問題
問題は、裁判員制度の下で裁判官と国民とにより構成される裁判体が、( ア )に関する様々な憲法上の要請に適合した「( イ )」といい得るものであるか否かにある。・・・(中略)・・・。
以上によれば、裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は、身分保障の下、独立して職権を行使することが保障された裁判官と、公平性、中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員とによって構成されるものとされている。また、裁判員の権限は、裁判官と共に公判廷で審理に臨み、評議において事実認定、( ウ )及び有罪の場合の刑の量定について意見を述べ、( エ )を行うことにある。これら裁判員の関与する判断は、いずれも司法作用の内容をなすものであるが、必ずしもあらかじめ法律的な知識、経験を有することが不可欠な事項であるとはいえない。さらに、
裁判長は、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることも考慮すると、上記のような権限を付与された裁判員が、様々な視点や感覚を反映させつつ、裁判官との協議を通じて良識ある結論に達することは、十分期待することができる。他方、憲法が定める( ア )の諸原則の保障は、裁判官の判断に委ねられている。
このような裁判員制度の仕組みを考慮すれば、公平な「( イ )」における法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)は制度的に十分保障されている上、裁判官は( ア )の基本的な担い手とされているものと認められ、憲法が定める( ア )の諸原則を確保する上での支障はないということができる。
(最大判平成23年11月16日刑集65巻8号1285頁)