行政書士の過去問
令和元年度
法令等 問36
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問題
行政書士試験 令和元年度 法令等 問36 (訂正依頼・報告はこちら)
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係に関する次の記述のうち、商法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。なお、代理人が本人のためにすることを知らなかったことにつき、相手方に過失はないものとする。
- 相手方と本人および代理人とのいずれの間にも法律関係が生じ、本人および代理人は連帯して履行の責任を負う。
- 相手方と代理人との間に法律関係が生じ、本人には何らの効果も及ばない。
- 相手方と本人との間に法律関係が生じるが、相手方は代理人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。
- 相手方と代理人との間に法律関係が生じるが、相手方は本人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。
- 相手方は、その選択により、本人との法律関係または代理人との法律関係のいずれかを主張することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
1:×
「本人および代理人は連帯して履行の責任を負う」とする記載は誤りです。
判例(最判S43.4.24)は、「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、相手方保護のため、相手方と代理人との間にも右と同一の法律関係が生ずるものとし、相手方は、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張することを許容したものと解する」としています。したがって、本人および代理人が連帯して履行責任を負うわけではありません。
2:×
「本人には何らの効果も及ばない」とする記載は誤りです。
商法504条は、「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる」としています。
3:×
「履行の請求に限り、これをすることができる」とする記載は誤りです。
相手方は、代理人に対し履行の請求に限らず法律関係を生じさせることができます。なお、相手方の選択により、本人と法律関係に入った場合は、代理人との法律関係を生じさせることはできません。
4:×
「履行の請求に限り、これをすることができる」とする記載は誤りです。
相手方は、本人に対し履行の請求に限らず法律関係を生じさせることができます。なお、相手方の選択により、代理人と法律関係に入った場合は、本人との法律関係を生じさせることはできません。
5:〇
その通りです。
商法504条の規定です。
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02
正解は5
1× 判例(最大判S43.4.24)は、「…相手方と代理人との間にも右と同一の法律関係が生ずるものとし、相手方は、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張することを許容したものと解するのが相当であり、相手方が代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人相手方間の法律関係の存在を主張することはできないものと解すべきである」としています。どちらに法律関係が生じるかは、相手方の選択によるため、本肢は誤りです。
2× 商法504条本文には「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。」と定められているため、誤りです。
3× 判例(最大判S43.4.24)は、「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかつたときは、商法第五〇四条但書によつて、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、…」としています。そのため、相手方は、履行の請求に限らず行うことができます。
4× 肢1の判例の通り、本人と代理人のどちらに法律関係が生じるかは相手方の選択によります。そのため、代理人との間に法律関係が生じる(相手方が代理人との法律関係を選択する)場合には、本人に対して履行の請求をすることができません。
5〇 肢1の判例(最大判S43.4.24)の通りです。
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03
①誤り
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、商法504条では、本人に対して効力が発生しますが、判例では、「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、相手方保護のため、相手方と代理人との間にも右と同一の法律関係が生ずるものとし、相手方は、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、…したものと解する」(最大判昭和43年4月24日)としています。
したがって、本人および代理人は連帯して履行の責任を負うわけではありません。
②誤り
①の解説参照。商法504条です。
③誤り
①の解説参照。
④誤り
①の解説参照。
⑤正しい
正しい記述です。
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