精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
現代社会と福祉 問27

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

各国の福祉改革に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • スウェーデンのエーデル改革は、高齢者の保健医療は広域自治体、介護サービスはコミューンが実施責任を負うとする改革であった。
  • イギリスのブレア内閣の社会的排除対策は、財政の効率化、市場化、家族責任など「大きな社会」理念に基づくものであった。
  • 日本の介護保険制度は、給付に要する費用の全額を保険料の負担として、財源の安定を目指した。
  • ドイツの介護保険制度は、障害者の介護サービスを除外して創設された。
  • アメリカのTANF( 貧困家族一時扶助 )は、「就労から福祉へ」の政策転換であった。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「1」です。

1. スウェーデンのエーデル改革(1992年)では、ランスティング(広域自治体、日本の県に相当)と、コミューン(基礎自治体、日本の市町村に相当)との間で曖昧になっていた高齢者への対応を明確にしました。

2. ブレア首相は、旧来の社会民主主義路線にサッチャー流市場原理主義路線を取り入れた「第三の道」を提唱して社会的排除に対応しようとしました。「大きな社会」を唱えたのはキャメロン首相です。

3. 介護保険制度の費用は、公費50%+保険料担50%、となっています。全額が保険料負担だと安定はしません。

4. 障害者の介護サービスも対象としています。日本の介護保険では65歳以上と40歳から65歳未満の医療保険加入者(2号被保険者)のみですが、ドイツでは医療保険制度の全年齢の被保険者が対象となります。

5. 1996(平成8)年の福祉改革法が成立、要扶養児童家族扶助、就労機会・基礎技能訓練、緊急扶助の3つが廃止され、給付金と就業支援を統合した貧困家族一時扶助制度(TANF)が設立されました。これは、福祉への依存からの脱却と就労による自立支援を目的とした動きなので、設問とは逆です。

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02

正解は1です。
スウェーデンで1992年に起こったエーデル改革。高齢者医療や介護について、「保険医療は広域自治体(ランスティング)」「介護サービスは市町村(コミューン)」と、今まで曖昧だった責任の所在を明らかにしました。

その他の選択肢については、以下のとおりです。

2.「大きな社会」をスローガンとして掲げたのは、2010年にイギリス首相に就任したキャメロンです。

3.日本の介護保険制度では、給付に要する費用の50%が税金、50%が保険料となっています。また、介護保険制度の財政を安定させる『財政安定化基金』の内訳は、国が25%、都道府県と市町村が12.5%を負担しています。

4.ドイツの介護保険制度には、障害者の介護サービスも含まれています。被保険者は、医療保険制度における0歳以上のすべての加入者が対象です。

5.1996年、アメリカでは福祉改革法の成立によって、『要扶養児童家族扶助(AFDC)』『就労機会・基礎技能訓練(JOBS)』『緊急扶助(EA)』3つの福祉制度が廃止。給付金支給と就業支援を統合した「貧困家族一時扶助制度(TANF)」が設置されました。

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03

正解は1です。

1→スウェーデンのエーデル改革とは、高齢者の保健医療は広域自治体、介護サービスはコミューンが実施責任を負うとする改革です。
コミューンとは地方自治体の最小単位の呼び方です。

2→イギリスの「大きな社会」理念はキャメロン首相がスローガンとして掲げたものです。

ブレア首相は「第三の道」という考え方を示しました。

3→日本の介護保険制度の財源は、公費(税金)と被保険者が納める保険料の半分ずつの割合で構成されています。

4→ドイツの介護保険制度は、障害者の介護サービスも含まれています。

5→就労から福祉へではなく、「福祉から就労へ」という言葉です。

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