行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問31
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問題
行政書士試験 平成30年度 法令等 問31 (訂正依頼・報告はこちら)
弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、債務者による充当の指定がない限り、これを順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。
- 同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する債務者が、弁済として給付した金銭の額が全ての債務を消滅させるのに足りない場合であって、債務者が充当の指定をしないときは、債権者が弁済を受領する時に充当の指定をすることができるが、債務者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。
- 金銭債務を負担した債務者が、債権者の承諾を得て金銭の支払に代えて不動産を給付する場合において、代物弁済が成立するためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならない。
- 債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供をしなくても同責任を免れる。
- 債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
費用、利息、元本の順に充当しなければならない(491条1項)が、この順番は当事者双方の合意で変えること足ができる。しかし、一方当時者の指定ではできません。
2.妥当である
受領者は弁済を充当すべき債務を指定できる(488条2項本文)が、弁済者が直ちに異議を述べればこの限りではありません(488条2項ただし書)。
3.妥当である
代物弁済が成立するためには、所有権移転登記がされなければなりません。
4.妥当である
その通り。
5.妥当である
債権者があらかじめ受領を拒んでいたとしても、原則債務者は口頭の提供をしてからでないと供託できません。
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02
弁済に関する設問です。
1× 民法491条1項に反するので、誤りです。「(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)第四百九十一条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。 2 第四百八十九条の規定は、前項の場合について準用する。」
2〇 民法488条1・2項の通りです。「(弁済の充当の指定)第四百八十八条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。 2 弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。 3 前二項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。」
3〇 判例(最判S40.4.30)は、「債務者がその負担した給付に代えて不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済する場合の債務消滅の効力は、原則として単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によつて生ずるものと解すべきである」としています。
4〇 前段は、民法492・493条の通りです「(弁済の提供の効果)第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。 (弁済の提供の方法)第四百九十三条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。」。
後段は、判例(最大判S32.6.5)の通りです。「債権者が契約の存在を否定する等、弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、債務者は言語上の提供をしなくても債務不履行の責を免れるものと解すべきである。」
5〇 民法494条前段の通りです。「(供託)第四百九十四条 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。」
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03
債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、「これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない(民法491条)」とされています。
債務者が一方的な充当の指定をすることはできません。
②妥当
民法488条1項、2項に規定されています。
③妥当
民法482条は、代物弁済を認めており、これを受けて判例では、不動産を給付する場合において、代物弁済が成立するためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならないとしています。
④妥当
民法、判例はこのようにとらえています。
⑤妥当
判例では、債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができるとしています。
したがって、①が正解となります。
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