精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
現代社会と福祉 問3

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問題

第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

福祉政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。
  • マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。
  • ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。
  • フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。
  • ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。

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この過去問の解説 (3件)

01

福祉政策の代表的な論者である、アダム・スミス、マルサス、ケインズ、フリードマン、ロールズが論ずるそれぞれの理論について整理して記憶しましょう。

選択肢1. アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。

アダム・スミスは、国家の役割を外交や国防等に限定する「夜警国家」で「小さな政府」を主張しました。

選択肢2. マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。

マルサスは「人口論」の中で、救貧法は貧困者を増加させるものとして異議を唱えました。

選択肢3. ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。

ケインズ(Keynes,J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張しました。ケインズ主義によって1929 年に起きたアメリカの恐慌対策としてニューディール政策を実施しました。

選択肢4. フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。

フリードマンは、「小さな政府」を目指す新自由主義の論者です。

選択肢5. ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。

ロールズは、『正義論』の中で格差が認められるのは、格差が最も恵まれない人に使われた場合だけという「格差原理」を主張しました。

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02

本設問では人名、福祉施策について問われています。それぞれの時代背景や、主張した内容について覚えておくと良いでしょう。

選択肢1. アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。

✕ アダム・スミスは政府の役割をなるべく小さくした「小さな政府論」を主張しました。

選択肢2. マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。

✕ 選択肢の内容は「ベヴァリッジ」が主張した内容です。

選択肢3. ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。

〇 選択肢の通りです。社会的な理由により失業が増加した場合は、働きたいのに働けないという人が増加します。ケインズはその人達を救済するために、公共事業を増加させる事で雇用機会を増加させる必要があると説きました。

選択肢4. フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。

✕ フリードマンは、新自由主義の視点から、政府は市場に介入せず、市場にその権利を委ねることが経済を活性化させると説きました。

選択肢5. ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。

✕ ロールズは国家の役割を外交や国防等に限定していません。困窮者の救済についても、慈善事業のみで対応できない部分に働きかけて実行する事を求めています。

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03

世界の福祉政策の著名人について問われています。福祉政策の歴史や動向について、併せて確認しておきましょう。

選択肢1. アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。

不適切です。アダム・スミスは、「小さな政府」について主張しました。著書「国富論」が有名です。

選択肢2. マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。

不適切です。記述内容は、マルサスではなくベヴァリッジが主張しました。

選択肢3. ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。

適切です。記述の通りです。ケインズは、イギリスの経済学者であることも併せて覚えておきましょう。

選択肢4. フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。

不適切です。記述内容とは逆に、フリードマンは「国家は介入せず、市場に任せておくべきである」という「小さな政府」について主張しました。

選択肢5. ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。

不適切です。ロールズは、「格差原理」について主張しました。著書「正義論」が有名です。

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