行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問23
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問題
行政書士試験 令和5年度 法令等 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
地方自治法(以下「法」という。)が定める直接請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下「選挙権」とは、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権」をいう。
- 事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、日本国民であるか否か、また選挙権を有するか否かにかかわらず、これを請求することができる。
- 普通地方公共団体の事務のうち法定受託事務に関する条例については、条例の制定改廃の直接請求の対象とすることはできない。
- 市町村の条例の制定改廃の直接請求における署名簿の署名に関し異議があるとき、関係人は、法定の期間内に総務大臣にこれを申し出ることができる。
- 議会の解散請求は、日本国民たる普通地方公共団体の住民であって選挙権を有する者の総数のうち、法所定の数以上の連署をもって成立するが、この総数が一定数以上の普通地方公共団体については、成立要件を緩和する特例が設けられている。
- 議会の解散請求が成立した後に行われる解散の住民投票において、過半数の同意があった場合、議会は解散するが、選挙権を有する者の総数が一定以上の普通地方公共団体については、過半数の同意という成立要件を緩和する特例が設けられている。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題のポイントは、地方自治法74条1項と74条の2第4項、75条1項、76条1項、78条の理解です。
まず、地方自治法74条1項は普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下この編において「選挙権を有する者」という。)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができるとされています。
地方自治法74条の2第4項は署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができるとされています。
地方自治法75条1項は選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができるとされています。
地方自治法76条1項は選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができるとされています。
最後に地方自治法78条は普通地方公共団体の議会は、第七十六条第三項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとするとされています。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができるとされています。
よって、事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民で日本国民で、選挙権を有していれば、これを請求することができるとなります。
解説の冒頭より、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができるとされています。
よって、地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例については、条例の制定改廃の直接請求の対象とすることはできないとなります。
解説の冒頭より、署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができるとされています。
よって、市町村の条例の制定改廃の直接請求における署名簿の署名に関し異議があるとき、関係人は、法定の期間内に市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができるとなります。
解説の冒頭より、選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができるとされています。
よって、議会の解散請求は、日本国民たる普通地方公共団体の住民であって選挙権を有する者の総数のうち、法所定の数以上の連署をもって成立するが、この総数が一定数以上の普通地方公共団体については、成立要件を緩和する特例が設けられているとなります。
解説の冒頭より、普通地方公共団体の議会は、第七十六条第三項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとするとされています。
よって、議会の解散請求が成立した後に行われる解散の住民投票において、過半数の同意があった場合、議会は解散するが、選挙権を有する者の総数が一定以上の普通地方公共団体については、過半数の同意という成立要件を緩和する特例が設けられていないとなります。
この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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02
選挙権に関する出題です。
選択肢ごとに解説します。
誤りです。
選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監查の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条1項)。よって、「選挙権を有する者」とは、満18年以上の日本国民で、引き続き3ヵ月以上、その市町村の区域内に住所を有する者を指します(地方自治法18条)。したがって、「日本国民であるか否か、また選挙権を有するか否かにかかわらず」という記述が誤りです。日本国民で、かつ選挙権を有していないと事務監査請求はすることができません。
誤りです。
本肢のような「普通地方公共団体の事務のうち法定受託事務に関する条例については、条例の制定改廃の直接請求の対象とすることはできない。」という制限はありません。よって、誤りです。 「条例の制定改廃の直接請求」に関するルールは、下記の通りです。
選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができます。ただし、地方自治法74条1項では例外的に「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する条例」については、制定又は改廃の請求ができません。
誤りです。
「総務大臣に」という記述が誤りです。正しくは「当該市町村の選挙管理委員会」です。 市町村の条例の制定改廃の直接請求における署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、法定の期間内に「当該市町村の選挙管理委員会」にこれを申し出ることができます(地方自治法74条の2第4項)。つまり、「市町村の条例の制定改廃の直接請求における署名簿の署名に関し異議」は、総務大臣ではなく当該市町村の選挙管理委員会に申し出るものです。
正しいです。
誤りです。
選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の3分の1(その総数が40万を超え80万以下の場合にあってはその40万を超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が80万を超える場合にあってはその80万を超える数に8分の1を乗じて得た数と40万に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる(地方自治法76条1項)。よって、総数が一定数以上の普通地方公共団体については、成立要件を緩和する特例が設けられています。
出題率の高い分野ですのでしっかり押さえておきましょう。
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03
地方自治法が定める直接請求に関する出題です。
地方自治法2条2項により、「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。」とされ、同法14条1項により、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて2条2項の事務に関し、条例を制定することができる。」とされ、同法18条により、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」とされ、同法74条1項により、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者という。)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。」とされ、同法75条1項により、「選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。」とされます。
つまり、「当該普通地方公共団体の住民であれば、日本国民であるか否か、また選挙権を有するか否かにかかわらず、これを請求することができる」という部分が、誤りです。
地方自治法2条2項により、「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。」とされ、同法14条1項により、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて2条2項の事務に関し、条例を制定することができる。」とされ、同法18条により、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」とされ、同法74条1項により、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者という。)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。」とされ、同法75条1項により、「選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。」とされます。
つまり、「条例の制定改廃の直接請求の対象とすることはできない」という部分が、誤りです。
地方自治法74条の2第1項により、「条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名した者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から20日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。」とされ、同条2項により、「市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から7日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。」とされ、同条4項により、「 署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、2項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができる。」とされます。
つまり、「総務大臣」という部分が、誤りです。
地方自治法76条1項により、「選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の3分の1(その総数が40万を超え80万以下の場合にあつてはその40万を超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が80万を超える場合にあつてはその80万を超える数に8分の1を乗じて得た数と40万に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる。」とされ、同条3項により、「1項の請求があつたとき、委員会は、これを選挙人の投票に付さなければならない。」とされ、同法78条により、「普通地方公共団体の議会は、76条3項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとする。」とされるので、正しいです。
地方自治法76条1項により、「選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の3分の1(その総数が40万を超え80万以下の場合にあつてはその40万を超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が80万を超える場合にあつてはその80万を超える数に8分の1を乗じて得た数と40万に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる。」とされ、同条3項により、「1項の請求があつたとき、委員会は、これを選挙人の投票に付さなければならない。」とされ、同法78条により、「普通地方公共団体の議会は、76条3項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとする。」とされます。
つまり、「選挙権を有する者の総数が一定以上の普通地方公共団体については、過半数の同意という成立要件を緩和する特例が設けられている」という部分が、誤りです。
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