精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
社会理論と社会システム 問15
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問題
第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 社会理論と社会システム 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
日本の裁判員制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 裁判員制度は、一般市民の側からの要求に基づいて導入された。
- 裁判員制度の導入により、刑期が軽い方向へシフトしている。
- 裁判員を経験した人へのアンケート調査の結果では、あまりよい経験でなかったと感じている人が多い。
- 裁判員制度は、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としている。
- 裁判員制度は、近代の自律的法としての普遍性を高めることを目的としている。
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この過去問の解説 (3件)
01
1. 裁判員制度は、内閣の司法制度改革審議会が提出した意見書により、2004(平成16)年に導入されました。
2. 設問とは逆で、刑期は求刑よりも重い判決にシフトしています。これは、犯罪の内容をモニタなどで見せられることで残虐性を痛感するためや、過去の判例と照らして相対的に判断することができないためなどの原因が指摘されています。
3. アンケートによると裁判に参加した方の97.5%が「非常によい経験」、または「よい経験」と回答しています。
4. 正解です。裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)に趣旨として明記されています。
5. セルズニックの法の3類型に関する設問です。セルズニックは下記の3つに法を分類しました。
① 抑圧的法:支配者が被支配者を抑圧するための法。
② 自律的法:法は政治と切り離され、全ての人が等しく従うべき体系的なものである。
③ 応答的法:より柔軟で可塑的な法。法は社会の目的を達するための道具。
裁判員制度は③の応答的法に分類されます。
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02
2004年5月に『裁判員の参加する刑事裁判に関する法律』が成立し、2009年5月から始まった裁判員制度。国民が刑事裁判に参加することで裁判が身近でわかりやすいものとなり、司法に対する国民の信頼が向上することが期待されています。
その他の選択肢については、以下のとおりです。
1.裁判員制度は、内閣に設置された『司法制度改革審議会』がまとめた意見書に基づいて導入されました。
2.裁判員制度の導入により、刑期は重い方向へとシフトしています。これは、「国民としての感情・感覚が量刑に影響している」「経験値が少ないため、過去の事例と比較して判断できない」といった理由によるものと考えられています。
3.2017年3月に最高裁判所が発行した『裁判員等経験者に対するアンケート 調査結果報告書(平成28年度)』によると、96.7%の人が裁判員として裁判に参加して「非常によい経験と感じた」または「よい経験と感じた」と回答しています。
5.ノネとセルズニックの『法の3類型』の話です。
裁判員制度はその中でも、普遍性を維持しつつも社会の要請に応えるため、より柔軟な運用を可能にする『応答的法』に分類されます。そのほか、独裁権利者が支配する『抑圧的法』、法が政治から切り離され、全員が等しく従うべき普遍的ルールとして定められた『自律的法』が挙げられます。
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03
1.誤答
裁判員制度は、一般市民の側からではなく法曹専門家の側からの要求に基づいて導入されました。
これまでの裁判は、法律の専門家が中心となって行われてきたため、専門的な正確さを重視する余り裁判や審判は国民には理解しがたいものでした。
そのため、国民が刑事裁判に参加することで、裁判を身近なものとし、国民の健全な常識を取り入れることで国民の自由や権利が不当に奪われることがないように、また、司法に対する国民の信頼向上が、期待されて導入されています。
2.誤答
裁判員制度の導入により、刑期は重い方向へシフトしています。
裁判員制度が導入さた2009年から2013年までに求刑を超える刑が言い渡され他のは、年平均で約10人に上り、裁判官裁判時代の平均2~3人を大きく上回る結果となっています。
特に殺人罪で重めの判決が出る傾向があり、女児虐待殺害の両親には求刑(10年)の1.5倍の懲役15年が言い渡されています。
3.誤答
平成30年度の裁判員を経験した人へのアンケート調査の結果(平成30年度)によると、裁判官として裁判に参加した感想では、「非常に良い経験と感じた」が最も多く、3,520人(63.4%)を占めています。次いで「良い経験と感じた」1,865人(33.6%)となっています。
4.正答
裁判員制度は、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としています。
裁判員制度は、国民が裁判に参加することにより、法曹専門家が国民に分かりやすく、迅速な裁判に努めることとなります。
また、専門家だけで行っていた裁判を国民が参加することで国民の視点や感覚が反映され国民が理解しやすく、裁判への信頼の向上が期待されています。
5.誤答
自律的法は、政治から分離され普遍的なルールとして形式化、 体系化されたものです。
裁判員制度は、普遍性を維持しつつも社会の要請に応えるために, より柔軟で可塑的な運用を可能にする新たな法のあり方であり、応答法として法と社会が密にかかわることを目的としています。
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