司法書士の過去問
令和3年度
午前の部 問20
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問題
令和3年度 司法書士試験 午前の部 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
婚姻又は離婚に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア それぞれ17歳である男女の届け出た婚姻届が受理された場合には、当該婚姻は、取消しの請求がなくとも、当然に無効である。
イ 配偶者のある者が重ねて婚姻をした場合には、後婚の配偶者は、当該後婚である婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ウ 成年被後見人が、成年後見人の同意を得ないで婚姻をした場合には、成年後見人は、その同意がないことを理由として、当該婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
エ 強迫による婚姻の取消しは、婚姻時に遡って、その効力を生ずる。
オ 未成年の子がある父母が当該子の親権者を定めないままに届け出た離婚届が受理された場合には、当該離婚は有効である。
ア それぞれ17歳である男女の届け出た婚姻届が受理された場合には、当該婚姻は、取消しの請求がなくとも、当然に無効である。
イ 配偶者のある者が重ねて婚姻をした場合には、後婚の配偶者は、当該後婚である婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ウ 成年被後見人が、成年後見人の同意を得ないで婚姻をした場合には、成年後見人は、その同意がないことを理由として、当該婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
エ 強迫による婚姻の取消しは、婚姻時に遡って、その効力を生ずる。
オ 未成年の子がある父母が当該子の親権者を定めないままに届け出た離婚届が受理された場合には、当該離婚は有効である。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア × 本肢を一言でまとめると、婚姻適齢の規定に違反しても無効ではありません。ということです。
つまり、婚姻適齢に違反した場合はその取消を請求することができます(民法744Ⅰ)
取消ができるということは、取り消されるまでは、婚姻が有効に成立したものと扱われます。
よって本肢は、当然に無効であるとする点が誤っています。
イ 〇 本肢を要約すると「あなた、結婚していたことを隠していたのね。私は後婚なら取り消させてもらいます。」と家庭裁判所に請求できるというわけです。
つまり、
配偶者のあるものは、重ねて婚姻をすることができません。(民法738)
しかし何らかの事由で重婚が生じてしまった場合、各当事者、前配偶者、その親族又は検察官から、後婚の取消を家庭裁判所に請求できるのです。(民法744)
ウ × 本肢を一言でまとめると、身分行為には成年後見人の同意は不要ですよ。ということです。
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない(民法738)
つまり、成年被後見人は、単独で婚姻をすることができます。
よって本肢は、婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができるとする点が誤っています。
エ × 本肢を一言でまとめると、強迫によって婚姻をさせられてもその婚姻は一応有効で、取消をすることができます。
そして、婚姻が取り消されたとしても、婚姻していたという事実は消えないのでバツイチになってしまいます。
つまり、婚姻の取消は将来効なのです。
よって本肢は、婚姻時に遡って、その効力を生ずるとする点が誤っています。
オ 〇 本肢の事例が唯一、離婚した夫婦でも共同親権を行使できる事例です。
親権者の記載のない協議離婚届けは受理されないが、誤って受理されてしまえば離婚は有効となります。(民法765Ⅱ)
そして、親権者を定める届出がされるまでの間は、未成年の子は、父母の共同親権に服することになります。
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02
正解 3
ア 誤り
婚姻は、①人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき、②当事者が婚姻の届出をしないときに限り、無効となります(民法742条)。
本肢のような不適齢者による婚姻は、取消事由となります(同745条)。
イ 正しい
重婚については、当事者の配偶者も、その取消しを請求することができます(民法744条2項)。
ウ 誤り
本人の意思を尊重する観点から、身分行為については、成年被後見人が単独で行うことができます。
また、成年後見人に同意権は認められていません。
エ 誤り
婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生じます(民法748条1項)。
これは、強迫による婚姻の取消しの場合も同様です。
オ 正しい
未成年の子がある父母が当該子の親権者を定めないままに届け出た離婚届は、原則として受理されません(民法765条1項)。
もっとも、これに反して離婚届が受理されたときであっても、当該離婚は有効となります(同条2項)。
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03
正解は3です。
ア…誤りです。婚姻が無効となるのは、➀当事者に婚姻の意思がないとき、②当事者が届出をしないとき、です(742条1号、2号)。これらに該当しなければ、たとえ不適齢者の婚姻(731条)であっても、取消しの請求がなされるまでは有効です。
イ…正しいです。不適法な婚姻をした場合、各当事者、その親族又は検察官から、婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができます(744条1項)。重婚を禁止する規定(732条)に違反している場合には、当事者の配偶者または前配偶者も、その取消しを請求することができます(744条2項)。
ウ…誤りです。成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しません(738条)。なお、未成年後見人の場合にも、同意は必要ありません(昭23・5・8民甲977号回答)。
エ…誤りです。婚姻の取消しは、将来に向かってのみ、その効力を生じます(748条1項)。
オ…正しいです。離婚の届出は、戸籍法の定めるところに従った書式で、かつ、未成年の子がある場合にはその子の親権者を父母のどちらか一方に定めた上で(819条1項)されなければなりませんが、これらの規定に違反して離婚届が受理された場合であっても、そのために離婚自体の効力が妨げられることはありません(765条1項、2項)。
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