行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問2
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問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
法令の効力に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。
- 法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。
- 日本国の法令は、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および航空機内であっても、その効力を有しない。
- 一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、後法である一般法が優先して適用され、当該特別法は効力を失う。
- 法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.その法を即日から施行すると定めることで即日施行される場合もあります。
よって誤りです。
2.施行期日を定めずに公布日より起算した日数で施行される場合もあります。
よって誤りです。
3.属人主義を採用し海外でも効力を発する場合もあります。
よって誤りです。
4.前法が特別法の場合、例外として特別法が優先されます。
よって誤りです。
5.法の中で有効期間が定められている場合、時期の到来をもって効力を失います。
よって正です。
法の効力の有効期限
法の効力は、原則としてその法に定められた施行日より効力を発揮します。
一般に、国会にて法が制定された後に国民に対し天皇によって公布され、その法で定められた施行日から施行されますが、その法を施行するための準備期間が必要ない場合や緊急性を要する場合には、「即日から法を施行する」と定めることで即日施行される場合もあります。
また法の中で施行日を定めていない場合、法律であれば公布の日より起算して20日を経過した日、条例であれば公布の日より起算して10日を経過した日が施行日となります。
法の効力の終わり(存続期間)については規定しないのが一般的であり、期間の定めがない場合には、その法が改正あるいは廃止されるまで存続するものとされています。
逆に期日の定めのある法(時限法・時限立法)であれば、原則としてその期日をもって効力を失います。
法の効力の範囲
法の効力の及ぶ範囲は、原則として我が国の領土・内水・領海・領空までとされています。これを属地主義と言います。
これに対し、その人の属する国の法律が、たとえ国を離れたとしても適用されるという考え方もあります。これを属人主義と言います。
日本では刑法で定める国外犯の規定などに、例外的に属人主義が採用されています。
法の効力の優先順位
法の効力において、対象を指定している特別法は、対象を指定していない一般法よりも優先されるとされています。
また法の施行・改正された順番によって元からあった法(前法)よりも新たにできた方(後法)が優先されるとされています。
しかし本設問のように、特別法が前法で一般法が後法という関係の場合、例外的に特別法が優先されます。
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02
正解は「法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。」です。
緊急を要する場合においては、法律を即日施行することもあるので、誤りです。
公布日を起算点として施行日を定める場合もあるので、誤りです。
例えば日本の刑法においては、旗国主義を採用しており、日本籍の船舶や航空機内にも属地主義が及びます。
よって誤りです。
一般法が後法で、特別法が前法の場合は、特別法が優先されるため、この説明は誤りです。
正しいです。
瀬戸内海環境保全臨時措置法などがあり、附則に、失効期日を定めています。
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03
この問題のポイントは、法の効力の理解です。
まず、法の効力の有効期限についてです。
法は原則、法に定められた施行日から効力を発生します。
例えば、法に定められた施行日が即日なら、即日から効力が発生します。
また、法に施行日が定められていない場合は、公布の日から起算して20日後に施行されます。
最後に法の効力の有効期限は一般的に規定されておらず、法が改正又は撤廃されるまでが有効期限とされています。
例外として、期日の定めのある法(即時法・即時立法)があり、これは原則として期日が過ぎれば効力を失います。
次に法の効力の範囲です。
日本の法の効力の範囲は、原則属地主義であり、領土・領海・領空・内水までとされています。
ただ、日本の領域は、領土・領海・領空だけでなく、飛行機や船で移動中でも、日本国籍の飛行機や船でも、日本の法が適用される場合があります。
例外として、日本の領土にある外国大使館では適用されません。
また、属地主義ではなく、属人主義を採用している法があり、例として刑法第199条があります。
最後に法の効力の優先順位です。
一般法と特別法の両方が適用できる場面で、それぞれの規律が異なる場合、特別法の規律が適用されます。
また、旧法と新法の規律が異なる場合は、新法が適用されます。
さらに、一般法が新法で、特別法が旧法の場合は、旧法の特別法が適用されます。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭より、法に定められた施行日が即日なら、即日から効力が発生します。
よって、法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが多いが、公布日から直ちに法律を施行することもできるとなります。
解説の冒頭より、法に施行日が定められていない場合は、公布の日から起算して20日後に施行されます。
よって、法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めることが多いが、施行期日を定めなくても良いとなります。
解説の冒頭より、日本の領域は、領土・領海・領空だけでなく、飛行機や船で移動中でも、日本国籍の飛行機や船でも、日本の法が適用される場合があります。
よって、日本国の法令は、原則その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および航空機内であっても、その効力を有する場合があるとなります。
解説の冒頭より、一般法が新法で、特別法が旧法の場合は、旧法の特別法が適用されます。
よって、一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、先法である特別法が優先して適用され、当該一般法は効力を失うとなります。
解説の冒頭より、期日の定めのある法(即時法・即時立法)があり、これは原則として期日が過ぎれば効力を失います。
よって、法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われるとなります。
この問題で出てくる法令の効力は、行政書士試験でよく出てくるので、解説を読みながら理解を深めていきましょう。
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