社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問2

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 選択式 労働基準法及び労働安全衛生法 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文中の( B )の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

1  使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、労働基準法第96条の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、( A )に、行政官庁に届け出なければならない。

2  最高裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法上の労働者に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、F紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、( B )の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がF紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。そして、( C )等についてみても、上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない。そうであれば、上告人は、専属的にF紙業の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたことなど原審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、上告人は、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。」

3  事業者は、労働者を本邦外の地域に( D )以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、労働安全衛生規則第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

4  事業者は、高さ又は深さが( E )メートルを超える箇所で作業を行うときは、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りでない。
  • 0.7
  • 1
  • 1.5
  • 2
  • 1月
  • 3月
  • 6月
  • 1年
  • 業務遂行条件の変更
  • 業務量、時間外労働
  • 工事着手後1週間を経過するまで
  • 工事着手30日前まで
  • 工事着手14日前まで
  • 工事着手日まで
  • 公租公課の負担、F紙業が必要経費を負担していた事実
  • 時間的、場所的な拘束
  • 事業組織への組入れ、F紙業が必要経費を負担していた事実
  • 事業組織への組入れ、報酬の支払方法
  • 制裁、懲戒処分
  • 報酬の支払方法、公租公課の負担

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この過去問の解説 (3件)

01

( B )は、労働基準法における労働者に関する問題であり、最高裁第一小法廷判決平8. 11.28横浜南労基署長事件からの出題です。

 最高裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法上の労働者に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示しました。
「上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、F紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、「時間的、場所的な拘束」の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がF紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。(略)」

労働者にあたるかどうかは、
①仕事の依頼、指示等に対する諾否の自由
②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令
③勤務場所・時間についての指定
④労務提供の代替可能性
⑤報酬の労働対償性
⑥事業者性の有無などを総合的に判断して考えられるものです。

参考になった数15

02

寄宿舎に関する規定、海外派遣時の健康診断の規定は基本事項の数字の暗記で対応できると思います。Eは安全衛生法の非常に細かい規定で覚えておらず2か1.5で悩みます。BとCは最高裁判例からの出題ですがうち1つは正解したいところです。

選択肢16. 時間的、場所的な拘束

「時間的、場所的な拘束」が正しいです。

最高裁判例 横浜南労基署長(旭紙業)事件(最高裁第一小法廷平成8年11月28日判決)からの出題です。労働者性の原理原則から回答を導き出せるとよいです。BやCを見て労働者性がない「使用されていない」「事業又は事務所に賃金を支払われていない」と判断できる語句を選択します。

最高裁判例は前後の文脈にヒントがあると考えて注意深く読みます。「特段の指揮監督を行っていない」「一般の従業員と比較してはるかに緩やか」等から労働者性を否定する回答選択肢を探します。

https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/01/01.html

(定義)

第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

上記の労働者性(使用従属性)の判断は、以下の諸要素を総合的に考慮して行われる。

①仕事の依頼、業務の指示等に対する諾否の自由の有無

②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無

勤務場所・時間についての指定・管理の有無

④労務提供の代替可能性の有無

⑤報酬の労働対償性

⑥事業者性の有無(機械や器具の所有や負担関係や報酬の額など)

⑦専属性の程度

⑧公租公課の負担(源泉徴収や社会保険料の控除の有無)

参考になった数4

03

「時間的、場所的な拘束」が正解です。

選択肢16. 時間的、場所的な拘束

労働基準法における、「労働者の定義」についての問題です。

労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。

具体的には、使用者の指揮命令の下で労働(業務を遂行)し、その対償として賃金を受ける、使用従属関係にある者が労働者です。

最高裁第⼀小法廷判決平8. 11.28横浜南労基署長事件では、上記の定義に該当するかについての判決文からの問題です。

使用者の指揮命令の下で労働しているかどうか?

自己の所有するトラックを所有し、業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、「時間的、場所的な拘束」の程度も、⼀般の従業員と比較してはるかに緩やかで、指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないといっています。

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