②が解答となります。
【問題の解き方について】
今回の問題のような「事例に対する対策の最適解を探す」問題については、
・明らかに違う(×)
・あっている気もするが、少し悩む(△)
・確実に合っている(〇)
上記のような3種類に分類することができます。
いわゆる「消去法」で選択肢を絞っていくのが解答方法としてはやりやすいかと思います。
実際の試験では、思ったより時間が取れないことが多いです。
考えている間に回答時間が終わってしまうということもありますので、まずは素早く問題を流し読みしつつ、選択していくのもポイントとなります。
今回は、解説のため一つずつまとめていきたいと思います。
【問題の意図を読み取る】
・今回のキーワードは「過労運転」になります
その要因として簡単にまとめると3点上がっています。
・過労運転による「ヒヤリハット」が感じられる
・居眠り運転
・大型トラックの追突事故は死亡率が高い
これらに着目して選択肢を見ていきます。
ア 経営トップから現場の運転者に至るまで、「 輸送の安全 」が企業の存立に最も重要であることをあらためて自覚し、過労運転防止を安全方針等に掲げて具体的数値目標を設定し、PDCAサイクルに基づき輸送の安全性の向上を図ること。
→有効な対策となります。
「輸送の安全」を維持するために「過労運転防止」を安全方針とし
PDCAサイクルによって繰り返し指導教育をしていくことは有効といえます。
※PDCAサイクルとは「Plan」「Do」「Check」「Act」の頭文字をとり、
計画・実行・確認・改善を日々繰り返すことを意味します。
イ 運転者には、大型トラックの運転方法、多様な地理的・気象状況のもとでの道路状況及び運行の状況に関する指導を計画的に行い、運転者の安全運転に関する技量向上を図ること。
→対策としては認められません。
運転方法や運行の状況に関する指導は「過労運転」を防止する対策としては
方向性が異なるため、正しい選択とは言えません。
ウ 点呼において、運転者の顔つきなどの変化をよく観察し、前日の勤務状況や疲労及び健康状態などについて細かくチェックすることはもとより、運転者が疲労及び健康に関連した異常を感じたときに、常に「 安全を優先した 」対応のできる職場環境作りをすること。
→対策としては有効となります。
「点呼」は原則対面で行うため、運転者と直接接するよい機会となります。
その場面において、健康状態を把握したりコミュニケーションを取ることで
「普段の業務態度との違い」を感じ取ることができます。
また、人によっては不調を訴えることを躊躇ってしまったり「責任感」や
「怒られる」と言った思いから発言ができない方もいらっしゃいます。
すべての人が安心して発言ができる環境づくりも大切になります。
エ 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を遵守し、運転者が疲れを感じたときには、臨時に休憩がとれる余裕を見込んだ運行計画を作成すること。
→対策としては有効となります。
体調が優れない方は安全な運転の保証ができないため、
運行に送り出すことはできません。
そういった事例は突発的に起こりますので、人員の余裕であったり
緊急時でも臨機応変に対応ができる人材育成も含め、
余裕を持った運行計画を立てることが理想となります。
オ 法令に基づく運転者が遵守すべき事項に関する知識のほか、大型トラックの持つ特性等について理解をさせ、運行の安全を確保するための必要な運転に関する技能・知識を習得させること。
→対策としては認められません。
運転者の知識や技術の向上は必要ですが「過労運転」を防ぐ意味では、
適切な対策とは言えません。
カ 運転者自らが日常的に健康管理を適切に行っていくことを指導すること。特に、脳卒中や心臓病など、運転中の突然死を招く生活習慣病を予防していくためには、食生活、運動習慣、休養、飲酒、喫煙等の習慣を改善し、自身の健康状態を把握するために、定期的な健康診断は必ず受診をさせること。
→対策としては有効となります。
「過労運転防止」には事業所や運行管理者だけの努力では難しい面もあります。
運転者自身が日々の健康管理や、業務とリフレッシュのバランスが取れた
生活を送ることも有効な対策となります。
また「健康診断結果」についても所見と向き合わない方も多かったり
「病院へ行くのが面倒くさい」という方もおりますので、
自身の健康と向き合う大切さを理解していただくことも必要となります。
キ 大型トラックが駐車して休憩できる駐車場やトラックステーション等の位置を把握し、運行計画の策定時に運転者が休憩・仮眠に利用できるよう配慮し、これらの施設を運転者に活用させるよう指導すること。
→対策としては有効となります。
過労運転の要因の一つとして「休める場所がない」「途中で止まることが嫌だ」
という意見もあります。
しっかりと運行計画の中に休憩の場所・時間を折込み
遵守した走行をしてもらうことも大切ですし、
実際の休憩地を把握しておくことも大切となります。
またこういった情報は運転者同士もよく把握していることもあるため、
運転者同士でも情報交換や積極的な発信をしてもらうこともよいと思います。
ク ASV( 先進安全自動車 )の導入により、車両面の安全対策を行っていくこと。
→対策としては認められません。
車両の安全性を高めていくことは「事故の確率」を下げたり
「被害を軽減」することにはつながるかもしれません。
ですが、今回のポイントである「過労運転」を回避する対策としては
相応しくありません。