管理栄養士の過去問
第31回
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問26
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問題
第31回 管理栄養士国家試験 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問26 (訂正依頼・報告はこちら)
臨床検査に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
- 閉塞性肺障害では、1秒率が上昇する。
- ASTは、ALTより肝特異性が高い。
- 鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)が大きくなる。
- 溶血性貧血による高ビリルビン血症では、直接ビリルビンが優位になる。
- 抗核抗体は、自己抗体である。
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この過去問の解説 (3件)
01
2.ASTはALTより肝特異性が低いです。ASTは心筋、肝臓、骨格筋、腎臓の順に発現量が高く、ASTの上昇は肝疾患の他にも心筋炎、肺梗塞、腎梗塞、筋ジストロフィーなどでもみられます。一方、ALTは肝臓、心筋、骨格筋の順に発現が高いですが、肝臓での発現が特に高いため、ALTはASTより肝特異性が高いと考えられています。
3. 鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)が低値を示します。鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することにより、じゅうぶんにヘモグロビンを産生できないため生じる貧血です。ヘモグロビンがじゅうぶん産生されないため、赤血球も小さくなります。
4. 溶血性貧血による高ビリルビン血症では、間接ビリルビンが優位になります。ビリルビンは赤血球が破壊された時に産生されます。この時に産生されたビリルビンを間接ビリルビンといいます。間接ビリルビンは肝臓においてグルクロン酸抱合を受け、直接ビリルビンとなった後、排泄されます。
溶血性貧血は赤血球が過剰に壊されることによって起こる貧血のため、間接ビリルビンが優位になります。
5. 正解です。抗核抗体は、自身の細胞内の核内に含まれる抗原物質に対する自己抗体の総称です。膠原病が疑われた場合のスクリーニング検査として利用されます。この検査で陽性の場合、どの種類の抗核抗体が陽性なのかを調べる検査を行います。
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02
1.×
閉塞性肺障害では、1秒率が低下します。
1秒率とは、努力肺活量に対する最初の1秒間で吐き出した量の割合を示したもので、70%以下の場合は、閉塞性換気障害となります。
2.×
ASTは、ALTより肝特異性が低いです。
AST(GOT)は、肝・筋細胞、赤血球に存在し、これらの細胞の壊死・破壊により、血中に逸脱してきて、その値は壊死・破壊の程度を反映しています。ALT(GPT)は、主に肝細胞に存在する酵素で、この上昇は肝細胞の壊死・破壊の程度を反映しています。
したがってALTの方が肝特異性が高くなります。
ちなみに慢性肝炎などではAST<ALTですが、肝硬変では逆にAST>ALTとなります。
3.×
鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)がと小さくなります。
鉄欠乏性貧血は、MCVが≦80、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)が≦30になり、小球性低色素性貧血と呼ばれています。
MCVが大きくなるのは、MCV>101、MCHC31~35の大球性正色素性貧血と呼ばれる巨赤芽球性貧血のことです。
4.×
溶血性貧血による高ビリルビン血症では、間接ビリルビンが優位になります。
溶血性貧血では、赤血球の破壊により溶血によるビリルビン産生が肝臓の処理能力を超えます。(間接ビリルビンの過剰産生)
直接ビリルビンが優位になるのは、急性・慢性肝炎や肝硬変などです。
5.〇
抗核抗体は、自己抗体です。
抗核抗体とは、自己細胞中にある細胞核を構成する成分を抗原とする自己抗体の総称です。膠原病が疑われた場合のスクリーニング検査として利用されます。
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03
1 . 閉塞性肺障害では、1秒率の低下が見られます。
1秒率とは、
1秒間に呼出される量÷努力性肺活量✕100
で求められた値です。
2 . ALTは、ASTより肝特異性が高いです。
ALTは主に肝臓に存在し、ASTは肝臓だけではなく
心筋、骨格筋などにも存在します。
3 . 鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)が小さく
なります。
鉄欠乏性貧血とは、鉄欠乏のためヘモグロビン合成が
障害された貧血のことです。
4 . 溶血性貧血による高ビリルビン血症では、
間接ビリルビンが優位になります。
溶血性貧血は赤血球の寿命が、先天性の赤血球異常や
薬物・抗原抗体反応等で短くなって起こる貧血です。
5 . 抗核抗体は、自己抗体です。
膠原病などで高値を示します。
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