精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137
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問題
第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
発達障害者支援センターのF精神保健福祉士は、Gさん(35歳、女性)から息子のHさん(7歳)のことで相談を受けた。Gさんの話は、「Hは、幼少期から人見知りやこだわりが強かったが、障害とは思っていなかった。保育園でもささいなことで泣き出していたが、園長から、『Hさんの個性として受けとめましょう』と言われていた。しかし、地元のV小学校に入学すると、音に過敏で先生の話が聞けない、ノートが取れない、場面の切替えができない、運動会に参加できないなど、様々なつまずきがみられた。そして、2年生になると授業についていけなくなり、登校を嫌がって自宅でテレビゲームばかりするようになった。そこで、専門医を受診したところ、自閉症スペクトラムと診断された」とのことである。Gさんには診断にショックを受けながらも、無理やり登校を強いてきたことを責める様子がみられた。そして、「私はこれからHにどのように接したらいいのでしょうか」とF精神保健福祉士に尋ねた。
V小学校には特別支援学級はなかったが、GさんもHさんも転校は望んでいなかった。そこで、F精神保健福祉士はV小学校と協議の場を設け、Hさんが安心して学校に通うための対応を提案した。
Hさんが4年生に進級した時に、特別支援学級が設置され、Hさんは通常の学級との併用を開始した。ところが、しばらくするとHさんは、「なぜ自分だけが他の教室に行くの?」と特別支援学級に行くのを拒み、通常の学級での個別の配慮も嫌がるようになった。Gさんは、Hさんの言動に驚く一方、Hさんが他の児童と自分を比べざるを得ない状況に心を痛めた。Gさんの思いを聞いたF精神保健福祉士は、この件についてV小学校と協議を重ねた。そして、Hさんと同じ配慮が望ましい児童が複数いることも分かり、同様の配慮を教室環境や授業展開に取り入れた。結果として、Hさんが落ち着いて学習できる環境は、他の児童の学習効果につながるものでもあった。また、この取組を通して、児童たちが、Hさんの困り事や支援の意義を理解できるようになったことは大きな成果であった。(※3)
次のうち、V小学校の児童への取組を示すもの(※3)として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
発達障害者支援センターのF精神保健福祉士は、Gさん(35歳、女性)から息子のHさん(7歳)のことで相談を受けた。Gさんの話は、「Hは、幼少期から人見知りやこだわりが強かったが、障害とは思っていなかった。保育園でもささいなことで泣き出していたが、園長から、『Hさんの個性として受けとめましょう』と言われていた。しかし、地元のV小学校に入学すると、音に過敏で先生の話が聞けない、ノートが取れない、場面の切替えができない、運動会に参加できないなど、様々なつまずきがみられた。そして、2年生になると授業についていけなくなり、登校を嫌がって自宅でテレビゲームばかりするようになった。そこで、専門医を受診したところ、自閉症スペクトラムと診断された」とのことである。Gさんには診断にショックを受けながらも、無理やり登校を強いてきたことを責める様子がみられた。そして、「私はこれからHにどのように接したらいいのでしょうか」とF精神保健福祉士に尋ねた。
V小学校には特別支援学級はなかったが、GさんもHさんも転校は望んでいなかった。そこで、F精神保健福祉士はV小学校と協議の場を設け、Hさんが安心して学校に通うための対応を提案した。
Hさんが4年生に進級した時に、特別支援学級が設置され、Hさんは通常の学級との併用を開始した。ところが、しばらくするとHさんは、「なぜ自分だけが他の教室に行くの?」と特別支援学級に行くのを拒み、通常の学級での個別の配慮も嫌がるようになった。Gさんは、Hさんの言動に驚く一方、Hさんが他の児童と自分を比べざるを得ない状況に心を痛めた。Gさんの思いを聞いたF精神保健福祉士は、この件についてV小学校と協議を重ねた。そして、Hさんと同じ配慮が望ましい児童が複数いることも分かり、同様の配慮を教室環境や授業展開に取り入れた。結果として、Hさんが落ち着いて学習できる環境は、他の児童の学習効果につながるものでもあった。また、この取組を通して、児童たちが、Hさんの困り事や支援の意義を理解できるようになったことは大きな成果であった。(※3)
次のうち、V小学校の児童への取組を示すもの(※3)として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ソーシャルキャピタル
- ユニバーサルデザイン
- ソーシャルロール・バロリゼーション
- ヘルスプロモーション
- アファーマティブアクション
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この過去問の解説 (3件)
01
1.ソーシャルキャピタルとは、社会関係資本ともいい、人々の協調行動を促すことによって、社会の機能的充足を高められるという考え方で、規範や信頼などによって構成されます。
2.ユニバーサルデザインとは、すべての人が使いやすい製品や住みやすい環境などを創出をするためのデザインのことで、メイスによって提唱されたデザインです。ユニバーサルデザインは、すべての人を対象とすることを特徴としており、障害者や高齢者を特別視しないことが前提となっています。
3.ソーシャルロール・バロリゼーションとは、社会的マイノリティである人々が高い社会的な役割を獲得し、役割維持のために能力を高めることで、社会的意識の改善を目指す概念です。
4.ヘルスプロモーションとは、オタワ憲章により提唱された概念で、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするためのプロセス」です。
5.アファーマティブアクションとは、積極的改善措置ともいい、社会的な差別によって不利益を被る立場に置かれている人々に対し、一定の範囲内で特別措置をとる暫定的な取り組みのことです。
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02
本事例では、「Hさんが落ち着いて学習できる環境は、他の児童の学習効果につながるものでもあった」という記述があります。このように、障害の有無を問わず多様な人々が利用しやすいような、生活環境などのデザインをユニバーサルデザインと言います。
1. ソーシャルキャピタルは、社会関係資本と訳され、社会や地域における人々のネットワークや信頼関係を指します。
3. ソーシャルロール・バロリゼーションとは、障害者が価値ある社会的役割を獲得することを重視する、障害者支援に対する考え方を指します。
4. ヘルスプロモーションとは、WHOによって「人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス」と定義されている概念です。
5. アファーマティブアクションは、積極的改善措置と訳され、差別を受けてきた集団や個人に対し進学や就職などで、積極的な優遇を行う政策の事を指します。
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03
正解は、2 です。
1 ソーシャルキャピタルとは、地域コミュニティにおける人々の結びつきを支える社会組織の特徴のことです。事例では学校での場面について書かれていますので、不適切です。
2 ユニバーサルデザインとは、障害や年齢などにかかわらず、すべての人が利用しやすいサービスなどを提供していこうとする考え方のことです。事例では、Hさんだけではなく他の児童の学習効果にも繋がっていますので、適切です。
3 ソーシャルロール・バロリゼーションとは、障害者が価値のある社会的役割を獲得するという考え方です。事例にそのような記述はないため、不適切です。
4 ヘルスプロモーションは、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義されています。事例にそのような記述はないため、不適切です。
5 アファーマティブアクションとは、社会的な差別によって不利益が生じている方に対し、一定の範囲内で特別措置をとることにより救済を行う取り組みのことです。事例にそのような記述はないため、不適切です。
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