行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問41-4
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問題
行政書士試験 令和2年度 法令等 問41-4 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章の空欄エに当てはまる語句を、以下の選択肢から選びなさい。
このような労働組合の結成を憲法および労働組合法で保障しているのは、社会的・経済的弱者である個々の労働者をして、その強者である( ア )との交渉において、対等の立場に立たせることにより、労働者の地位を向上させることを目的とするものであることは、さきに説示したとおりである。しかし、現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて、労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対( ア )との交渉においてのみこれを求めても、十分にはその目的を達成することができず、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な( イ )や社会活動を行なうことを妨げられるものではない。
この見地からいつて、本件のような地方議会議員の選挙にあたり、労働組合が、その組合員の居住地域の生活環境の改善その他生活向上を図るうえに役立たしめるため、その( ウ )を議会に送り込むための選挙活動をすること、そして、その一方策として、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することは、組合の活動として許されないわけではなく、また、統一候補以外の組合員であえて立候補しようとするものに対し、組合の所期の目的を達成するため、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することも、それが単に勧告または説得にとどまるかぎり、組合の組合員に対する妥当な範囲の( エ )権の行使にほかならず、別段、法の禁ずるところとはいえない。しかし、このことから直ちに、組合の勧告または説得に応じないで個人的に立候補した組合員に対して、組合の( エ )をみだしたものとして、何らかの処分をすることができるかどうかは別個の問題である。
(最大判昭和43年12月4日刑集22巻13号1425頁)
このような労働組合の結成を憲法および労働組合法で保障しているのは、社会的・経済的弱者である個々の労働者をして、その強者である( ア )との交渉において、対等の立場に立たせることにより、労働者の地位を向上させることを目的とするものであることは、さきに説示したとおりである。しかし、現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて、労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対( ア )との交渉においてのみこれを求めても、十分にはその目的を達成することができず、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な( イ )や社会活動を行なうことを妨げられるものではない。
この見地からいつて、本件のような地方議会議員の選挙にあたり、労働組合が、その組合員の居住地域の生活環境の改善その他生活向上を図るうえに役立たしめるため、その( ウ )を議会に送り込むための選挙活動をすること、そして、その一方策として、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することは、組合の活動として許されないわけではなく、また、統一候補以外の組合員であえて立候補しようとするものに対し、組合の所期の目的を達成するため、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することも、それが単に勧告または説得にとどまるかぎり、組合の組合員に対する妥当な範囲の( エ )権の行使にほかならず、別段、法の禁ずるところとはいえない。しかし、このことから直ちに、組合の勧告または説得に応じないで個人的に立候補した組合員に対して、組合の( エ )をみだしたものとして、何らかの処分をすることができるかどうかは別個の問題である。
(最大判昭和43年12月4日刑集22巻13号1425頁)
- 統制
- 過半数代表
- 争議行為
- 指揮命令
- 政治献金
- 国民
- 地域代表
- 政治活動
- 支配
- 公権力
- 職能代表
- 経済活動
- 管理運営
- 自律
- 公益活動
- 純粋代表
- 利益代表
- 国
- 私的政府
- 使用者
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この過去問の解説 (3件)
01
※令和2年度行政書士試験の問題41です。多肢選択式・憲法の問題です。
※問題41は、三井美唄炭鉱事件(最大判43.12.4)を題材としています。
空欄エには、「統制」が入ります。
比較的有名な判例なので、統制権という言葉を覚えていた方も多いと思われます。
なお、この判例では、次のことが述べられています。
・労働組合は、組合員に対する統制権を有する。
・労働組合が、統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することを、法は禁じていない。
(→勧告・説得はOK)
・勧告または説得の域を超え、立候補の取りやめを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして、違法。
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02
正解は統制です。
回答枠が2か所あるので、それぞれの枠の文意にあう肢から推測する必要があります。
〇〇権は、指揮命令権や支配権、管理運営権などが考えられますが、後の語句としては不自然です。
よって、統制が最も適切であると考えられます。
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03
この問題のポイントは、三井美唄炭鉱労組事件について理解できているかです。
まず、三井美唄事件のポイントは以下の通りです。
・労働組合は組合員に対して、規制を加えることができる(統制権)
・統制権は、必要で合理的な範囲内に限られる。
・立候補の自由は、憲法15条が保障する重要な基本的人権の1つである
・労働組合が組合員が立候補する自由を拘束することはできない
また、統制権の必要で合理的な範囲内とは、具体的に組合員に立候補をやめるよう、勧告・説得は可だが、処分をちらつかせたりするのは不可とされています。
以上の点をおさえて、解説をみてみましょう。
この問題文の三井美唄事件の判決文と要旨より、労働組合の組合員に対する統制権の範囲は必要で合理的な範囲であるとされています。
よって、エには「統制」が入ります。
この問題で出てくる三井美唄事件は今後も別の形で問題として出てくる可能性があります。
本問題の空欄を埋めて、しっかり復習して、あらゆる問われ方に対応しましょう。
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