【基礎知識】
IS-LMの再確認です。ケインズ派の考え方をベースに考えます。
IS曲線は以下で考えます。GDPは消費と投資、政府支出からなり、この式を満たすr(利子率)、Y(GDP、所得)の組み合わせがIS曲線です。
Y(GDP)=C(Y)(消費、Yに比例)+I(r)(投資、r利子率に反比例)+G(政府支出、一定)
LMは貨幣需要と貨幣供給が一致するr,Yの組み合わせとなります。
M=k(Y)(取引需要、Yに比例)+l(r)(資産需要、rに反比例)
ここで、LM曲線が垂直になっているということは、貨幣需要のl(r)がrに影響していない古典派のケースになります。
ここで、政府支出(G)を操作する財政政策、貨幣供給量を変化させる金融政策の影響を図のグラフで見ていきます。
まず、財政政策で、政府支出を増加させ、Yを増やします。IS曲線はYが増えますので、右にシフトします。この時、IS曲線とLM曲線の交点(均衡点)が右に動けば所得の増加が達成できますが、図ではLM曲線が垂直であるため、Yの増加につながりません。LM曲線の傾きにより、政府支出を10増やしてもGDPが10以下の増加にとどまることをクラウディングアウトといいます。政府支出を増やしてIS曲線を右にシフトさせても利子率の上昇がGDPの増加を抑制してしまう作用のことになります。
一方で金融政策の効果を考えます。Mを増やし、利子率が一定であれば、取引需要の増加でYが増加するというのが金融政策の効果です。LM曲線が垂直であるため、貨幣供給が増加するとLM曲線は右側にシフトします。結果rが低下し、IS曲線も右側にシフトしてGDPが増加します。
【選択肢評価】
a 基礎知識の通りで正しい。政府支出のすべてがクラウディングアウトで効果が消されてしまいます。
b クラウディングアウトでGDPは増加しないため、誤り。
c、d 貨幣供給を増やすとLMが右にシフトし、金利低下を招いてISも右にシフトし、結果GDPは増加するため、dの記載が正しい。