行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問32

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問題

行政書士試験 平成30年度 法令等 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

物の貸借に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定に照らし、それが、使用貸借の場合にも賃貸借の場合にも当てはまるものの組合せはどれか。

ア:借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。
イ:借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。
ウ:借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。
エ:貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。
オ:契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
  • ア・イ
  • ア・オ
  • イ・ウ
  • ウ・エ
  • エ・オ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア.いずれの場合にも当てはまる
使用借主は、契約またはその目的の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければなりません(594条1項)。これは616条により賃借人に準用されています。

イ.使用貸借の場合にのみに当てはまる
使用借主は、使用物の通常の必要費を負担します(595条1項)。賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に直ちにその償還を請求できます。(608条1項)

ウ.いずれにも当てはまらない
使用借主は、目的物を返還する場合、借用物を原状に復して、これに附属させたものを収去できます(598条)。これは616条により賃借人に準用されています。

エ.使用貸借の場合にのみ当てはまる
使用借主の死亡によって、その効力を失います(599条)が616条は599条を準用していません。

オ.いずれの場合にもあてはまる
使用借主の費用償還請求権は1年間であり(600条)、621条により600条が準用されています。

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02

正解は2

ア:使用貸借〇、賃貸借〇 民法594条1項および同法616条の通りです。「(借主による使用及び収益)第五百九十四条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。 2 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。 3 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。」「(使用貸借の規定の準用)第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。」

イ:使用貸借〇、賃貸借× 使用貸借の場合、「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」(同法595条1項)とされていますが、賃貸借の場合は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」(同法616条1項)とされています。

ウ:使用貸借×、賃貸借× 民法598条および同法616条の通りです。「(借主による収去)第五百九十八条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。」「(使用貸借の規定の準用)第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。」

エ:使用貸借〇、賃貸借× 使用貸借の場合、「(借主の死亡による使用貸借の終了)
第五百九十九条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う」(同法599条)とされていますが、賃借権は相続人に引き継がれますので(大判大13.3.13)、契約は終了しません。

オ:使用貸借〇、賃貸借〇 民法600条および同法621条の通りです。「(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)第六百条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。」「(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)第六百二十一条 第六百条の規定は、賃貸借について準用する。」

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03

使用貸借とは、相手方から対象を無償で受け取る(借り受ける)ことで成立します。
賃貸借は、相手方から対象を有償で借り受ける旨の約束によって成立します。

①共に当てはまる
「契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない(民法594条1項)」とされ、これはいずれの場合も同じです。

②使用貸借にのみ当てはまる
使用貸借は賃料が発生しないが、その代わり、必要となる修繕費については借主が負担しなければなりません(民法595条1項)。

③共に当てはまらない
「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる(民法598条)」とされています。すなわち、原状回復の定めを置いています。

④使用貸借のみ当てはまる
「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失います(民法599条)。」
一方、賃貸借は借主の死亡によって当然には効力を失いません。

⑤共に当てはまる
民法600条に規定されています。

したがって、②が正解です。

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