精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問34

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問題

第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事 例〕
県のスクールソーシャルワーカーとして働くF精神保健福祉士は、小学校校長から、「G君(6歳、男児)をめぐって学級が混乱し授業が成り立たない」と相談を受けた。学級に入ったF精神保健福祉士は、落ち着きがなく授業中に立ち歩く児童が複数いる中で、特にG君は刺激に反応しやすく、こだわりが強そうで、教諭の指示に従おうとするもののうまくできずいらだっていることに気づいた。教諭からの情報ではG君家庭は母子世帯で、母Hさんが学童保育を利用しながら生計を立てており、困った時には市の母子自立支援員に相談しているとのことだった。母子自立支援員は、「Hさんが最近は体調を崩しがちなので子育てが心配だ」と話した。

F精神保健福祉士はHさんとの面談を希望したが、Hさんの勤務の関係でキャンセルが続いた。ある日、学童保育から学校に苦情があり急遽関係機関で対応を協議することとなった。学童保育指導員はG君をめぐる児童間のトラブルを申し立て、教諭は疲弊しきった様子で指導上の困難を訴えた。母子自立支援員は、Hさんのつらさを訴え、学校や学童保育の無理解を批判した。F精神保健福祉士は、所属機関による役割の違いに理解を示した。そして、G君やHさんが頑張って取り組んでいることをそれぞれの視点で振り返るよう促し、またそれぞれのかかわり方で工夫したことや役に立ったことについて情報交換していった。その後、G君、Hさんの状況と、教諭や学童保育指導員の取組について共通した理解が得られるように働きかけた。

次のうち、この時点におけるF精神保健福祉士が行う機能を説明するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 広範なニーズへの対応
  • 本人の解決能力の向上
  • 連携と協働
  • 予防的支援
  • 個と地域の一体的支援

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この過去問の解説 (3件)

01

✖ 1 . 広範なニーズへの対応 ここでは関係者にG君や母親のHさんの状況について共通理解を図ることを目的としています。
広範なニーズの対応は、特に触れていません。

✖2 . 本人の解決能力の向上  G君や母親の解決能力の向上については、特に言及していません。

◎3 . 連携と協働  各機関の関係者がチームアプローチとして連携し、協働することを狙っています。

✖4 . 予防的支援  ここにおいては、すでに問題が発生しているので、予防的支援ではありません。

✖5 . 個と地域の一体的支援 岩間伸之氏の地域を基盤としたソーシャルワークの8つの機能の中で、 「個を地域で支える援助と、個を支える地域を作る援助の一体的推進。個別支援から地域支援への連続性のある展開。「1つの事例が地域を変える」という積極的展開。」と説明しています。この事例では、まだ、そこまでの段階ではないようです。

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02

正解は3です。

事例では、複数の関係機関が集まったものの、役割の違いからお互いに批判するような状況となっています。そのような状況下においては、まず共通した理解が得られるように働きかけ、連携と協働をうながすことが優先されます。そのうえで、ニーズへの対応やさまざまな支援を行うことが望ましいといえます。

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03

3. 連携と協働が、最も適切です。

 精神保健福祉士が母と面接が出来ずにいる中で、学童保育から学校に苦情があり急遽関係機関で対応を協議する場面での、精神保健福祉士の役割についての問題です。

1 . は適切ではありません。
本場面では、精神保健福祉士が母親の面接が出来ていません。母からも本人からもニーズの把握が出来ていないので「広範なニーズへの対応」は適切ではありません。

2 . 適切ではありません。
本場面では、精神保健福祉士はまだ本人に会えていないので、「本人の解決能力の向上」は適切ではありません。

3 . 適切です。
G君と母に関わる関係機関が、それぞれの立場で困難や問題を訴えています。役割や関わる対象(G君に関わるのか、母に関わるのか)によっても立場が異なる事から、本事例の支援には、互いの立場を理解し協力し合う「連携と協働」の体制が必要です。

4 . は適切ではありません。
予防的支援は、問題が起こる前に地域と協同し早期発見・早期対応しようとするアプローチです。ですので、今回の場面では適切ではありません。

5 . 適切ではありません。
本事例では、G君の学校の授業と学童保育の状況が問題となっています。個を地域で支える援助と個を支える地域を作る援助の一体的推進である「個と地域の一体的支援」は、本場面では適切ではありません。

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