本問は通信に関する問題ですが、憲法や刑事訴訟法にも絡んでくる問題になります。
ア 「プロバイダなど他の電気通信事業者の回線設備を借りている電気通信事業者には通信の秘密保持義務は及ばない」という文言について、常識的に考えて電気通信事業者に秘密保持義務が及ばない訳がないですよね。
自分の電話やメールの内容を勝手に公開されたら嫌ですよね。
つまり、電気通信事業者にも秘密保持義務は及びます。
よって、本記述は誤っています。
イ その通りです。
通信役務に携わっていない者でも、無断で通信の内容を公開されたら嫌ですよね。
よって、通信役務に携わっていない者が通信の秘密を侵した場合にも、処罰の対象となります。
よって、本記述は正しいです。
ウ まず、通信の傍受をすることが強制処分にあたるか否かを検討します。
強制処分とは、①相手方の意思に反し②重大な権利、利益を侵害する処分をいいます。
通信を傍受することは、相手方の許可を得ている訳ではありませんし、一般的に通信を勝手に傍受されるのは嫌でしょう。
そう考えると、相手方の意思に反していると考えます。(①充足)
そして、通信の秘密は侵してはならず(憲法21条2項後段)、又、通信の内容は外部に公開されていることは予定されておらず、重大な権利、利益の侵害といえます。(②充足)
よって、強制処分に当たります。
そうすると、強制処分法定主義(刑事訴訟法197条1項)から、法律に特別の定めがある場合でしかすることができません。
そして、通信傍受法3条に特別の定めがあり、裁判官の令状が必要な旨定められています。
よって、本記述は誤っています。
エ その通りです。
例えば、刑務所に収監されている囚人が外部の人間と脱獄の相談をしたり、被害者の方を脅迫したりするとまずいですよね。
こういうことを防ぐために、受刑者が発受信する信書を検査し、その内容によっては差止めをすることができます。
よって、本記述は正しいです。
オ 本記述の通りです。
いつ、だれが、どこで、どのような通信をしたかは秘密です。
よって、本記述は正しいです。