ア × 本肢を一言でまとめると、めんどくさいことは後回しにせずさっさとやってしまおう。ということです。
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。(民899の2)
つまり、単独で登記できるならすぐに登記しないとデメリットしかないのです。
本肢において、Bは遺産分割協議により法定相続分と異なる部分を取得しているのに、もたもたしているので、Cにスキを突かれたのです。
よって、Bに帰責事由があると言え、第三者に対し登記なくして甲土地の所有権全部の取得を対抗することができないのです。
イ × 本肢を一言でまとめると、死亡保険金は相続財産に含まれない。ということです。
自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は、遺贈又は贈与に該当しない。(最判平成14.11.5)
よって、Aのした遺言において保険金の受取人をBからCに変更することは、Cに対する遺贈に当たりません。
ウ 〇 普通預金債権、通常貯金債権、定期貯金債権はいずれも遺産分割の対象となります。
相続を経験なさった方ならお分かりいただけると思いますが、ならない理由がありません。
エ 〇 被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、遺言による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、法定相続分に応じてその権利を行使することができる。(民法902の2)
あなたが、被相続人に対する債権者の立場になって考えてみてください。
相続人の中には資産状況の良い方も悪い方もいらっしゃいます。
それなのに、あえて資産状況の悪い相続人が債権者の承諾も得ないで債務を引き受けることができるとすれば、債権者にとって寝耳に水でしょう。
よって、Aの相続債権者は、指定された相続分に応じた債務の承認をしない限り、B及びCに対し、その法定相続分に応じて権利を行使することができます。
オ × 共同相続された株式は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはありません。
そして、共同相続された株式は遺産分割の対象となります。
逆に、当然に相続分に応じて分割されることになると、商業登記まで変更しなければなりません。(発行済み株式総数の変更)
商業登記法の記述を勉強なさった方ならお分かりいただけると思いますが、株式を相続したら発行済み株式の総数を変更しなければならない場合なんてありませんよね。
よって、B及びCは、Aの相続開始により、2分の1ずつの割合で当該株式の持分を分割して取得することとなり、当該株式は、遺産分割の対象とはならないとする点が誤っています。