管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問27
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問題
第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問27 (訂正依頼・報告はこちら)
慢性膵炎の病態と栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 代償期の間欠期では、たんぱく質摂取量を0.8g/kg標準体重/日とする。
- 代償期の再燃時では、血清アミラーゼ値が低下する。
- 非代償期では、腹痛が増強する。
- 非代償期では、インスリン分泌が低下する。
- 非代償期では、脂肪摂取量を10g/日とする。
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この過去問の解説 (3件)
01
慢性膵炎とは、持続的な炎症によって膵臓の細胞が破壊され、膵組織が線維化したり、膵石ができたりする疾患のことです。
外分泌機能(膵液の分泌)および内分泌機能(インスリンの分泌)が徐々に低下していきます。
また、病態により「代償期」「移行期」「非代償期」に分けられます。
「代償期」
膵臓機能が残っている状態
(さらに「急性再燃時(急性膵炎と同じ病態になる)」と「間欠期(膵臓の外・内機能が保たれている)」に分けられる)
症状:上腹部痛、背中痛を繰り返す
「移行期」
膵臓機能は衰えている状態
症状:腹痛は軽くなっている
「非代償期」
膵臓機能はほとんど失われている状態
症状:腹痛は治まる
外分泌機能(膵液の分泌)の低下により、脂肪便や消化不良など栄養障害が起こる
内分泌機能(インスリンの分泌)の低下により、耐糖能異常や糖尿病が起こる
栄養管理はそれぞれの時期に応じて行います。
慢性膵炎でのタンパク質摂取量は、1.0~1.5g/kg標準体重/日とします。
代償期の再燃時では、血清アミラーゼ値は上昇します。
炎症によって膵臓の細胞が破壊され、血清アミラーゼ値や血清リパーゼ、尿中アミラーゼが上昇します。
非代償期では、腹痛は治まります。
これは、非代償期では膵臓機能がほとんど失われており、膵液の分泌に伴う炎症が起こらないためです。
正しいです。
非代償期では膵臓機能がほとんど失われているため、内分泌機能(インスリンの分泌)も低下します。
日本消化器病学会による「慢性膵炎診療ガイドライン2021(改訂第3版)」によると、長期にわたる脂肪制限は必須脂肪酸などの栄養素が欠乏するリスクがあるため、「非代償期には十分量の膵消化酵素薬を投与したうえで、脂肪を制限しない食事が望ましい」とされています。
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02
慢性膵炎の病態と栄養管理に関する問題です。
「代償期」「移行期」「非代償期」それぞれの病態を把握しておくことが大切です。
たんぱく質の摂取制限はありません。
慢性膵炎では膵リパーゼの分泌が不十分となり、脂肪の消化吸収不良が起こりやすくなるため脂質を制限します。
脂質の制限によって不足するエネルギーは、糖質やたんぱく質で補う必要があります。
代償期の再燃時では、膵臓の組織が炎症により破壊されるため、血清アミラーゼ値は上昇します。
非代償期では炎症がおさまるため、疼痛は軽減します。
正しいです。
膵ランゲルハンス島も障害されるため、インスリン、グルカゴンともに分泌が低下します。
血糖値を下げるホルモンはインスリンのみなので、分泌低下により糖尿病を引き起こします。
代償期の間歇期や、非代償期であれば、厳格な脂肪摂取量は必要なく、40~60g/日程度が目安となります。
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03
慢性膵炎は、持続的または反復的に膵組織が炎症を起こし、膵組織の脱落と線維化により膵臓全体が硬化し、委縮する疾患です。
「代償期」「間欠期」「非代償期」に分けられます。
代償期:代償期はさらに「間欠期」と「再燃期」に分けられ、再熱期は急性膵炎と同等の病態で、飲酒後や脂質の多い食事の後に憎悪する上部腹部痛や背部痛、嘔吐、下痢を引き起こします。
非代償期:症状は代償期に比べ軽減、消失するため、消化吸収障害と、糖尿病が主症状となります。
移行期:代償期と非代償期の症状が混在し、腹痛は無痛から持続的な鈍痛状態となります。
それぞれの病態、栄養管理を理解しておきましょう。
代償期の間欠期では、たんぱく質摂取量を1.0~1.3g/kg標準体重/日とします。
炭水化物を主としたエネルギー源とし、たんぱく質補給も必要です。
代償期の再燃時では、血清アミラーゼ値が上昇します。
膵臓での炎症で、血液中や尿中にアミラーゼが流出するためです。
非代償期では、腹痛が消失します。
非代償期は症状が落ち着いている状態です。
正しいです。
膵外分泌能が低下するため、疼痛は代償期に比べ軽減しますが、膵機能の低下による消化吸収障害や、インスリン分泌低下による膵性糖尿病が生じます。
非代償期では、脂肪摂取量を40~60g/日とします。
代償期では脂肪摂取による腹痛や下痢を起こすことがあるため、脂肪摂取量制限の必要がありますが、非代償期では特に制限する必要はありません。
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