行政書士の過去問
令和元年度
法令等 問35

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問題

行政書士試験 令和元年度 法令等 問35 (訂正依頼・報告はこちら)

氏に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア  甲山太郎と乙川花子が婚姻届に署名捺印した場合において、慣れ親しんだ呼称として婚姻後もそれぞれ甲山、乙川の氏を引き続き称したいと考え、婚姻後の氏を定めずに婚姻届を提出したときは、この婚姻届は受理されない。
イ  夫婦である乙川太郎と乙川花子が離婚届を提出し受理されたが、太郎が慣れ親しんだ呼称として、離婚後も婚姻前の氏である甲山でなく乙川の氏を引き続き称したいと考えたとしても、離婚により復氏が確定し、離婚前の氏を称することができない。
ウ  甲山太郎を夫とする妻甲山花子は、夫が死亡した場合において、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって婚姻前の氏である乙川を称することができる。
エ  夫婦である甲山花子と甲山太郎の間に出生した子である一郎は、両親が離婚をして、母花子が復氏により婚姻前の氏である乙川を称するようになった場合には、届け出ることで母と同じ乙川の氏を称することができる。
オ  甲山花子と、婚姻により改氏した甲山太郎の夫婦において、太郎が縁組により丙谷二郎の養子となったときは、太郎および花子は養親の氏である丙谷を称する。
  • ア・イ
  • ア・ウ
  • イ・エ
  • ウ・オ
  • エ・オ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2(ア・ウ)

ア〇 民法750条(「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」)および戸籍法74条1項より、正しい記載です。(第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。一 夫婦が称する氏 二 その他法務省令で定める事項)

イ× 届け出によって、離婚の際に称していた氏を称することができるため、誤りです。民法767条を引用します。「婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。」

ウ〇 民法751条1項(「夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。」)および戸籍法95条より、正しい記載です。(第九十五条 民法第七百五十一条第一項の規定によつて婚姻前の氏に復しようとする者は、その旨を届け出なければならない。)

エ× 子が父または母と氏を異にする場合には、届け出では足りず、家庭裁判所の許可が必要です。民法791条を引用します。「子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。 2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。(3-4項略)」

オ× 民法810条は「子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。」としているため、誤りです。

参考になった数12

02

正解:2.ア・ウ

ア:〇
 その通りです。
 民法750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定しており、規定に違反しないことが認められた後でないと受理されません(民法740条)。

イ:×
 「離婚により復氏が確定し、離婚前の氏を称することができない」とする記載は誤りです。
 民法767条2項は、「離婚により婚姻前の氏に復した者は,離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,離婚の際称していた氏を称することができる」と規定しています。したがって、太郎は、離婚前の氏を称することができます。

ウ:〇
 その通りです。
 民法751条1項は、「夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる」としています。

エ:×
 「届け出ることで母と同じ乙川の氏を称することができる」とする記載は誤りです。
 子が母と氏を異にする場合は、家庭裁判所の許可を得て、届出をする必要があります(民法791条1項)。

オ:×
 「養親の氏である丙谷を称する」とする記載は誤りです。
 民法810条は、「養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。」と規定しています。

参考になった数4

03

正解:②

ア:正しい
正しい記述です。
イ:誤り
民法767条の規定により、離婚後も婚姻前の氏である甲山でなく乙川の氏を引き続き称することも可能です。
ウ:正しい
正しい記述です。
エ:誤り
民法791条では、「子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる」とされています。
したがって、家庭裁判所の許可を得て、届け出る必要があります。
オ:誤り
民法810条では、「養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない」とされています。
この場合は但し書きの内容に該当するため、婚姻の際に定めた氏を称します。

参考になった数2