事前差止め」が挙げられます。
判例は、裁判所の事前差止めは検閲ではなく事前抑制の一種であることを判示しています(最大判昭61.6.11、北方ジャーナル事件)。
事前抑制は、原則禁止となっています。
絶対禁止とは異なり、例外があります。
判例は、「裁判所による事前差止め」について、要件を満たしたときには例外的に事前差止めが許されると判示しています。
判例は、次のように述べています。
「(略)表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは、(略)、例外的に事前差止めが許される(略)」
(最大判昭61.6.11、北方ジャーナル事件)

●検閲
検閲の意味について、判例は次のように述べています。
<(略)憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す(略)>
(最大判昭59.12.12、税関検査事件)

なお、事前抑制が原則禁止(※例外あり)であるのに対し、検閲は絶対禁止(※例外なし)です。

・事前抑制…原則禁止(※例外あり)
・検閲…絶対禁止(※例外なし)


5.×(妥当でない)
許される場合もあります。※合憲限定解釈
(最大判昭50.5.10〈徳島市公安条例事件〉、最判平19.9.18〈広島市暴走族追放条例事件〉)

1

本問は表現の自由の規制に関する問題であります。

憲法の基礎的な知識と判例の知識があれば正答できます。

選択肢1. 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。

その通りです。

表現の内容規制はその名の通り表現の内容に関する規制であり「こういう事を言わないでくれ」という規制です。

表現の内容規制は表現内容中立規制と比べて、公権力からの恣意的な権利侵害のおそれが高いため、合憲か否かは厳格に判断されます。

よって、本記述は正しいです。

選択肢2. 表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。

その通りです。

例えば、表現の自由は精神的自由権ですが、営利を目的とした表現は経済的自由であり、通常の内容規制よりも緩やかに審査される場合があります。(二重の基準論)

よって、本記述は正しいです。

選択肢3. 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。

表現内容中立規制は表現の内容に関する規制、つまり「こういう表現をやめてくれ」という表現の内容に対する規制ではなく、「うるさいからよそでやってくれ」というような表現の内容に関係がない表現に対する規制です。

よって、本記述は正しいです。

ただし、表現行為には表現の場は重要であることから、パブリックフォーラム論(最判昭和59年12月18日刑集第38巻12号3026頁、裁判官伊藤正己の補足意見)という見解もあり、この判例を用いて多種選択式問題が出題されたこともあります。(行政書士試験、平成23年、問41)

選択肢4. 表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。

判例(北方ジャーナル事件、最判昭和61年6月11日、民集第40巻4号872頁)は、「仮処分による事前差し止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前抑制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求検討の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであつて、「検閲」には当たらないものというべきである」としています。

そして、本判例は表現行為に対する事前差し止めについて、」原則として許されないものと言わなければならないが、その表現内容が真実でなく、又はそれがもっぱら公益を図る目的でないものが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る可能性がある場合、例外的に差し止めが許される」としています。

よって、本記述は正しいです。

選択肢5. 表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。

判例(徳島市公安条例事件、最判昭和50年9月10日、刑集第29巻8号489頁)は、「刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定するべきである」としています。

つまり、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合にも、本判例の趣旨から合憲となる場合があります。

よって、本記述は誤っています。

まとめ

本問は表現の自由に関する問題ですが、パブリックフォーラム論は過去に多種選択式問題で出題されたこともあり、今後も類似問題が出題される可能性が高いと考えます。

しっかり復習しておくことをお勧めします。

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