精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
心理学理論と心理的支援 問14

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 心理学理論と心理的支援 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
  • 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
  • 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
  • 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
  • ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答【4】

1.誤答
自動思考を修正することを目的としているのは「認知行動療法」です。

回想法は、認知症高齢者の特性を生かした療法です。本人が使っていた昔の品物や懐かしい写真などを見たり、経験や思い出を語り合うことで、昔の記憶を蘇らせ自分自身の人生を見つめ直すきっかけや日々の生活の意欲を回復させることを目的としています。


2.誤答 
個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていくのは、フロイトが創設した「精神分析的心理療法」です。

応用行動分析(ABA)は、スキナー(Skinner,B,F)の行動心理学の考えを基礎にした問題解決方法です。
問題とされる行動の前後を分析することでその行動の目的を明らかにし、本人の周囲にある環境に働きかけることで問題行動を修正するという手法です。発達障害児などの抱える問題行動の変容によく使用される治療法です。


3.誤答
クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していくのは「回想法」です。

認知行動療法とは、認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて気持ちを楽にする心理療法です。
認知行動療法では、「自動思考」と呼ばれる、気持ちが大きく動揺したりつらくなったりした時に頭に浮かんでいた考えが、現実とどの程度違うのかを知ることで認知のバランスをとることを目的としています。


4.正答 
森田療法は、精神科医の森田正馬によって創始された神経症に対する日本独自の精神療法です。

森田療法は、神経質性格(内向的・過敏・神経症・完全主義など)を基盤にして、「とらわれの機制」と呼ばれる特有の心理的メカニズムによって症状が発症すると考えています。
自己の不安や恐怖・感情をあってはならないものと無理に排除しようとすることにとらわれの源があるとして、不安などの感情を自然のものとして「あるがまま」に受け入れられ、自分や自分の生き方を実現することが目的です。


5.誤答
ブリーフセラピーは、アメリカの精神科医ミルトン・エリクソンが行った治療に関する考え方や技法から発展した心理療法です。

「ブリーフ(brief)」とは「短期の」という意味であり、短期間で、効率的に、効果的に行うセラピーを指します。ブリーフセラピーは、「原因が何か(過去)」ではなく、行動に変化を起こして問題の解決を図る(現在・未来)に焦点を当てていくことを重要視します。

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02

正解は4です。

森田療法では、不安を取り除くという考え方ではなく、「あるがままの不安を受け入れる」という考え方のもとで神経症状の治療を行っていきます。

その他の選択肢については、以下の通りです。

1.回想法では、過去の出来事を回想することで自分の人生を再評価し、抑うつ状態の改善や記憶力の改善を図るものです。
選択肢にあるような自動思考の修正は、認知行動療法で行われます。

2.選択肢の説明は、フロイトが創始した「精神分析療法」の説明です。
応用行動分析とは、主に発達障害児に用いる心理療法のひとつです。
問題行動の前後を分析し、なぜそのような行動をとったのかを明らかすることで、問題行動の解消を目指していきます。

3.選択肢は、「回想法」の説明です。
認知行動療法では、クライエントがこれまでの学習で獲得した認知の歪みを、新しい行動により新たな認知を学習させ、行動の変容を目指すアプローチです。

5.ブリーフセラピーでは、過去に焦点を当てるのではなく、現在起きている具体的な主訴に焦点を当てるアプローチです。

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03

正解は4です。

日本の精神科神経科、森田正馬によって創始された森田療法。
現代医学では不安や葛藤を排除するためのアプローチが多くみられるのに対し、森田療法では不安や葛藤をあるがままに受け入れながら、再発防止や症状の緩和を目指します。


その他の選択肢の解説は以下のとおりです。

1→アメリカの精神科医、ロバート・バトラーが提唱した回想法。
高齢者が自身の歴史や思い出話などを楽しく語ることで、いきいきとした心を取り戻すことを目的としています。

2→アメリカの心理学者、バラス・スキナーの行動分析学をもとに確立された、応用行動分析。
行動の前後を分析しながら、その行動が持つ意味や目的を明らかにし、 個人と環境要因との相互関係から問題行動の解消を図ります。
おもに発達障害を抱える子どもなどに用いられます。

3→認知行動療法は、その人が持つ思考やものの捉え方、行動などの癖を把握し、認知や行動パターンを整えることで問題や症状を改善する方法です。
うつ病や不安障害、摂食障害など、あらゆる精神疾患で使われます。

5→アメリカの精神科医、ミルトン・エリクソンの治療を土台に発展した、ブリーフセラピー。
問題の背景や原因に焦点を当てるのではなく、「今ここで起きていること」に焦点を当て、比較的短期間での問題解決を図ります。

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