精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
心理学理論と心理的支援 問12

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 心理学理論と心理的支援 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

ピアジェ( Piaget, J. )の認知発達理論に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 体積や量の保存の概念は、感覚運動期に獲得される。
  • 自己中心的な思考は、形式的操作期の特徴である。
  • 抽象的な論理的思考は、前操作期に発達する。
  • 可逆的な操作は、具体的操作期に可能となる。
  • 対象の永続性は、形式的操作期に獲得される。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「4」です。

ピアジェの認知発達理論では、認知の発達を4段階に分けて考えています。
② 感覚運動期:0~2歳、身体的行為による感覚的経験で世界を認知します。対象の永続性(物が見えなくなっても存在し続ける)を学びます。
③ 前操作期:2~7歳、ままごとなど抽象遊びが始まり、言葉や絵を使って表現するようになります。自己中心的な視点で物事を捉えます。
④ 具体的操作期:7~11歳、論理的、体系的な思考の始まり。体積や量の保存の概念が生まれます。可逆的操作も可能になります。特定の情報から一般的な法則を見つけるという帰納的な考えができるようになります。脱中心化して人の立場に立って考えられるようになってきます。
⑤ 形式的操作期:11歳~、抽象的な概念を論理的に考察し始めます。仮設を立てられるようになります。一般的な規則から特定の情報を導き出す、演繹的な考えができるようになります。

1. 体積や量の保存の概念は、具体的操作期に獲得されます。

2. 自己中心的な思考は前操作期の特徴です。

3. 抽象的な論理的思考は形式的操作期にできるようになります。

4. 正解です。

5. 対象の永続性は、感覚運動期に獲得されます。

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02

発達心理学者のピアジェは、子どもの認知や思考の変化を、以下の4段階に分類しました。

■第1段階(0~2歳):感覚運動期

赤ちゃんが、感覚と運動からシェマを習得するステージです。

例えば、子どもに「これは蝶だよ」と5匹の蝶を見せます。それぞれ模様や大きさは異なるものの、子どもは「蝶」と呼ばれる生き物の共通点を見つけます。(=『シェマ』の形成)

続いて子どもにカブトムシを見せると、それを「蝶」だと言い、すでに持っているシェマに当てはめようとします。(=同化)

そこで「これはカブトムシだよ」と教わると、子どもは蝶のシェマとカブトムシのシェマを区別できるようになります。(=調節)

こうして外界を理解するかのように同じ行動を繰り返すことを『循環反応』と呼びます。

また、この時期には『対象の永続性』も獲得します。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは母親がトイレに行くと「ママが消えてしまった」と泣きわめきますが、「視界には映らないけれど、ママはそこに存在している」と認識できるようになります。

■第2段階(2~6歳):前操作期

言葉とイメージによって外界を理解するステージです。

『自己中心性』を特徴とし、まだ客観的な物事の捉え方ができません。例えば「自分は泥だんごが好きだから、ママも泥だんごをもらったら嬉しい」といった考え方をします。

また、同じコップに入った同量の水を細長いコップに移し替えた際、水の量は変わっていないにも関わらず「細長いコップの方が水の量が多い」と判断してしまう『保存性の未発達』、人形などの生き物ではないものを生き物として捉える『アニミズム的嗜好』を特徴とします。

■第3段階(6~12歳):具体的操作期

『自己中心性』から脱却し、相手の立場に立った考え方ができるようになるステージです。

論理的な思考が身につき、物を動かして考えたり、長さや重さなどの概念を組み合わせて考えることができるようになります。

また、「シャツを着てからパンツを履いても、パンツを履いてからシャツを着ても結果は同じ」ということを学び、物事を逆の順序で行なえるようになります。

■第4段階(12歳~):形式的操作期

論理的思考に加え、抽象的な思考ができるようになるステージです。

「もしこんな行動を取った場合、どうなるのか」といった、仮定的な考え方もできるようになります。

――――――――――――――――――――――――

正解は4です。

『具体的操作期』には、物事を逆の順序で行なえるようになります。

その他の選択肢の解説は、以下のとおりです。

1.体積や量の保存の概念が獲得されるのは、『具体的操作期』です。

2.自己中心的な思考は、『前操作期』の特徴です。

3.抽象的な論理的思考は、『形式的操作期』に発達します。

5.対象の永続性は、『感覚運動期』に獲得されます。

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03

正答【4】

Piaget, J(ピアジェ)の認知発達理論は、ピアジェはこどもの認知機能(思考)の発達は、外界を認識する「シェマ(スキーマ構造)」の質的変化が4つの段階(感覚運動期、前操作期、 具体的操作期、 形式的操作期)を経て進むと考えました。

1.誤答
体積や量の保存の概念は、具体的操作期(7歳~11,12歳)に獲得されます。
保存の概念とは、数・重さ・体積・量は、見た目(形や位置)が変わっても一定であるという「保存性」について理解します。


2.誤答 
自己中心的な思考は、前操作期(2歳~7歳)の特徴です。
自分の視点ですべてのことを物事をとらえる傾向が強く、他者が自分と自分とは違う考えやの見方をするのが理解できません。


3.誤答 
抽象的な論理的思考は、形式的操作期(12歳~)に発達します。
目の前に具体的な物や事象がなくても言語などで物事を考えるようになり、徐々に大人の施行に近づいていきます。仮説を立てて推理・演繹し実証するという論理的思考も可能になります。


4.正答 
可逆的な操作は、具体的操作期(7歳~11,12歳)に可能となります。
ある変化を考えたとき、条件を変えるとその変化と逆の方向に変化が起こって元の状態に戻るということが理解できるようになります。「保存の概念」と「可逆的な操作」は、具体的操作期に備わる特徴的な思考です。


5.誤答 
対象の永続性は、感覚運動期(0カ月~2歳)に獲得されます。
目の前にないものでもこの世に存在することがわかるという概念です。

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