精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問21
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
精神科病院を退院したAさんは、次第に昼夜逆転した生活となり、バランスの取れた食事もできていない状況にあった。精神科病院のB精神保健福祉士は、受診時にAさんと相談室で面接を行い、生活のリズムを整えることがAさんのために必要だと考え、デイケアの利用を勧めた。しかし、Aさんは、「デイケアには行きたくない。自分は退院しているし、やりたいことがある」と語った。B精神保健福祉士はAさんの思いを聞きつつも、Aさんの生活に不安を感じ、これからどのように関わっていけばよいか悩んだ。
次のうち、B精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして、適切なものを1つ選びなさい。
次のうち、B精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして、適切なものを1つ選びなさい。
- クライエントの利益と所属機関の利益
- 秘密保持とプライバシー
- 自己決定とパターナリズム
- バウンダリーとクライエントの利益
- 専門職的価値と個人的価値
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この過去問の解説 (3件)
01
1.「デイケアに行かずにやりたいことをする」ということをクライエントの利益とし、「デイケアを利用することで所属機関の利益になる」と考えられなくもないですが、B精神保健福祉士はデイケアを利用することがクライエントの利益になると考えており、所属機関の利益のことは考えていないため、B精神保健福祉士が抱いている倫理的ジレンマとして適切とはいえません。
2.秘密保持やプライバシーについてのエピソードは事例から読み取れないため、B精神保健福祉士が抱いている倫理的ジレンマとはいえません。
3.「デイケアには行きたくない」という自己決定と、「デイケアで生活のリズムを整えることがAさんのために必要」というパターナリズムの間で倫理的ジレンマを抱いているといえます。
4.バウンダリーとは心の境界線、人との距離感のことをいいます。事例からAさんとの距離感についてジレンマを感じているわけではないため、適切な回答とはいえません。
5.事例ではB精神保健福祉士の専門職的価値と個人的価値が一致しているように読み取れるため、B精神保健福祉士が抱いている倫理的ジレンマとはいえません。
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02
×1 . B精神保健福祉士は、所属機関の利益のためにAさんにデイケアを勧めているわけではないので、そういったジレンマは生じていません。
×2 . 秘密保持とプライバシーに関するジレンマは、関係機関等や家族との連携を図るにあたって、クライエントの秘密を保持しないとならないということが対立してしまう場合などです。 このケースでは特にプライバシーに抵触するような問題があるわけではないので、不適切です。
〇3 . 自己決定とパターナリズム パターナリズムは、援助者が上から見るように利用者に介入や支援を押し付けようとする態度です。治療の一環として適切であるとB精神保健福祉士は考え、デイケアを奨めていますが、Aさんは自分の意思ではないと断っています。B精神保健福祉士が最善と考えることが、利用者の意思とは違うので、B氏は悩んでいるので、選択肢は〇です。
×4 . バウンダリー(境界)とは、双方が不快感を感じないような関係性を維持するための境界線です。クライエントの利益を最優先するために、バウンダリーに踏み込むところの問題は特に生じていないように見受けられるので、不適切です。
×5 . 支援を行う上での専門職的価値、そして専門職自身の個人的な価値感の間でジレンマを感じることがあります。たとえば、性的な嗜好や人の好き嫌いにかかわらず、支援者は平等公平に接することが求められます。この事例では、B精神保健福祉士はそういったジレンマに悩んでいるわけではないので、不適切です。
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03
よって、不適切です。
2、秘密保持とプライバシーに関することは、文章から読み取れないため、不適切です。
3、Aさんの「デイケアに行きたくない」という自己決定と、Bさんの提案する「生活リズムを整えるためにデイケアの利用」というパターナリズムが、ジレンマになっていることが読み取れます。
4、バウンダリーとは、心の境界という意味で、自分と他人の境界線を引くということです。
バウンダリーとクライアントの利益とは関係ありません。
よって不適切です。
5、専門職的な価値と個人的な経験や価値などが、相反したり葛藤することはありますが、その場合でも、個人的な価値に寄らずに、公平平等に対応することが必要です。
事例の文章からは、個人的価値と専門職的価値のジレンマは読み取れないことから、不適切です。
以上から、正解は3です。
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