司法書士の過去問
令和3年度
午前の部 問19
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問題
令和3年度 司法書士試験 午前の部 問19 (訂正依頼・報告はこちら)
賃貸借に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 契約により動産の賃貸借の存続期間を100年と定めたとしても、その期間は、50年となる。
イ 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
ウ 賃貸人は、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったときでも、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
エ 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対して、直ちにその償還を請求することができる。
オ 賃借物の一部が滅失し、使用及び収益をすることができなくなった場合であっても、それが賃貸人の責めに帰すべき事由によるものでなければ、その賃料が減額されることはない。
ア 契約により動産の賃貸借の存続期間を100年と定めたとしても、その期間は、50年となる。
イ 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
ウ 賃貸人は、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったときでも、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
エ 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対して、直ちにその償還を請求することができる。
オ 賃借物の一部が滅失し、使用及び収益をすることができなくなった場合であっても、それが賃貸人の責めに帰すべき事由によるものでなければ、その賃料が減額されることはない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 〇 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない(民法604Ⅰ)。
よって、契約で50年より長い期間を定めたときであっても、その期間は50年となります。
イ 〇 本肢を一言でまとめると、オーナーチェンジは自由にできますよ。ということです。
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人の合意により、譲受人に移転させることができる。(民法605の3)
なぜなら、誰が賃貸人であろうと賃借人にとってはあまり関係ないでしょ。というのが民法の考え方だからです。
ウ × 原則として賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負っています。
しかし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負わない(民法606)。
要するに、賃借人自身が壊した部分はご自分で修理してください。ということです。
エ 〇 本肢は必要費について問われていますが有益費も併せて押さえておきましょう。
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます。(民法608Ⅰ)
これに対し、
賃借人が賃借物について支出した有益費については、賃貸借終了時において目的物の価格の増加が現存する場合に限り、その支出した金額又は増加額の償還を受けることができるにとどまります。(民法608Ⅱ 196Ⅱ)
要するに、
必要費は直ちに請求できます。
有益費は目的物の価格の増加が現存する場合に限り請求できます。
オ × 本肢を要約すると、
戸建てを借りていたが、自然災害で部屋の一部分が使えなくなった場合、家賃の減額請求できますよ。ということです。
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び、収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される(民法611Ⅰ)
よって本肢は、賃貸人の責めに帰すべき事由によるものでなければ、その賃料が減額されることはないとする点が誤っています。
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02
正解は5です。
ア…正しいです。動産の賃貸借の存続期間は、50年を超えることができません。契約でこれより長い期間を定めた場合であっても、50年に短縮されます(604条1項)。
イ…正しいです。不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(605条の3)。
ウ…誤りです。賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負いますが、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になったときは、この限りではありません(606条1項)。
エ…正しいです。賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求できます(608条1項)。
オ…誤りです。賃借物の一部が滅失し、使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されます(611条1項)。
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03
正解 5
ア 正しい
賃貸借の存続期間は、50年を超えることができません。
そのため、契約で50年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年となります(民法604条1項)。
イ 正しい
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(民法605条の3)
ウ 誤り
賃貸人は、原則として、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条1項)。
もっとも、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負いません(同項但書き)。
エ 正しい
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます(民法608条1項)。
オ 誤り
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されることになります(民法611条1項)。
よって、賃貸人の責めに帰すべき事由によるものでなければ、その賃料が減額されることはないとしている点で本肢は誤りです。
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