行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問43_3
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問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問43_3 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章の空欄( ウ )に当てはまる語句を、以下の選択肢(1~20)から選びなさい。
行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の( ア )と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて( イ )に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る( ウ )の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件( ウ )が定められているところ、本件( ウ )は、( エ )の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件( ウ )の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような( ウ )の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。
(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)
行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の( ア )と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて( イ )に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る( ウ )の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件( ウ )が定められているところ、本件( ウ )は、( エ )の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件( ウ )の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような( ウ )の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。
(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)
- 公平
- 審査基準
- 名宛人以外の第三者
- 弁明
- 条例
- 意見公募
- 説明責任
- 根拠
- 慎重
- 紛争の一回解決
- 要綱
- 諮問
- 処分基準
- 利害関係人
- 議会の議決
- 規則
- 不服の申立て
- 審査請求
- 適法性
- 聴聞
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この過去問の解説 (3件)
01
以下、原文(一部)です。
行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人 に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利 を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重(ア)と合理性を担保し てその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立て(イ)に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理 由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令 の規定内容,当該処分に係る処分基準(ウ)の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分 の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決 定すべきである。 この見地に立って建築士法・・・(中略)・・・号による建築士に対する懲戒処 分について見ると・・・(中略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(中略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準(ウ)が定められているところ、本件処分基準(ウ)は、意見公募(エ)の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(中略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準(ウ)の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準(ウ)の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。
よって、正解は
ア・・・9 慎重
イ・・・17 不服の申し立て
ウ・・・13 処分基準
不利益処分が適用されるかどうかについては、処分基準との比較検討がなされると推測できるので、処分基準という語句が入ります。
エ・・・6 意見公募
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02
正解は 13.処分基準
ア.慎重(9)
ヒントとなるものがほとんどありませんが、「合理性を担保する」「恣意を抑制する」という文脈からの連想可能です。
イ.不服の申立て(17)
「処分の理由を名宛人に知らせて」から行われる行為に「便宜を与える」という文脈から連想可能です。
ウ.処分基準(13)
懲戒処分の処分内容に関して定められているものは処分基準です。
エ.意見公募(6)
処分基準を定める前に行われる手続きは意見公募手続きです。
以下、全文(最判平23年6月7日)
行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件処分基準が定められているところ、本件処分基準は、意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。
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03
この問題のポイントは最判平23.6.7の理解です。
この判例では以下のように述べられています。
行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人 に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利 を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保し てその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便 宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理 由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令 の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分 の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決 定すべきである。
この見地に立って建築士法10条1項2号又は3号による建築士に対する懲戒処 分について見ると,同項2号及び3号の定める処分要件はいずれも抽象的である 上,これらに該当する場合に同項所定の戒告,1年以内の業務停止又は免許取消し のいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして,建築士に対する上記懲戒処分については,処分内容の決定に関し,本件処分基準が定め られているところ,本件処分基準は,意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき 手厚い手続を経た上で定められて公にされており,しかも,その内容は,前記2 (4)のとおりであって,多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると,建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由として は,処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて,本件処分基準の適用関係 が示されなければ,処分の名宛人において,上記事実及び根拠法条の提示によって 処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても,いかなる理由に基づいてどのよ うな処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるの が通例であると考えられる。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件( ウ )が定められているところと書かれており、懲戒処分は不利益処分に該当して、処分内容の決定に関して定められているものは処分基準です。
また解説の冒頭より、建築士に対する上記懲戒処分については,処分内容の決定に関し,本件処分基準が定め られているところ,本件処分基準は,意見公募の手続を経るなど適正を担保すべき 手厚い手続を経た上で定められて公にされておりとされています。
よって、ウは処分基準が該当します。
この問題で出てきた判例は過去にも出題されており、今後も出てくる可能性があるので一度判例を読み直した方が良いでしょう。
また、今回の問題は行政手続法や行政不服審査法を理解していれば解ける部分もありました。
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