精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54
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問題
第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Mさん(47歳、男性)は、統合失調症で精神科病院に約7年入院していた。 Mさんの家族は76歳になる母親だけである。アパートの収入もありなんとか暮らしてきた。
Mさんは、軽度の精神症状が残存していたものの、5年前から任意入院となり、社会生活技能訓練(SST)などにも参加していた。精神科病院の精神保健福祉士がMさんの母に退院後の同居について何度か打診したが、入院前に暴力を振るわれたことなどを理由に同意が得られずにいた。このようなとき、 Mさんは精神科病院の精神保健福祉士から精神障害者の地域移行支援事業があることを聞き、利用を希望した。そこで、V相談支援事業所からN精神保健福祉士が、地域移行推進員として精神科病院に訪問に行くことになった。 N精神保健福祉士は自己紹介と自分の役割を説明した後、 Mさんの緊張をほぐすように配慮しつつ、まず必ず聞いておくべきことを中心にMさんから話を聞いた。
この訪問の後、 N精神保健福祉士は2週間に一度Mさんを訪問することとなった。
3回目の訪問の際、 N精神保健福祉士はMさんから「母に会って自宅への退院を許してくれるよう頼んでほしい」と言われた。この時点でN精神保健福祉士はMさんの母親とは面識がなかった。 N精神保健福祉士は、 Mさんから必要と思われる情報を得た後、 Mさんの依頼に対する自分の考えを述べた。
6回目の訪問のとき、 Mさんは「退院後、一人暮らしは不安だ。障害年金だけでは生活できそうもないし、すぐ仕事に就く自信もない」と話した。この発言を受けてN精神保健福祉士はMさんに、退院後の生活のプランを具体的に進めるための提案をした。
その提案を受け入れたMさんは、その後も、 N精神保健福祉士ら支援者と相談しながら、退院後の生活上の課題や不安をーつずつ解決していき、支援開始後、約半年で退院した。 Mさんは現在、「母親ともいい関係に戻れた。 N精神保健福祉士の支援なしに今の自分の生活は考えられない」と話している。
次の記述のうち、 N精神保健福祉士がMさんに提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Mさん(47歳、男性)は、統合失調症で精神科病院に約7年入院していた。 Mさんの家族は76歳になる母親だけである。アパートの収入もありなんとか暮らしてきた。
Mさんは、軽度の精神症状が残存していたものの、5年前から任意入院となり、社会生活技能訓練(SST)などにも参加していた。精神科病院の精神保健福祉士がMさんの母に退院後の同居について何度か打診したが、入院前に暴力を振るわれたことなどを理由に同意が得られずにいた。このようなとき、 Mさんは精神科病院の精神保健福祉士から精神障害者の地域移行支援事業があることを聞き、利用を希望した。そこで、V相談支援事業所からN精神保健福祉士が、地域移行推進員として精神科病院に訪問に行くことになった。 N精神保健福祉士は自己紹介と自分の役割を説明した後、 Mさんの緊張をほぐすように配慮しつつ、まず必ず聞いておくべきことを中心にMさんから話を聞いた。
この訪問の後、 N精神保健福祉士は2週間に一度Mさんを訪問することとなった。
3回目の訪問の際、 N精神保健福祉士はMさんから「母に会って自宅への退院を許してくれるよう頼んでほしい」と言われた。この時点でN精神保健福祉士はMさんの母親とは面識がなかった。 N精神保健福祉士は、 Mさんから必要と思われる情報を得た後、 Mさんの依頼に対する自分の考えを述べた。
6回目の訪問のとき、 Mさんは「退院後、一人暮らしは不安だ。障害年金だけでは生活できそうもないし、すぐ仕事に就く自信もない」と話した。この発言を受けてN精神保健福祉士はMさんに、退院後の生活のプランを具体的に進めるための提案をした。
その提案を受け入れたMさんは、その後も、 N精神保健福祉士ら支援者と相談しながら、退院後の生活上の課題や不安をーつずつ解決していき、支援開始後、約半年で退院した。 Mさんは現在、「母親ともいい関係に戻れた。 N精神保健福祉士の支援なしに今の自分の生活は考えられない」と話している。
次の記述のうち、 N精神保健福祉士がMさんに提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
- 公共職業安定所(ハローワーク)の障害者の受付窓口に行き、求人状況を確認してみたらどうか。
