精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
心理学理論と心理的支援 問14

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 心理学理論と心理的支援 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

カウンセリングや心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 認知行動療法では、クライエントの発言を修正せず全面的に受容することが、クライエントの行動変容を引き起こすと考える。
  • 社会生活技能訓練( SST )では、ロールプレイなどの技法を用い、対人関係で必要なスキル習得を図る。
  • ブリーフセラピーでは、即興劇において、クライエントが役割を演じることによって、課題の解決を図る。
  • 来談者中心カウンセリングでは、クライエントが事実と違うことを発言した場合、その都度修正しながら話を聞いていく。
  • 動機づけ面接では、クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げていくことが行動変容につながると考える。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「2」です。

1. 設問はロジャースの来談者中心カウンセリングの説明です。

2. 正解です。SSTでは課題場面についてのロールプレイを通じて、適切な対象法を学習します。

3. 設問はサイコドラマ(心理劇)の説明です。ブリーフセラピーとは問題の原因をクライエントの個人病理に求めるのではなく、カウンセリングでのコミュニケーションを通じて課題解決を図る方法です。短期療法とも呼ばれています。

4. 来談者中心カウンセリングの3条件は「無条件の肯定的関心」、「共感的理解」、「自己一致」なので、間違いをその都度修正しながら行う態度とは異なります。

5. 動機付け面接とは、クライエントの変わりたくないという理由ではなく、現状の自己をどう認識しているのか、今後どこに向かいたいと思っているのか、に焦点を当てます。クライエント自身の矛盾や両価性を探り、それを解決しようとする方法です。

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02

正答【2】

1.誤答 
クライエントの発言を修正せず全面的に受容することで、クライエントの行動変容を引き起こすと考えるのは、カール・ロジャーズによる「来談者中心カウンセリング」です。
クライエントの話をよく傾聴し、クライエントがどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んで行くことで、カウンセラーの知識や助言がなくても、クライエントが自らが気づき、成長していくことができるという考えです。


2.正答 
社会生活技能訓練( SST )は対人関係のスキルを習得するための行動療法です。ソーシャルスキルトレーニングとも呼ばれます。
精神障害者の社会復帰トレーニングや発達障害者(児)の社会生活の中のルールーを身に着けるトレーニングとしてよく使われます。


3.誤答 
即興劇において、クライエントが役割を演じることによって、課題の解決を図る心理療法は、モレノによる「心理劇(サイコドラマ)」です。
心理劇は、言葉や表現できない思いや考えを台本のない即興劇で表現することで自分自身について理解・洞察し問題を解決していく心理療法です。

ブリーフセラピーは、短期療法とも呼ばれ、問題の所在を精神病理などの個人の内側に想定するのではなく、個人と個人のコミュニケーションの相互作用の変化を促して問題の解決を図る方法です。


4.誤答 
クライエントが事実と違うことを発言した場合、その都度修正しながら話を聞いていくのは「認知行動療法」です。
認知行動療法は、クライエントの考えの癖や歪んだものの捉え方が問題行動を起こしていると考え、クライエントの持つ考えや信念を修正していくことで問題が解決するという心理療法です。


5.誤答 
クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げて行くことが行動変容につながるという考え方は、「精神分析療法」です。変わりたくないという無意識の「抵抗」をクライエントの過去の状況から理解し抵抗を克服することで行動変容につながるという考えです。

動機付け面接とは、クライエントの変わりたいという方向性を引き出し、考え方や行動変容に必要なことを一緒に考え、行動を変えることができるように援助していく面接法です。

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03

正解は2です。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部精神科教授、ロバート・ポール・リバーマンが考案した『社会生活技能訓練』。対人関係で必要なスキルを、コミュニケーションの側面からアプローチします。精神疾患のみならず、児童施設や教説施設でも用いられています。

その他の選択肢については、以下のとおりです。

1.アメリカの臨床心理学者・ロジャーズの『来談者中心カウンセリング』の説明です。
認知行動療法は、物事の捉え方や考え方の癖(認知の歪み)をコントロールし、気持ちを楽にする療法です。

3.『サイコドラマ(心理劇)』の説明です。
ブリーフセラピーは短期療法・短期精神療法とも呼ばれ、一般的に10~20回のセッションで治療を終え、効果を発揮する手法だとされています。

4.来談者中心カウンセリングは、カウンセラーの「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」を特徴とします。クライエントの発言をその都度修正する態度はあてはまりません。

5.『動機づけ面接』ではクライエントが変わりたい方向を見出し、カウンセラーはその姿に近づくため考え方や行動を変える力添えをします。

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