ア × 外国では婚姻していなくても共同親権を行使できる国はありますが、日本においては婚姻していない父母が共同親権を行使できることはできません。
よって、父母が婚姻関係にない場合には父母のどちらかが単独で親権を行使します。
そして非嫡出子の親権者は原則、母とされています。
しかし、父の認知後は父母の協議により父を親権者と定めることができます。
したがって本肢は、父母の間に婚姻関係がなくとも、父と母が共同して行うとする点が誤っています。
イ × 本肢を一言でまとめると、親権者が子の土地を担保として物上保証させることは利益相反行為には当たりません。
なぜなら、利益相反に当たるという行為とは、子を犠牲にして親が利益を得ることです。
本肢の場合は第三者が利益を得ています。
よって本肢は利益相反行為に当たるとする点が誤っています。
ウ 〇 本肢は条文知識そのままです。
原則として、父母が共同して親権を行使する場面において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし、又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は他の一方の意思に反したときであっても、その効力を妨げられない(民法825)。
ただし、相手方が悪意であったときは当該行為は効力を生じない(民法825)。
エ 〇 本肢を解く前提として覚えておいていただきたいのは、よほどのことがない限り親権喪失はありえないということです。99%の場合、親権停止になると覚えておいてくさだい。
父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は、検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる(民法834の2Ⅰ)。
なお、親権喪失の審判の要件は、父又は母による虐待または悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときです(民法834)。
オ × 本肢は浪費家の両親を持ってしまった未成年の子のための規定です。
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる(民法835)。
よって本肢は、家庭裁判所は、審判によって、その親権者について管理権のみを喪失させることはできないとする点が誤っています。