精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
権利擁護と成年後見制度 問158

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問題

第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問158 (訂正依頼・報告はこちら)

日本国憲法における社会権を具体化する立法の外国人への適用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 労働基準法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
  • 労働者災害補償保険法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
  • 生活保護法は、就労目的での在留資格で在留する外国人に適用されることはない。
  • 国民年金法は、永住外国人に適用されることはない。
  • 国民健康保険法は、永住外国人に適用されることはない。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は3です。

1.就労目的での在留資格を有していない外国人労働者にも、労働基準法は適用されます。

2.就労目的での在留資格を有していない外国人労働者にも、労働者災害補償保険法は適用されます。

3.就労目的での在留資格で在留する外国人に生活保護法が適用されることはありません。永住者や定住者などの資格が必要です。

4.国民年金法は、永住外国人にも適用されます。

5.国民健康保険法は、永住外国人にも適用されます。

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02

立法の外国人への適用に関しては、滞在している外国人の立場によって、大きく異なります。

まず帰化の場合は、日本国籍を得るという事のため、日本に生まれた人と同等の権利を有します。
帰化後は当然外国人ではなくなります。
そのほかの身分として、主に在留資格を有する外国人・永住権を有する外国人があり、それらを除く不法滞在を行う(つまり在留資格を持たない外国人)がいます。
なお、日本には特別永住者と呼ばれる人(在日韓国/朝鮮/台湾人)もいます。

それぞれ、国内での行使できる権利、求められる義務などが異なります。

・在留資格
法に認められた範囲での就労が可能です。しかし、文化活動・短期滞在・留学などの場合は就労が認められません。なお就労が認められるためには、職種に応じた在留資格の取得が必要ですし、これらには活動期限の制限などが伴います。

・永住者
ほぼ日本国民と同等の権利を得る事が出来ますが、一部制限がされます。
身分は外国人のままで、戸籍を持つ事はできません。また参政権は一部自治体を除いて認められません。強制退去制度の適応を受ける事がありますし、再入国についても、申請が必要となります。
永住権を得るためには素行が善良で、長期的に滞在している事、また独立での生計を営むことが出来る事などとされています。

×1.労働基準法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
→労働基準法はあくまで使用者と労働者の関係の中で、労働者を保護する法律のため、在留資格の有無で法適応が変わる事がなく、適応されます。そのため×。
 
×2.労働者災害補償保険法は、就労目的での在留資格を有していない外国人労働者に適用されることはない。
→労働者災害補償保険法も在留資格の有無で適応されるか否かが変わる法律ではなく、適応されるため×です。

◎3.生活保護法は、就労目的での在留資格で在留する外国人に適用されることはない。
→就労目的の場合で在留している外国人に関しては、適応されることがないため正解です。
 なお生活保護法の対象は日本国民が原則となります。
 在留資格の中でも永住や定住といった資格を持っている外国人や特別永住者に限り、人道的な意味で生活保護法を準用して、適応しているにすぎません。

×4.国民年金法は、永住外国人に適用されることはない。
→日本国の年金制度では、国籍は関係なく日本国内に住所を有している場合に、その権利と義務が生じます。そのため、国民年金法は永住外国人にも適応されるため×となります。

×5.国民健康保険法は、永住外国人に適用されることはない。
→在留期間が3か月を超える外国人には、国民健康保険の加入が義務付けられているため×となります。永住者は先に挙げた一部の権利のみ制限されるだけで、基本的にはほぼ同等の法適応となります。

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03

1.×
 労働者基準法(第3条)により、「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と定められており、すべての外国人労働者に労働基準法が適用されます。

2.×
 労働災害補償保険法では、外国人労働者も日本国内の労働であれば、国籍・在留資格の有無又は不法就労者であるか否かに関係なく対象となります。

3.○
 無差別平等の原理(生活保護法第2条)において、外国籍の者は、法の対象とはなりませんが、一般国民に準じた対応を受けるとあります。外国人でも、永住・定住やその配偶者で在留する場合は日本国民に準ずるとしています。

4.×
 国民年金法は、永住外国人も適用となります。日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の者は、外国人を含めて国民年金に加入し、国民年金保険料を納めることが義務付けられています。

5.×
 国民健康保険法は、永住外国人も適用となります。国民健康保険被保険者は、その市町村に住所がある者で、被用者保険の被保険者とその家族、および生活保護受給者を除く者であるとしています。

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04

正答【3】

1.誤答 
外国人労働者に適応される労働基準法は、在留資格によって規制があるものの就労目的での資格を有していないと適用されないことはありません。
就労目的でない在留資格として永住民や定住民、日本人や永住者等の配偶者などの労働者には労働基準法が適応されます。
一方、短期滞在、留学、研修等の在留資格の場合では就労することができないので労働基準法が適応されません。


2.誤答
労働者災害補償保険法(労災)は、労働者が業務上または通勤上に負傷したり病気になったり、死亡したときに治療費など必要な保険給付を行う制度です。
就労目的での在留資格の有無は問いません。就労目的でない留学生がアルバイト中に負傷した時なども適応されます。


3.正答
本来生活保護は、日本国民のみを対象にしていますが、一定の外国人(永住・定住民など)への準用が認められています。
しかしながら、就労目的での在住資格をもつ外国人に関しては、生活保護が適応される要件(生活困窮・資産・稼働能力の活用など)を満たし、自由に働くことが必要となります。
就労目的の在住資格にもかかわらず自由に働くことができないとなると生活保護法は適用されません。


4.誤答
国民年金法は、日本に在住する20歳から60歳未満の人すべてに適応されます。そのため永住外国人にも適応されます。


5.誤答
国民健康保険法は、基本的に3か月を超える在住資格を持つ外国人に適応されます。
ただし、一部の在留資格者(短期滞在・外交・特定活動など)については適応されません。

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