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管理栄養士の過去問 第37回 午後の部 問26

問題

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53歳、男性。標準体重64kgの肝硬変患者。血清アルブミン値2.2g/dL、血清フェリチン値200ng/mL(基準値15~160ng/mL)、腹水・浮腫あり、肝性脳症が認められる。この患者に肝不全用経腸栄養剤630kcalを投与した際の、食事から摂取する1日当たりの目標栄養量に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
   1 .
エネルギーは、600kcalとする。
   2 .
たんぱく質は、40gとする。
   3 .
食塩は、8gとする。
   4 .
鉄は、12mg以上とする。
   5 .
食物繊維は、10g以下とする。
( 第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問26 )
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この過去問の解説 (3件)

5

肝硬変の栄養管理についての問題です。

肝不全用経腸栄養剤を併用することを念頭において考える必要があります。

選択肢1. エネルギーは、600kcalとする。

ESPENガイドラインに準じた総エネルギー必要量は30~35 kcal/kgです。

標準体重で計算すると1920~2240kcal/日です。

栄養剤からの投与が630kcalのため、食事から1290~1610kcalの摂取が必要です。

選択肢2. たんぱく質は、40gとする。

適切です。

肝硬変診療ガイドラインに準じたたんぱく質必要量は、BCAA製剤等を含めて1.0~1.5g/kgです。

標準体重で計算すると、64~96g/日です。

肝不全用の栄養剤には

・ヘパンED(エネルギー620kccal/アミノ酸量22.4g)

・アミノレバンEN(エネルギー639kcal/たんぱく質40.5g)などがあります。

これらを加味し、食事からのたんぱく質40gは妥当と考えられます。

※問題文には栄養剤の組成は記載されていないため、他の選択肢を消去していく方が導きやすいかと思います。

選択肢3. 食塩は、8gとする。

日本人の食塩摂取目標量は、男性で7.5g未満です。

この症例では浮腫・腹水があるため塩分制限の必要があり、食塩8gは過剰といえます。

選択肢4. 鉄は、12mg以上とする。

血中フェリチンが基準値よりも高値であるため、鉄は制限します。

問題文には肝炎の型の記載はありませんが、C型慢性肝炎では肝内貯蔵鉄が肝炎の進展に関与するためです。

選択肢5. 食物繊維は、10g以下とする。

肝硬変では、便秘になるとアンモニア産生が増加し、肝性脳症のリスクが高まります。

予防のために食物繊維は制限せずに摂取し、ラクツロースの投与などにより排便を促します。

付箋メモを残すことが出来ます。
1

「肝硬変診療ガイドライン2020」を活用します。

選択肢1. エネルギーは、600kcalとする。

「肝硬変診療ガイドライン2020」より、耐糖能異常のない場合のエネルギー摂取量は25~35kcal/kg(標準体重)/日となります。

64 × 25~35 = 1600~2240 より、

エネルギー摂取量は1600~2240kcalとなるため、食事から摂取するのは肝不全用経腸栄養剤の630kcalを差し引いた970~1610kcalとなります。

よって、600kcalでは不足となります。

選択肢2. たんぱく質は、40gとする。

正しいです。

「肝硬変診療ガイドライン2020」より、蛋白不耐症がない場合、たんぱく質必要量は1.0~1.5g/kg/日(BCAA製剤を含む)となります。

(蛋白不耐症:高タンパク質食が負担となり、肝性脳症を誘発してしまう状態。タンパク質の供給は必要だが、高アンモニア血症の予防のための制限も必要となるので、低タンパク食に分岐鎖アミノ酸高含有の肝不全用経腸栄養剤を併用する)

しかし、今回は肝性脳症が認められ、蛋白不耐症があるため0.5~0.7g/kg/日+分岐鎖アミノ酸高含有の肝不全用経腸栄養剤となります。

64 × 0.5~0.7 = 32~44.8 より、

たんぱく質必要量は32~44.8gとなるため、選択肢の40gは適当となります。

選択肢3. 食塩は、8gとする。

腹水・浮腫があるため、塩分の制限が必要となります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、塩分の目標量は男性では7.5gになります。

塩分制限が必要な状態で8gは多いため、この選択肢は適当とは言えません。

選択肢4. 鉄は、12mg以上とする。

血清フェリチン値200ng/mL(基準値15~160ng/mL)より、鉄の制限が必要なことが分かります。

また、この男性はC型肝炎と考えられるため(B型肝炎は慢性肝炎や肝硬変にならないことが多い)、病態悪化を防ぐためにも鉄の制限が必要となります。

よって、選択肢のように12mg「以上」としてしまうのは適当とは言えません

しかし、この男性は血清アルブミン値が2.2g/dLです。

鉄を含む食品にはタンパク質も多く含まれているため、血清アルブミン値が男性のように低い場合はタンパク質が不足してしまう危険性があります。

また、3.6g/dL以下で鉄制限を行う場合は腹水症がみられるとの報告もあります。

そのため、鉄の制限も厳しくしすぎない必要があります。

選択肢5. 食物繊維は、10g以下とする。

食物繊維は、10g以下とはしません

食物繊維を制限して便秘になってしまうと、アンモニアの産生が増え、高アンモニア血症のリスクが上がってしまいます。

便秘では、ラクツロース、もしくはラクチトールを経口投与し、アンモニアの吸収抑制を行うとよいです。

1

肝硬変とは、肝細胞の破壊、再生修復が繰り返され、肝実質がびまん性に変形・壊死し、結節ができて線維化が進行し、肝全体がでこぼこになった状態をいいます。

自覚症状がみられない代償期と、黄疸・腹水・肝性脳症などがみられる非代償期があります。

選択肢1. エネルギーは、600kcalとする。

炎症が起き、エネルギー代謝は亢進しているため、高エネルギー摂取とします。

 標準体重×30~35kcal(耐糖能異常がある場合は20~30kcal)

この患者の必要エネルギー量は 標準体重64kg×30~35kcal = 1920~2240kcal です。

経腸栄養剤から630kcal投与されているため、食事からは1290~1610kcal必要となります。

選択肢2. たんぱく質は、40gとする。

正しいです。

たんぱく質は、高アンモニア血症や、肝性脳症がない場合は1~1.2g/kgで良いですが、

高アンモニア血症、肝性脳症がみられる場合は 0.5~0.8g/kg と厳しく制限します。

この患者は肝性脳症がみられるため、標準体重64kg×0.5~0.8g=32~51.2g とします。

肝性脳症では低たんぱく食とし、血漿アミノ酸の不均一(分岐鎖アミノ酸低下、芳香族アミノ酸上昇)が生じるためBCAA製剤を投与します。

選択肢3. 食塩は、8gとする。

この患者には腹水・浮腫があります。

腹水・浮腫がある場合、より一層塩分制限が必要です。

5~7g以下に制限します。

選択肢4. 鉄は、12mg以上とする。

この患者は、血清フェリチン値200mgと基準値よりも高く、鉄・銅は線維化とともに増加します。

鉄制限食が必要であり6mg以下を目安に制限します。

選択肢5. 食物繊維は、10g以下とする。

食物繊維の制限は必要ありません

便秘を防ぐため、積極的な摂取が望ましいです。

便秘では腸内での腐敗菌の増殖を促し、アンモニア産生が高まり、高アンモニア血症の原因となります。

ラクツロースやラクチトールなどの難消化性食物繊維を投与し、腸内pHを低下させ、アンモニア産生・吸収を抑えます。

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