精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問53

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問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問53 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Mさん(47歳、男性)は、統合失調症で精神科病院に約7年入院していた。 Mさんの家族は76歳になる母親だけである。アパートの収入もありなんとか暮らしてきた。
Mさんは、軽度の精神症状が残存していたものの、5年前から任意入院となり、社会生活技能訓練(SST)などにも参加していた。精神科病院の精神保健福祉士がMさんの母に退院後の同居について何度か打診したが、入院前に暴力を振るわれたことなどを理由に同意が得られずにいた。このようなとき、 Mさんは精神科病院の精神保健福祉士から精神障害者の地域移行支援事業があることを聞き、利用を希望した。そこで、V相談支援事業所からN精神保健福祉士が、地域移行推進員として精神科病院に訪問に行くことになった。 N精神保健福祉士は自己紹介と自分の役割を説明した後、 Mさんの緊張をほぐすように配慮しつつ、まず必ず聞いておくべきことを中心にMさんから話を聞いた。
この訪問の後、 N精神保健福祉士は2週間に一度Mさんを訪問することとなった。
3回目の訪問の際、 N精神保健福祉士はMさんから「母に会って自宅への退院を許してくれるよう頼んでほしい」と言われた。この時点でN精神保健福祉士はMさんの母親とは面識がなかった。 N精神保健福祉士は、 Mさんから必要と思われる情報を得た後、 Mさんの依頼に対する自分の考えを述べた。

次の記述のうち、 N精神保健福祉士がMさんに話したこととして、適切なものを1つ選びなさい。
  • Mさんの依頼は、地域移行の支援者としての私の役割の範囲を超えるものであるので、もう一度病院の精神保健福祉士にお願いしてみてほしい。
  • 私は、これまでのいきさつや母親の年齢から考えて、 Mさんが母親と同居するのは無理であると思うので、別の退院先を考えよう。
  • 私はMさんの母親とは面識がないので、院内の社会生活技能訓練の場を利用して、Mさんが自分の気持ちを自分で伝える力をつける方が話が早く進むと思う。
  • 私が直接依頼するより、 Mさんと母親が直接話し合った方がいいので、 Mさん自身が母親に退院後の同居の希望を伝えやすい環境を作る支援を行いたい。
  • 私は自分で判断する立場にないので、本日Mさんが話した希望を、所属するV相談支援事業所の上司に報告して、次回会うときに回答する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

Mさんの「母に会って自宅への退院を許してくれるよう頼んでほしい」という依頼に対して適切な対応を選ぶ問題です。

1.Mさんの依頼は地域移行に関するものであり、地域移行推進員としてのN精神保健福祉士の役割の範囲であるといえるため、病院の精神保健福祉士に振ることは適切ではありません。

2.これまでのいきさつや母親の年齢はあるものの、母親と面識がなく今の母親の気持ちを確認していない状況で「無理である」と判断するのは早計であり適切ではありません。

3.「自分の気持ちを自分で伝える」ように話すことは適切ですが、院内の社会生活技能訓練の場を利用するように伝えることは、N精神保健福祉士の立場が院外ということもあり、Mさんを非協力的に突き放すように感じさせてしまうため、適切であるとはいえません。また「母親とは面識がない」という理由も、面識を作ればいいだけですので、非協力的な印象を与えかねません。

4.N精神保健福祉士から母親に直接依頼する前に、Mさんが母親と直接話し合えるように働きかけることは大切です。その際「希望を伝えやすい環境を作る支援を行いたい」と一緒に取り組もうとする姿勢を伝えることが大切です。

5.Mさんとの信頼関係を構築する上で「判断する立場にない」と伝えることは適切ではありません。

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02

4 . が適切です。
「私が直接依頼するより、 Mさんと母親が直接話し合った方がいいので、 Mさん自身が母親に退院後の同居の希望を伝えやすい環境を作る支援を行いたい。」
(説明)これから地域で生活していくことを考えても、本人が問題解決能力を身に付けることは重要です。本人が解決していく為の支援をするのが、精神保健福祉士の役割として適切です。

※N精神保健福祉士がMさんに「母に会って自宅への退院を許してくれるよう頼んでほしい」と言われ、話した自分の考えとして、適切なものを選ぶ問題です。以下に適切ではなかったものの説明をします。

1 .適切ではありません。
「Mさんの依頼は、地域移行の支援者としての私の役割の範囲を超えるものであるので、もう一度病院の精神保健福祉士にお願いしてみてほしい。」
(説明)地域移行支援での精神保健福祉士の役割の範囲の規定はありません。

2 . 適切ではありません。
「私は、これまでのいきさつや母親の年齢から考えて、 Mさんが母親と同居するのは無理であると思うので、別の退院先を考えよう。」
(説明)本人の希望に対して、可能かどうかの検討もせずに、精神保健福祉士の判断だけで別の退院先を考える提案をするのは適切ではありません。

3 . 適切ではありません。
「私はMさんの母親とは面識がないので、院内の社会生活技能訓練の場を利用して、Mさんが自分の気持ちを自分で伝える力をつける方が話が早く進むと思う。」
(説明)Mさんの母親と面識がないと断るのは適切ではありません。また、問題解決能力を本人がつけることは必要ですが、生活技能訓練で伝える力をつけるのはこの場合適切ではありません。

5 . 適切ではありません。
「私は自分で判断する立場にないので、本日Mさんが話した希望を、所属するV相談支援事業所の上司に報告して、次回会うときに回答する。」
(説明)本人の希望に対して、「判断する立場にない」と言うのは、信頼関係を築きにくくします。

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03

1.誤答。精神保健福祉士には明確な仕事の範囲が決まっていないため、仕事の範囲は関係ない。

2.誤答。同居を無理と判断するにはまだ早すぎるので、母親との面談が今後必要となる。

3.誤答。キーパーソンとなるのは母親であるため、精神保健福祉士が母親と会う必要性が高い。

4.正答。基本的に当人同士で解決することが望ましいので、それを支援することが望ましい。

5.誤答。今まで判断していたのはどう説明するのか。今まで築いていた母親との関係が崩れる恐れがある。

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