精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問49

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問題

第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問49 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事 例〕
Gさん(33歳、女性)は、飲酒しては当たり散らす父親と、夫の顔色ばかり見てGさんには過干渉な母親に育てられ、高校卒業後、実家を離れるためあえて遠方に就職した。23歳で結婚したが、夫の女性関係がもとで27歳で離婚した。Gさんはその憤りやむなしさから深酒するようになった。そんな時、両親を早く亡くしたHさんから、「子どものいる温かい家庭を作ろう」とプロポーズされ、29歳で再婚し、仕事を辞めた。31歳の時に長男が生まれたが、Gさんは育児に追われる中で世間から取り残されたように感じ、寂しさから妊娠中は控えていた飲酒を再開した。次第に昼間から飲酒するようになり、夕食の支度ができないことが多くなった。Hさんは、「育児が大切な時に飲酒するのは母親失格」などとGさんを強く責めた。Gさんはきつく言われることが飲酒の原因と言い、Hさんのクレジットカードを使いインターネットで酒を購入して飲酒を続けた。Hさんは、妻がやり残した長男の世話や家事を代わって行い、何とかやりくりしてきたが、Gさんの飲酒行動に対してはどう対応すればよいか分からず、困った末に、市のJ精神保健福祉士に相談した。

次の記述のうち、J精神保健福祉士がHさんの相談を受けて提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
  • Hさん名義のクレジットカードで酒を購入できないようにしてください。
  • 飲酒許容量を話し合って決め、その範囲ならGさんを責めないでください。
  • 時々職場からGさんに電話して、飲酒していないか確認してください。
  • 帰宅時にGさんが飲酒していたら、直ちに酒を取り上げてください。
  • Gさんが飲まなくて済むよう、育児や家事をもっと手伝ってあげてください。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

問題のある飲酒行動にどう対応するかとういう設問です。

1.大原則として、アルコールの入手ルートを断つことが重要となります。提案として適切です。

2.アルコールを完全に断つ対応が必要となります。少しの飲酒量でも許容すると、アルコールへの欲求が断てなくなるため、提案として適切ではありません。

3.監視体制を強化するような対応は、逆効果となる可能性があります。

4.酒を本人の周辺から排除することは大切ですが、飲酒中に直ちに酒を取り上げるような対応は、本人を刺激してしまう可能性があるため適切ではありません。

5.相談者のHさんは、既に育児や家事を手伝っていることから、これ以上負担を増やすような提案をすることは適切とはいえません。またHさんが過度に育児や家事を手伝うことは、Gさんの飲酒の原因を助長させることにもつながりかねません。

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02

アルコール依存症のケースです。

〇1 . 酒を購入できないようにして断酒を目指すことはよい提案で、もともとクレジットカードはもともとHさん名義なので、実行可能と思われます。
✕ 2 . すでに昼から飲酒して、コントロールがむずかしいので、依存症が疑われます。酒量の調整より断酒に向けた対応を提案することが現実的です。
✕3 . 時々職場からGさんに飲酒の確認の電話をしても、HさんがGさんに振り回されるだけで、ウソをつくことも可能なので、効果が期待できないです。
✕4 . すでに飲んでいる状態で取り上げても、やたらに気持ちを刺激するだけで、よい効果とは思われません。
✕5 . Hさんはすでに育児や家事を手伝って何とかやりくりをしているので、これ以上Hさんに過度の依頼をしても重荷になるだけです。むしろ、やっと相談に来た気持ちを察して受容するべきです。

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03

 アルコール依存症と思われるGさんの飲酒行動に困っているHさんへの適切な提案が求められます。まずは、飲酒を絶つための対策が必要となってきます。

1. ○
 Hさん名義のクレジットカードを止めることでGさんがお酒を購入できなくなるため、Gさんの飲酒行動への対応に困っているHさんに対する助言として適切といえます。

2.×
 飲酒許容量を話し合うなど飲酒量を減らすことではなく、お酒のない生活を過ごしていくための工夫などを一緒に考えていくことが大切です。

3.×
 職場から電話して確認したところで、Gさんへの飲酒行動を絶つ直接的な対応とはいえません。

4.×
 Gさんは昼間から飲酒しており、仮に帰宅時にお酒を取り上げたとしてもその場しのぎの対応となってしまい、かえって本人を刺激させさらに関係が悪化することにもなりかねないので、適切とはいえません。

5.×
 HさんはすでにGさんのかわりに育児や家事を行っており、Hさんの負担をさらに増やすことになるため、適切ではありません。困っているHさんの気持ちに寄り添った支援をすることが大切です。

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