労災保険の給付の種類とは?
労災保険法は、もともと労働基準法に規定されていた業務上災害における事業主の無過失責任の規定をより明確にさせるという観点から独立して規定されたものです。そこで、労災保険法ではどういった給付によって労働者の保護がなされているのか以下に示します。
- 更新日:2017年07月05日
業務災害に関する保険給付

業務中の災害に対して行われる保険給付としては、大まかに分けると以下のようになります。
- 負傷・疾病による保険給付
- 障害による保険給付
- 介護による保険給付
- 死亡による保険給付
最初の負傷・疾病による保険給付は、更に分類すると療養補償給付と休業補償給付、傷病補償年金に分類されます。
療養補償給付
療養補償給付とは
①診察
②薬剤または治療材料の支給
③処置、手術その他の治療
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤病院または診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送のうち、政府が必要と認めるもの
に限られるとされています。
当該給付は原則として現物給付とされていますが、例外として療養の費用が支給されることとされています。
休業補償給付
休業補償給付とは、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために労働できないために賃金を受けない日の第4日目から支給されるものです。
傷病補償年金
傷病補償年金は、業務上負傷しまたは疾病にかかった労働者が、当該負傷または疾病に係る療養の開始後1年6箇月を経過した日において、当該負傷または疾病が治っていない場合やその障害の程度が傷病等級1級~3級に該当する場合に、その状態が継続している間に支給されるものです。
障害に関する保険給付として以下のものがあります。
障害補償給付
障害補償給付とは傷病が治った場合( いわゆる症状固定の状態 )であって、身体に一定の障害が残ったときに支給されるものであり、障害等級1級~7級の場合は障害補償年金、8級~14級の場合は障害補償一時金が支給されます。
3番目に介護による保険給付が挙げられます。
介護補償給付
介護補償給付は、障害補償年金または傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その年金を受ける事由となる障害であって障害等級1級または2級の程度のものにより常時または随時介護を要する状態にあって、現実に常時または随時介護を受けている場合に支給されるものです。
最後に死亡による保険給付が挙げられます。
遺族補償給付
遺族補償給付には遺族補償年金と遺族補償一時金があります。
遺族補償年金を受けることのできる遺族には被災労働者の死亡当時、その労働者との間に生計維持関係がある一定の遺族が対象となり、その最先順位者が遺族補償年金を受ける権利を有します。
これに対して、遺族補償一時金は遺族補償年金を受けることのできる遺族がいない場合等に支給されるものです。
通勤災害における保険給付

通勤災害における保険給付は、業務災害における保険給付とほとんど変わりがない。ただし、若干の違いがあるのでその点を説明します。
- 特別加入者の通勤災害は補償の対象外とされています
- 休業給付については3日間の待期期間があります
- 傷病年金の支給が、労働基準法の打切補償とはみなされません
- 療養給付を受けるにあたって原則200円の自己負担が求められます
まとめ
業務災害や通勤災害に対して支給される労災保険法の給付は、業務外における災害に対して支給される健康保険法の給付とは大きく異なっており、給付内容、給付額ともに充実しています。
労働基準法の労働者保護の理念が労災保険法に引き継がれていることの表れと言われています。
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