精神保健福祉士の過去問
第23回(令和2年度)
現代社会と福祉 問25

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問題

第23回(令和2年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

イギリスの新救貧法( 1834年)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。
  • パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した。
  • 貧困調査を実施して、貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。
  • 働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用した。
  • 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。

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この過去問の解説 (4件)

01

この問題は新救貧法の詳細を問う問題です。諸外国の福祉政策の歴史を学習するかがカギとなります。

選択肢1. 劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。

〇 問題文の通りで新救貧法では劣等処遇の原則を提唱しており、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとしています。

選択肢2. パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した。

✕ これはスピナームランド制度による救貧税の支給基準の為誤答となります。

選択肢3. 貧困調査を実施して、貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。

✕ これはブースの貧困調査の事を指したもので誤答となります。

選択肢4. 働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用した。

✕ これは新救貧法において働ける者を労役場で救済することに限定し在宅で救済する方策を廃止した為誤答となります。

選択肢5. 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。

✕ これは1942年のべヴァリッジ報告によるもので、社会保険・公的扶助・社会福祉サービスの指導理念として提唱されたものである為誤答となります。

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02

正解は「劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。」です。

新救済法は、1834年に定められました。貧民救済を受ける者を労役場内に収容して厳格に処遇する劣等処遇制度を導入しました。

各選択肢については以下のとおりです。

選択肢1. 劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。

正しいです。

選択肢2. パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した。

1795年のスピーナムランド制度の説明です。貧困層は、パンの値段と家族の人数に応じた援助を受けることができるとされました。

選択肢3. 貧困調査を実施して、貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。

ブースの貧困調査の説明です。この貧困調査により、「貧困の原因は、飲酒や賭博のような怠惰などではなく、不安定就労や低賃金などの社会経済的原因によるもの」とされました。

選択肢4. 働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用した。

新救済法では、労役場内での救済は行なうが、労役場外での救済は認めないとしたため誤りです。

選択肢5. 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。

1942年のベヴァリッジ報告の説明です。国家による社会保険制度を整備することで5つの巨悪に対抗し、それが不可能な場合に公的扶助を設けました。

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03

正解は「劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。」です。

選択肢1. 劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。

新救貧法では、劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を、自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとしました。

選択肢2. パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した。

×

パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した制度は、スピーナムランド制度です。

選択肢3. 貧困調査を実施して、貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。

×

貧困調査は19世紀末にイギリスで行われました。

ブースはロンドンで調査を行い、ロンドン市民の約3割が貧困状態にあることを指摘し、その原因は、社会的要因であることを明らかにしました。

選択肢4. 働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用した。

×

働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用したのは、ギルバート法です。

選択肢5. 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。

×

べヴァリッジ報告は、貧困の原因として、欠乏、疾病、無知、不潔、無為の5大巨悪を指摘したほか、社会保険を中心に社会保障制度を構築しました。

参考になった数8

04

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 劣等処遇の原則を導入し、救貧の水準を自活している最下層の労働者の生活水準よりも低いものとした。

適切な内容です。

選択肢2. パンの価格に基づき定められる最低生計費よりも収入が低い貧困者を対象に、救貧税を財源としてその差額を給付した。

不適切です。選択肢の内容はスピーナムランド制度の説明となっています。

選択肢3. 貧困調査を実施して、貧困は社会的な要因で発生することを明らかにした。

不適切です。選択肢の内容はブースが行った貧困調査の説明となっています。

選択肢4. 働ける者を労役場で救済することを禁止し、在宅で救済する方策を採用した。

不適切です。選択肢の内容はギルバート法の説明となっています。

選択肢5. 貧困の原因として欠乏・疾病・無知・不潔・無為の5大巨悪を指摘した。

不適切です。選択肢の内容はベヴァリッジ報告における5大巨悪の説明となっています。ベヴァリッジ報告においてはこれら5大巨悪に対して社会保障制度を整えて対抗策を講じ、それでも立ち行かない場合に備えて公的扶助を設ける事としました。

参考になった数5