精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
心理学理論と心理的支援 問10
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問題
第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 心理学理論と心理的支援 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
思考や知能に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 拡散的思考とは、問題解決の際に、一つの解答を探索しようとする思考方法である。
- 洞察とは、問題解決のための方法を一つひとつ試して、成功する手法を探していく思考方法である。
- 知能指数( IQ )は、知能検査から得られる生活年齢と暦年齢の比によって計算される。
- 結晶性知能とは、過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことである。
- 成人用知能検査であるWAISは、フランスのビネー( Binet, A. )によって開発された。
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この過去問の解説 (3件)
01
1. ギルフォードが提唱した拡散的思考と収束的思考についての問題です。設問は、収束的思考の説明です。拡散的思考とは、既知の情報から考えを様々に巡らせて新たなものを生み出す思考方法です。
2. 設問はソーンダイクの試行錯誤の説明です。洞察学習はケーラーが提唱したもので、学習者が問題場面を構成している諸情報を統合し、洞察力により課題解決する方法です。チンパンジーが天井に吊るされたバナナを取るために、部屋の隅にあった箱を踏み台にして、さらには棒を使って取ったという実験が有名です。
3. 知能指数(IQ)は、生活年齢と暦年齢ではなく、生活年齢と精神年齢の比です。「精神年齢÷生活年齢×100」で算出されます。100に近いほど出現率が高い(同程度の知能の人が多い)ことになります。
4. 正解です。キャッテルによる結晶性知能と流動性知能についての設問です。結晶性知能とは過去に得た経験、知識による知能であり、加齢により低下しないのが特徴です。言語性知能とも呼ばれます。一方、流動性知能とは新しい場面への適応に必要な能力で、推察、思考力、暗記力、計算力などを指します。これらは加齢によって低下すると考えられています。
5. WAISはWechsler Adult Intelligence Scale(ウェクスラー成人知能検査)の略で、ウェクスラーにより開発されました。ウェクスラー式知能検査にはその他に、子ども用のWISCがあります。ビネーの知能検査では田中ビネー式知能検査が知られています。
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02
1.設問は「収束的思考」の説明です。
アメリカの心理学者・ギルフォードは、人の思考には2つの側面があると提唱。1つは、すでにある情報をもとに1つの答えを導き出す「収束的思考」、もう1つはすでにある情報からさまざまな考えを巡らせ、新しいアイデアを生み出す「拡散的思考」です。
2.設問は、アメリカの心理学者・ソーンダイクが提唱した「試行錯誤学習」の説明です。
「洞察」とは、ドイツの心理学者・ケーラーが提唱した概念。問題解決のために過去の経験などを用いて状況を再構成し、解決へとこぎつける手法です。チンパンジーがあらゆる行動を繰り返し、バナナを手に入れる手段を見つける実験が有名です。
3.知能検査の結果を表す知能指数。従来は『精神年齢÷生活年齢×100』の式で算出されます。
4.正答です。イギリスの心理学者・キャッテルは、知能を「結晶性知能」「流動性知能」の2つに分類しました。「結晶性知能」は、学校や仕事での経験によって増えていく知能のこと。「流動性知能」は新しい環境に適応するために情報を獲得し、それを処理する能力のことです。例えば、洞察力や計算力は結晶性知能、スピーディーな処理能力は流動性知能です。
結晶性知能は年を重ねても安定しているのに対し、流動性知能は高齢になると低下していきます。
5.成人用知能検査を開発したのは、アメリカの心理学者・ウェクスラー。
ビネーの知能検査では、田中ビネー式知能検査が知られています。
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03
1.誤答
拡散的思考とは、情報を元に様々な方向に考えを巡らせ、まだ存在しない新しいアイディアを生み出す思考方法です。
一方、問題解決の際に、一つの解答を探索しようとする思考方法は、「収束的思考」の説明です。
収束的思考と拡散的思考は、アメリカの心理学者のギルフォードが提唱した概念で、人間の思考にみられる2つの側面を表しています。
2.誤答
問題解決のための方法を一つひとつ試して、成功する手法を探していく思考方法は、ソーンダイクが提唱した「試行錯誤(学習)」の説明です。
「洞察」は、試行錯誤の概念と対になる学習法で、何らかの方法を試すことなく瞬時に気づいたり、わかるという概念で、ケーラーによって提唱されました。
3.誤答
知能指数は(IQ)は、知能の水準や発達の程度を測定した知能検査の結果の値です。知能指数の測定は「精神年齢÷生活年齢×100」で算出します。
知能指数は、大まかな知能の診断基準とされたり、知的障害などの診断や支援に利用されます。
4.正答
結晶性知能は、個人が過去の学習や経験等から獲得した知能であり、判断力や習慣、言語能力、理解力、洞察力などがあります。
一方、流動性知能は、新しい環境に適応するため、新しい情報を獲得・処理・操作していく知能であり、処理のスピード、直感力、柔軟性、臨機応変さなどがあります。
これら結晶性知能や流動性知能は、知能の最も大きな分類として、ホーンとキャッテルが提唱しました。
5.誤答
フランスのビネーは、シモンとともに知能検査の始まりといわれる、「ビネー・シモン法」を開発し、その後、現在の「ビネー式知能検査」を作りました。そして、このビネー式知能検査の日本版として田中寛一が「田中・ビネー式知能検査」を開発し知能検査(2歳~成人)の代表として使用されます。
成人用知能検査であるWAIS(ウェクスラー式知能検査)は、知能を「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの側面から判断します。児童用のWISC検査もあります。
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