行政書士の過去問
令和4年度
一般知識等 問57

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問題

行政書士試験 令和4年度 一般知識等 問57 (訂正依頼・報告はこちら)

個人情報保護制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは異なり、国の制度がすべての地方公共団体に先行して整備された。
  • 個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならない。
  • 個人番号カードは、個人情報保護法に基づいて、各都道府県が交付している。
  • 個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができる。
  • 個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどる。

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この過去問の解説 (3件)

01

一般知識の中で最も出題頻度の高いのが個人情報保護法です。知識があれば解ける問題が多いので、足切り対策として条文を中心に整理しておきましょう。

選択肢1. 個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは異なり、国の制度がすべての地方公共団体に先行して整備された。

誤りです

国の制度が整備されるよりも前の、1884年に福岡県春日市で条例が制定された事例があります。

選択肢2. 個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならない。

誤りです

個人情報保護委員会は、行政機関の義務等の規定の円滑な運用を確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長等に対し、行政機関等における個人情報等の取扱いについて、必要な指導・助言・勧告をすることができます(個人情報保護法157条、158条)。

しかし、問題文のような規定はありません。

選択肢3. 個人番号カードは、個人情報保護法に基づいて、各都道府県が交付している。

誤りです

個人番号カード(マイナンバーカード)を交付するのは市町村長です(個人番号法17条1項)。

選択肢4. 個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができる。

誤りです

個人情報保護委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければなりません(個人情報保護法168条)。

しかし、問題文のような規定はありません。

選択肢5. 個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどる。

正しいです

個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関することを行います(個人情報保護法132条3号)。

まとめ

2023年4月に改正個人情報保護法が施行されているので、こちらもチェックしておきましょう。

参考になった数6

02

本問は個人情報保護制度に関する問題です。

思考力で回答することもできますが、しっかりと知識をつけておくことをお勧めします。

選択肢1. 個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは異なり、国の制度がすべての地方公共団体に先行して整備された。

「すべての地方公共団体に先行して整備された」の「すべて」に注目してください。

地方公共団体は、1788団体あります。

その中のどれかは、国よりも先に個人情報保護の制度を整備したのではないかと考えた方、その通りです。

ちなみに、問題文の中に「すべての」という文言が入っているものは、誤りであることが多いです。

よって、本記述は誤っています。

選択肢2. 個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならない。

「個人情報保護条例を作らなければならない」なんてルールは存在しませんので、個人情報保護条例を制定していないから個人情報保護法違反であるという訳ではありません。

よって、本記述は誤っています。

選択肢3. 個人番号カードは、個人情報保護法に基づいて、各都道府県が交付している。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の7条第1項には、「市町村長は、住民基本台帳法第三十条の三第二項の規定により、住民票に住民票コードを記載したときは、政令で定めるところにより、速やかに、次号第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、その者に対し、当該個人番号を通知しなければならない」と規定しています。

よって、本記述は誤っています。

選択肢4. 個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができる。

個人情報保護法には、本記述のような規定は存在しません。

よって、本記述は誤っています。

選択肢5. 個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどる。

本記述の通りです。

まとめ

個人情報保護に関する問題は、合格後実務に出てから役に立つので、しっかり学習しておくことをおすすめします。

参考になった数2

03

この問題のポイントは、個人情報保護法第132条3号、157条、158条、168条の理解です。

まず個人情報保護法第132条3号は委員会は、前条の任務を達成するため、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどるとされています。

個人情報保護法第157条は委員会は、前章の規定の円滑な運用を確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長等に対し、行政機関等における個人情報等の取扱いについて、必要な指導及び助言をすることができるとされています。

個人情報保護法第158条は委員会は、前章の規定の円滑な運用を確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長等に対し、行政機関等における個人情報等の取扱いについて勧告をすることができるとされています。

最後に個人情報保護法第168条は委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないとされています。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは異なり、国の制度がすべての地方公共団体に先行して整備された。

個人情報保護法ができたのは2003年で、徳島市で個人情報保護に関する条例が1973年にできました。

よって、個人情報保護に関しては、一部の地方公共団体が先行して制度を整備した情報公開とは同様、国の制度より一部の地方公共団体が先行して整備されたとなります。

選択肢2. 個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならない。

解説の冒頭より、個人情報保護委員会が行政機関の長や地方公共団体にできるのは行政機関の長等に対し、行政機関等における個人情報等の取扱いについて、必要な指導及び助言をすることができ、この円滑な運用を確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長等に対し、行政機関等における個人情報等の取扱いについて勧告をすることができるとされています。

よって、個人情報保護委員会は、個人情報保護条例を制定していない地方公共団体に対して、個人情報保護法違反を理由とした是正命令を発出しなければならないという決まりはないとなります。

選択肢3. 個人番号カードは、個人情報保護法に基づいて、各都道府県が交付している。

個人番号カードはマイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)に基づいて、各市町村が交付します。

よって、個人番号カードは、マイナンバー法に基づいて、各市町村が交付しているとなります。

選択肢4. 個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができる。

解説の冒頭より、個人情報保護委員会が内閣総理大臣に対してすることは所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表のみです。

よって、個人情報保護委員会は、内閣総理大臣に対して、地方公共団体への指揮監督権限の行使を求める意見を具申することができるという規定は個人情報保護法にはないとなります。

選択肢5. 個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどる。

解説の冒頭より、個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどるとされています。

よって、個人情報保護委員会は、認定個人情報保護団体に関する事務をつかさどるとなります。

まとめ

この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、個人情報保護法の条文素読もやった方が良いでしょう。

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