行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問22
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問題
行政書士試験 令和5年度 法令等 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
地方自治法が定める普通地方公共団体に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 普通地方公共団体の区域は、地方自治法において「従来の区域」によるとされており、同法施行時の区域が基準となる。
- 市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基づき、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、国会が承認することによって成立する。
- 都道府県の境界変更は、関係都道府県がその旨を定めた協定を締結し、総務大臣に届け出ることによって成立する。
- 市となるべき普通地方公共団体の要件として、地方自治法それ自体は具体的な数を示した人口要件を規定していないが、当該都道府県の条例で人口要件を定めることはできる。
- 市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき又は職権で当該争論を裁判所の調停に付すことができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
地方自治法が定める普通地方公共団体に関する出題です。
地方自治法5条1項により、「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。」とされるので、正しいです。
地方自治法7条1項により、「市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。」とされます。
つまり、「国会が承認することによって成立する」という部分が、誤りです。
地方自治法6条1項により、「都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める。」とされ、同条2項により、「都道府県の境界にわたつて市町村の設置又は境界の変更があつたときは、都道府県の境界も、また、自ら変更する。従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域を市町村の区域に編入したときも、また、同様とする。」とされ、同条3項により、「前二項の場合において財産処分を必要とするときは、関係地方公共団体が協議してこれを定める。但し、法律に特別の定があるときは、この限りでない。」とされます。
つまり、「関係都道府県がその旨を定めた協定を締結し、総務大臣に届け出ることによって成立する」という部分が、誤りです。
地方自治法8条1項により、「市となるべき普通地方公共団体は、①人口5万以上を有すること、➁当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の6割以上であること、③商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること、④①から③に定めるものの外、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていることという要件を具えていなければならない。」とされ、同条2項により、「町となるべき普通地方公共団体は、当該都道府県の条例で定める町としての要件を具えていなければならない。」とされます。
つまり、「地方自治法それ自体は具体的な数を示した人口要件を規定していないが、当該都道府県の条例で人口要件を定めることはできる」という部分が、誤りです。
地方自治法9条1項により、「市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを251条の2の規定による調停に付することができる。」とされ、同法251条2項により、「自治紛争処理委員は、3人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事がそれぞれ任命する。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する各大臣又は都道府県の委員会若しくは委員に協議するものとする。」とされ、同法251条の2第1項により、「普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間に紛争があるときは、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県又は都道府県の機関が当事者となるものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事は、当事者の文書による申請に基づき又は職権により、紛争の解決のため、前条2項の規定により自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる。」とされます。
つまり、「都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき又は職権で当該争論を裁判所の調停に付すことができる」という部分が、誤りです。
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02
この問題のポイントは、地方自治法5条1項、6条1項、7条1項、8条1項1号、9条1項の理解です。
まず地方自治法5条1項は普通地方公共団体の区域は、従来の区域によるとされています。
地方自治法6条1項は都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定めるとされています。
地方自治法7条1項は市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならないとされています。
地方自治法8条1項は市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならないとされ、その条件の1つである1号は人口五万以上を有することとされています。
最後に地方自治法9条1項は市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第二百五十一条の二の規定による調停に付することができるとされています。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭より、普通地方公共団体の区域は、従来の区域によるとされています。
よって、普通地方公共団体の区域は、地方自治法において「従来の区域」によるとされており、同法施行時の区域が基準となるとされています。
解説の冒頭より、市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならないとされています。
よって、市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基づき、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出ることによって成立するとなります。
解説の冒頭より、都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定めるとされています。
よって、都道府県の境界変更は、法律で定めることによって成立するとなります。
解説の冒頭より、市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならないとされ、その条件の1つである1号は人口五万以上を有することとされています。
よって、市となるべき普通地方公共団体の要件として、地方自治法それ自体は具体的な数を示した人口要件を規定しているとなります。
解説の冒頭より、市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第二百五十一条の二の規定による調停に付することができるとされています。
よって、市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき地方自治法第二百五十一条の二の規定による調停に付すことができるとなります。
この問題のように、条文知識を問う問題は行政書士試験に出てくるので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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03
地方公共団体にする規定からの出題です。
妥当です。
普通地方公共団体の区域は、従来の区域によります(地方自治法5条1項)。そして、これは地方自治法施行時の区域が基準となります。分かりやすく言えば、地方自治体の区域は、その地域の歴史的な経緯や既存の制度に基づいて決定されるということを意味しています。具体的には、地方自治体の区域は従来から存在しており、その範囲や境界は歴史的な経緯や地理的な条件、人口分布、行政上の便宜などに基づいて形成されています。この規定は、地方自治体の区域を安定させ、一定の基準に基づいて変更されないようにするために設けられています。
誤りです。
市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければなりません(地方自治法7条1項)。「国会が承認」は不要ですので、誤りです。
誤りです。
都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定めます(地方自治法6条1項)。分かりやすくいうと、都道府県の廃止、新設、合併、または境界変更を行う場合には、それに関する具体的な手続きや条件を、法律で定める必要があるということです。つまり、協定の締結や総務大臣への届出で成立するわけではないので、誤りです。
誤りです。
市となるべき普通地方公共団体は、下記要件を備えなければなりません(地方自治法8条1項)。
①人口が5万人以上であること。
②当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に存在戸数が、全戸数の6割以上であること。
③商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること。
上記に定めるものの他、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていること。
よって、「地方自治法それ自体は具体的な数を示した人口要件を規定していない」というのは誤りです。市となる人口要件として5万人以上と定めています。
誤りです。
市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、調停に付することができます(地方自治法9条)。本肢は「又は職権で当該争論を裁判所の調停に付すことはできる」となっているので誤りです。「職権」では調停に付することはできません。
地方公共団体に関する問題は出題率が非常に高いので網羅的に押さえておきましょう。
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