精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
社会理論と社会システム 問19

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 社会理論と社会システム 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、パーソンズ(Parsons, T.)の社会的行為論として、正しいものを1つ選びなさい。
  • コミュニケーション的行為論
  • 交換理論
  • 集合行動論
  • 象徴的相互作用論
  • 主意主義的行為理論

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この過去問の解説 (3件)

01

正答【5】

1.誤答 
コミュニケーション的行為論の代表はハーバーマスです。
ウェーバーが指摘した目的合理性(個人を基点とした成果志向型の社会的行為)を軸とする近代合理性の問題点は、コミュニケーション的合理性(人同士の了解を志向する社会的行為)を導入することで、相互行為を基盤とした豊かな生活になると提案しています。


2.誤答
社会的交換理論は、人の社会的行動は、物質的、精神的報酬となる活動の交換行為であり、これらの「交換によって人間関係を形成・発展していくという理論です。代表的な研究者には、ホーマンズなどがいます。


3.誤答 
集合行動論は、ブルーマーらが研究した集合行動現象から始まり、代表的な研究者はスメルサーです。
スメルサーは、社会システム論と付加価値プロセス論を導入することで、発生から分析までを体系的に分析できるようにしました。


4.誤答
象徴(シンボリック)相互作用論の代表的な研究者は、ブルーマーです。
象徴的相互作用論とは、自己や個人の内側に中心をおいて、社会状況における意味の創造を強調する研究と考えです。


5.正答
主意主義的行為理論は、パーソンズの社会的行動理論です。
パーソンズは、当時のヨーロッパ思想の二大潮流である「実証主義的理論」と「理想主義的理論」という対立する2つの理論を総合することで新たな「主意主義的行為理論」を提示しています。
社会的行為は、「単位行為」と単位行動の統合である「行為体系」から構成されていると考え、「単位行為」を目的・手段・条件・規範の4つの要素に区別して分析しています。

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02

正解は5です。

「主意主義的行為理論」とは、行為をするとき外的な決まりなどに影響されるのではなく、自分の主観的な意思で能動的に行為する考えをいいます。

各選択肢については、以下の通りです。

1.ハーバーマスが提唱した「コミュニケーション的行為」とは、コミュニケーションを通じて他者と合意していくことをいいます。

2.ホーマンズらが提唱した「交換理論」とは、対人関係の形成において、報酬を交換し合うことをいいます。
ここでいう報酬とは、有形のものもあれば、情緒的感情(愛情など)といった無形のものも含まれます。

3.スメルサーらが提唱した「集合行動論」は、デモなどの社会運動を非制度的行動として捉え、その発生プロセスについても論じています。

4.ブルーマーが提唱した「象徴的相互作用論」とは、人間が他者と関わる際に、物事の意味や象徴(シンボル)にどう反応したり用いたりするのかを描いた理論です。

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03

正解は『5』です。

パーソンズは人の行動に対する見方を『実証主義的行為理論』『功利主義的行為理論』『理念主義的行為理論』の3つに分類。
それらを集約した新たな理論として、主意主義的行為理論を唱えました。


その他の選択肢の解説は以下のとおりです。

1→ドイツの哲学者・ハーバーマスの理論です。
コミュニケーション的行為論では、行為者がコミュニケーションを通じて相互関係を構築することにより、相手の了解や納得を求めるとしています。

2→交換理論は、ホーマンズやブラウが唱えました。
物の売買のみならず、対人関係や社会的現象においても交換という観点を用いています。(愛情のやりとり、尊敬し合うなど)

3→社会学における集団行動とは、災害時の混乱やデモ、宗教的な興奮など、集団が起こす一種のパニックのこと。
ル・ボンやスメルサーなど、多くの社会学者によって論じられました。

4→アメリカの社会学者・ブルーマーによって提唱された理論です。
シンボリック相互作用論とも呼ばれ、あらゆる物事に付与された意味や象徴を読み取ることで、人や社会について理解を深めようとしました。

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