- 一人暮らしは難しいので、グループホームを見学してみたらどうか。
- 精神障害者のピアサポーターを紹介するので、その人の話を聞いてみたらどうか。
- 障害年金を増額できないか、社会保険労務士の事務所で相談してみたらどうか。
- 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の利用を考えてみたらどうか。
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この過去問の解説 (3件)
01
「退院後、一人暮らしは不安だ。障害年金だけでは生活できそうもないし、すぐに仕事に就く自信もない」という発言を受けて、適切と思えるものを選ぶ問題です。
1.Mさんは7年入院しており「すぐに仕事に就く自信もない」と発言している状況で、ハローワークの障害者受付窓口の提案をすることは適切ではありません。
2.「一人暮らしは不安だ」という発言はありますが、その不安が解消されれば一人暮らしができる可能性が残されていますので、この時点で「一人暮らしは難しい」と伝えることは適切ではありません。選択肢の一つとしてグループホームを見学することは間違いではありません。
3.退院後の生活のイメージをつかむためにも、ピアサポーターの話を聞くことは適切です。
4.「障害年金だけでは生活できそうもない」という発言はありますが、現時点では退院後の生活は具体的に描けておらず、生活費が不足するかどうかは分からないため、障害年金の増額を提案することは適切ではありません。
5.日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な方が利用するものです。この事例では、Mさんが判断能力が不十分かどうか読み取ることはできないため、適切とはいえません。
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02
2.誤答。現段階で一人暮らしは困難とする根拠がない。
3.正答。ピアサポーターと話すことで具体的な今後のヴィジョンが見えやすい。
4.誤答。障害年金の増額は現状では見込めない。
5.誤答。日常生活自立支援事業は判断能力が不十分な方が主に利用するサービスのため現状では利用が難しい。
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03
「精神障害者のピアサポーターを紹介するので、その人の話を聞いてみたらどうか。」
(説明) Mさんは「退院後、一人暮らしは不安だ。障害年金だけでは生活できそうもないし、すぐ仕事に就く自信もない」と不安を口にしています。なので、同じ様な経験を持つピアサポーターの話を聞くのは、不安の軽減に繋がり退院後のイメージも持てるので適しています。
※ N精神保健福祉士がMさんに提案した内容として、適切なものを選ぶ問題です。以下に適切ではないものの説明をします。
1 . 適切ではありません。
「公共職業安定所(ハローワーク)の障害者の受付窓口に行き、求人状況を確認してみたらどうか。」
(説明)Mさんは「すぐに仕事につく自信もない」と話していますが、仕事を探したいとは話していません。なので、適切ではありません。
2 . 適切ではありません。
「一人暮らしは難しいので、グループホームを見学してみたらどうか。」
(説明)一人暮らしへの不安を話してはいますが、イメージが持てなかったり経験が無いだけかもしれません。なので、この段階で難しいと判断するのは早いです。退院後のイメージを持つ為に、グループホームを見学するのは良いと思います。
4 . 適切ではありません。
「障害年金を増額できないか、社会保険労務士の事務所で相談してみたらどうか。」
(説明)Mさんは「障害者年金だけでは生活できそうもないし」と不安を口にしていますが、できないと決まった訳ではなく、漠然とした不安を口にして居るだけです。また、退院後の生活も具体的に決まっていないので、この提案は適していません。
5 . 適切ではありません。
「社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の利用を考えてみたらどうか。」
(説明) 日常生活自立支援事業は、厚生労働省によると「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」としており、Mさんの現状への提案として適していない。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html
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