薬剤師の過去問
第99回
薬学実践問題(病態・薬物治療/実務、法規・制度・倫理/実務、実務) 問344

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問題

薬剤師国家試験 第99回 薬学実践問題(病態・薬物治療/実務、法規・制度・倫理/実務、実務) 問344 (訂正依頼・報告はこちら)

次の薬物の過量投与時の対応・処置に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • (過量薬物名)炭酸リチウム、(対応・処置)排泄を促進するため補液、利尿薬の投与
  • (過量薬物名)フェノバルビタール、(対応・処置)排泄を促進するため塩化アンモニウムの投与
  • (過量薬物名)ジアゼパム、(対応・処置)解毒薬としてナロキソン塩酸塩の投与
  • (過量薬物名)ヘパリンナトリウム、(対応・処置)解毒薬としてプロタミン硫酸塩の投与
  • (過量薬物名)カプトプリル、(対応・処置)解毒薬として塩化カリウムの投与

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:1.4

1 炭酸リチウムを過量投与した場合には排泄を促進するために補液や利尿薬を用います。

2 フェノバルビタールの過量投与には炭酸水素ナトリウムを用います。炭酸水素ナトリウムにより尿のpHをアルカリ化することで排泄を促進させます。

3 ジアゼパムの過量投与にはフルマゼニルを用います。ナロキソンは麻薬の解毒に用います。

4 ヘパリンの過量投与にはプロタミンを投与します。プロタミンはヘパリンとイオン結合し安定複合体を形成するためです。

5 カプトプリルを過量投与した場合には血圧を回復させるために点滴や血液透析を行います。

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02

【答え】1,4

【選択肢に対する説明】
 1:正.炭酸リチウムの解毒剤は存在しないため、炭酸リチウム過量投与時は、補液や利尿薬によって薬の排泄を促します。

 2:誤.フェノバルビタールは酸性薬物であるため、炭酸水素ナトリウムで尿をアルカリ化することで、尿中排泄を促します。他に利尿薬を用いて尿中排泄を促す方法もあります。

 3:誤.ジアゼパムを過剰投与した場合は、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルを投与します。
   ナロキソンはオピオイドμ受容体拮抗薬で、モルヒネなどの麻薬の過量投与時に用います。

 4:正.ヘパリンナトリウムを過量投与すると出血傾向になるため、ヘパリンとイオン結合し安定複合体を形成するプロタミンを投与します。

 5:誤.カプトプリルを過量投与すると低血圧を引き起こすため、生理食塩液を投与し体液量を増加させ血圧を回復します。
   カプトプリルの副作用に高カリウム血症があり、塩化カリウムを投与するとこの副作用が生じやすくなるため不適切です。

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03

1:正解です。
炭酸リチウムは躁病治療薬です。
炭酸リチウムを過剰投与すると「リチウム中毒」になり消化器症状・傾眠・錯乱・運動障害・発熱・発汗などの症状が生じます。
炭酸リチウムの解毒剤は存在しないため、リチウム中毒になった場合は休薬し、利尿薬や補液によって薬の排泄を促さなければなりません。

2:誤りです。
フェノバルビタールはバルビツール酸系抗てんかん薬です。
これを過剰投与すると中心神経系や心血管系を抑制し、眠気・眼振・運動失調が起こり、重度の中毒では昏睡状態に陥ります。
フェノバルビタールは酸性薬物であるため、炭酸水素ナトリウム投与で尿をアルカリ化すると分子形分立が低下します。
これにより再吸収が抑制されることで尿中排泄が促進されます。
また利尿薬を用いて尿中排泄を促す方法もあります。

3:誤りです。
ジアゼパムはベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
ジアゼパムを過剰投与した場合は、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルを投与します。
ナロキソンはオピオイドμ受容体拮抗薬で、モルヒネなどの麻薬の解毒剤です。

4:正解です。
ヘパリンナトリウムはトロンビン依存性血液凝固阻害薬です。
ヘパリンナトリウムを過剰投与すると出血傾向になるため、ヘパリンとイオン結合し安定複合体を形成するプロタミンを投与する必要があります。

5:誤りです。
カプトプリルはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬で、高血圧に用いられます。
これを過剰投与すると低血圧を引き起こすため、処置として生理食塩液を投与し体液量を増加させ血圧を回復します。
カプトプリルの副作用には高カリウム血症があり、塩化カリウムを併用するとこの副作用が生じやすくなるため不適切です。

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