行政書士の過去問
令和2年度
一般知識等 問57
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問題
行政書士試験 令和2年度 一般知識等 問57 (訂正依頼・報告はこちら)
個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの安全管理を図る措置をとった上で、個人データの取扱いについて、その一部を委託することは可能であるが、全部を委託することは禁止されている。
- 個人情報取扱事業者は、公衆衛生の向上のため特に必要がある場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得ることが困難でない場合でも、個人データを当該本人から取得することができ、当該情報の第三者提供にあたっても、あらためて、当該本人の同意を得る必要はない。
- 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データの提供を受ける者が生じる場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得なければならない。
- 個人情報取扱事業者は、地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合でも、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得た場合に限り、個人データを当該地方公共団体に提供することができる。
- 個人情報取扱事業者は、個人情報の取得にあたって通知し、又は公表した利用目的を変更した場合は、変更した利用目的について、個人情報によって識別される特定の個人である本人に通知し、又は公表しなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 5
1.誤り
個人情報保護法22条は、個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いについて、全部又は一部を委託することが可能だとしているので、個人データの全部を委託することもできます。
2.誤り
23条1項3号のとおり、公衆衛生の向上のため本人の同意なく、個人データを第三者に提供できるのは、本人の同意を得ることが困難な場合ですので、そうではない場合は、もちろん同意が必要です。
3.誤り
23条5項2号のとおり、合併その他の事由による事業の承継に伴う個人データの受取者は第三者には該当しませんので、当該個人データの提供に本人の同意は必要ありません。
4.誤り
23条1項4号のとおり、地方公共団体に協力する必要のある場合は、識別される本人の同意を得なくとも個人データを提供できる場合はあります。
5.正しい
18条3項のとおり、個人情報取扱事業者は、個人情報取得の際、通知し、又は公表した利用目的を変更した場合は、変更後の利用目的を本人に通知し、又は公表しなければなりません。
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02
1誤り
全部を委託しても良いです。
参照:個人情報保護法20条、22条
2誤り
必要はあります。
参照:個人情報保護法2条8項、16条、23条
3誤り
本人の同意を得る必要はありません。
参照:個人情報保護法23条
4誤り
本人の同意を得なくても、個人データを当該地方公共団体に提供することができます。
参照:個人情報保護法23条
5正しい
個人情報保護法18条3項により、正しいです。
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03
この問題のポイントは個人情報取扱事業者の義務です。
個人情報取扱事業者の義務は以下の3つです。
1.利用目的の特定
個人情報取扱事業者は可能な限り、個人情報の利用目的を特定しなければなりません。
また、利用目的を特定したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、その利用目的を本人に通知または公表しなければなりません。
さらに個人情報の利用目的を変更する場合は、変更前と関連した範囲でしかできないです。
なお、利用目的を変更した場合も、原則として、変更後の利用目的を本人に通知または公表する必要があります。
2.安全管理措置義務
個人情報取扱事業者は、個人データの安全管理のために必要な措置が講じなければならないです。
そのために
・従業者の監督
・委託先の監督(個人データの全部又は一部を委託先に委託できます)
などの義務があります。
3. 第三者提供の制限
個人情報取扱事業者は、原則、個人情報を第3者に提供する場合はあらかじめ本人の同意を得る必要があります。
また、本人の同意を得ずに個人情報を第3者に提供できるのは以下の場合です。
・法令に基づく場合
・人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困
難であるとき
・公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同
意を得ることが困難であるとき
・国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに
対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障
を及ぼすおそれがあるとき
・当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データの提供が学術
研究の成果の公表又は教授のためやむを得ないとき(個人の権利利益を不当に侵害するおそれ
がある場合を除く)
・当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データを学術研究目
的で提供する必要があるとき(当該個人データを提供する目的の一部が学術研究目的である場
合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く)(当該個人情報取扱
事業者と当該第三者が共同して学術研究を行う場合に限る)
・当該第三者が学術研究機関等である場合であって、当該第三者が当該個人データを学術研究目
的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術研究目的である場
合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く)
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、個人データの取り扱いについて、1部又は全部を委託することができます。
よって、個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの安全管理を図る措置をとった上で、個人データの取扱いについて、その一部又は全部を委託することは可能ですとなります。
解説の冒頭より、公衆衛生の向上に特に必要がある場合で、本人の同意を得ることが困難であるときは第3者提供に本人の同意を得る必要はないです。
よって、個人情報取扱事業者は、公衆衛生の向上のため特に必要がある場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得ることが困難な場合は、個人データを当該本人から取得することができ、当該情報の第三者提供にあたっても、あらためて、当該本人の同意を得る必要はないです。
個人情報保護法第27条5項の五に合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合はその者は第三者に該当しないとされています。
個人情報取扱事業者は、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データの提供を受ける者が生じる場合には、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得なくてもよいとされています。
解説の冒頭より、国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときは本人の同意を得る必要なしに、第3者に提供することができます。
よって、個人情報取扱事業者は、地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合でも、個人情報によって識別される特定の個人である本人の同意を得なくても、個人データを当該地方公共団体に提供することができるとなります。
解説の冒頭より、個人情報取扱事業者は利用目的を変更した場合も、原則として、変更後の利用目的を本人に通知または公表する必要があります。
よって、個人情報取扱事業者は、個人情報の取得にあたって通知し、又は公表した利用目的を変更した場合は、変更した利用目的について、個人情報によって識別される特定の個人である本人に通知し、又は公表しなければならないとなります。
この問題で出てくる個人情報保護法での個人情報取扱事業者の義務は、たびたび行政書士試験に出てくるので、過去問を解きながら、条文理解を深めましょう。
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