管理栄養士の過去問
第31回
栄養教育論 問100

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第31回 管理栄養士国家試験 栄養教育論 問100 (訂正依頼・報告はこちら)

特定保健指導の積極的支援の対象になり、節酒を行動目標とした男性である。初回面接1か月後の支援時に、「酒の量は減らせたが、たまに飲み過ぎてしまいそうになる」と話している。トランスセオレティカルモデルに基づく行動変容ステージに合った管理栄養士の対応である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  • お酒を減らせば、検査結果も改善することを、説明する。
  • 悪化すると、家族にどのような影響を及ぼすかを、考えてもらう。
  • 節酒が成功して、スリムになった自分の姿を想像してもらう。
  • 節酒していることを、同僚に対して宣言してもらう。
  • 節酒できている自分へのほうびを、考えてもらう。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

トランスセオレティカモデルは、プロチャスカらにより提唱された、「変容ステージ」・「変容プロセス」・「セルフエフィカシー(自己効力感)」・「意思決定バランス」の4つの要素から構成される複合的モデルです。
<変容ステージ>
①無関心期:6ヶ月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がない
②関心期:6ヶ月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある
③準備期:1ヶ月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある
④実行期:明確な行動変容が観察されるが、その時期がまだ6ヶ月未満である
⑤維持期:明確な行動変容が観察され、その維持が6ヶ月以上である
ステージ間の移行は、直線的で不可逆的なものではなく、ステージ間を行ったり来たりしながら進んでいくと考えられています。
<変容プロセス>
*経験的(認知的)プロセス*
①意識の高揚:行動に関する情報を収集し、気づきを高める
②感情的体験:問題行動が引き起こす結果による不安や恐怖などの負の感情を体験する
③自己再評価:行動を変容させることで、自分自身がどのような恩恵があるかを評価する
④環境再評価:行動を変容させることで、周りにどのような恩恵があるかを評価する
⑤社会的開放:自分を取り巻く社会環境がどのように変化しているかに気づく
*行動的プロセス*
⑥反射条件づけ:問題行動に変わるような代替行動を取り入れる
⑦援助的関係:行動変容のために周りからのサポートを得る
⑧強化マネジメント:行動変容が成功した際に報酬を受け取る
⑨自己解放:周囲に行動変容することを意思表明する
⑩刺激コントロール:容易に行動変容できるように環境に操作する

対象者は、「節酒」を目標としており、初回面接1ヶ月後の支援にて“酒の量は減らせたが、たまに飲みすぎてしまいそうになる(=節酒目標は実行出来ている)”と話しています。
これは、トランスセオレティカモデルの変容ステージ:④、変容プロセス:⑥⑦⑧⑩にあたります。

これを踏まえ、
1.×:変容ステージ:無関心期~関心期、変容プロセス:意識の高揚にあたります。

2.×:変容ステージ:無関心期~関心期、変容プロセス:環境再評価にあたります。

3.×:変容ステージ:準備期~実行期、変容プロセス:自己再評価にあたります。

4.×:変容ステージ:準備期~実行期、変容プロセス:自己解放にあたります。

5.○:変容ステージ:実行期~維持期、変容プロセス:強化マネジメントにあたります。

参考になった数12

02

この男性は、1か月後の支援のあとに、「酒の量は減らせたが、たまに飲みすぎてしまいそうになる」と言っています。
これは、すでに行動は実行されており、今後維持するためにどうしたらよいかを考える段階にきています。
トランスセオレティカルモデルでいうと、「実行期」から「維持期」に向かっている段階と言えます。
この場合、必要なのは「行動置換」「援助関係の利用」「強化のマネジメント」「刺激統制」です。

1)×:「意識の高揚」にあたります。「無関心期」に有効です
2)×:「環境の再評価」にあたります。「無関心期」に有効です
3)×:「自己の再評価」にあたります。「関心期」に有効です
4)×:「自己の解放」にあたります。「準備期」に有効です
5)〇:正しいです、これは「強化のマネジメント」にあたります。

参考になった数5

03

 初回面接時に節酒という目標をたて、1か月後の支援時に“お酒の量を減らせた”と発言しているので、男性はトランスセオレティカルモデルの実行期(行動期)だと言えます。
 そして“たまに飲み過ぎてしまいそうになる”という発言から、実行期から維持期へ移行する時なので、行動変容過程の「行動置換」「援助関係の利用」「強化のマネジメント」「刺激統制」といった働きかけが有効です。
 以上を踏まえて解説します。

1.×
 これは無関心期~関心期の変容の過程「意識の高揚」(行動変容のために新しい情報を集め、それを理解しようと努力する)にあたります。

2.×
 これは無関心期~関心期の変容の過程「環境への再評価」(行動変容することが、自分の周囲へ及ぼす環境について考える)にあたります。

3.×
 これは準備期~実行期の変容の過程「自己の再評価」(不健康行動を続けること、あるいは健康行動をとることで自分にとってどんな影響があるか考える)にあたります。

4.×
 これは準備期~実行期の変容の過程「自己の解放」(行動変容できるという信念をもち、行動変容をしようと決め、それを表明する)にあたります。

5.○ 
 これは実行期~維持期の変容の過程「強化のマネジメント」(行動変容させたり、維持させるための強化を行う)にあたります。

参考になった数5