1級土木施工管理技術の過去問
令和5年度
選択問題 問19

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問題

1級土木施工管理技術検定学科試験 令和5年度 選択問題 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物への対策や補修に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 劣化が顕在化した箇所に部分的に断面修復工法を適用すると、断面修復箇所と断面修復しない箇所の境界部付近においては腐食電流により防食される。
  • 表面処理工法の適用後からの残存予定供用期間が長い場合には、表面処理材の再塗布を計画しておく必要がある。
  • 電気防食工法を適用する場合には、陽極システムの劣化や電流供給の安定性について考慮しておく必要がある。
  • 脱塩工法では、工法適用後に残存する塩化物イオンの挙動が、補修効果の持続期間に大きく影響する。

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この過去問の解説 (2件)

01

塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物に対する様々な対策や補修方法の原理や特徴を理解し、把握しておきましょう。

選択肢1. 劣化が顕在化した箇所に部分的に断面修復工法を適用すると、断面修復箇所と断面修復しない箇所の境界部付近においては腐食電流により防食される。

適当ではありません。

 

断面修復工法は、損傷したコンクリートを補修し、鉄筋を保護する工法ですが、異なる材料や状態の金属が接すると、電位差が生じ、腐食が促進される可能性があります。

選択肢2. 表面処理工法の適用後からの残存予定供用期間が長い場合には、表面処理材の再塗布を計画しておく必要がある。

適当です。

 

表面処理工法は、コンクリート表面に塗料などを塗布して、塩化物イオンの侵入を防ぎ、鉄筋を保護する工法です。しかし、塗料は経年劣化するため、長期にわたって効果を維持するためには、定期的な再塗布が必要になります。

選択肢3. 電気防食工法を適用する場合には、陽極システムの劣化や電流供給の安定性について考慮しておく必要がある。

適当です。

 

電気防食工法は、外部から電流を供給して鉄筋を陰極保護し、腐食を防ぐ工法です。
この工法では、陽極システムの劣化や電流供給の安定性が、防食効果の持続に大きく影響します。

選択肢4. 脱塩工法では、工法適用後に残存する塩化物イオンの挙動が、補修効果の持続期間に大きく影響する。

適当です。

 

脱塩工法は、コンクリート内部の塩化物イオンを抽出する工法です。

しかし、工法後もコンクリート内に残存する塩化物イオンの量や移動によって、補修効果の持続期間が左右されます。

まとめ

腐食電流: 異なる金属が電解液中で接触すると、電位差が生じ、電流が流れ、より卑金属が腐食する現象。

陰極保護: 被保護金属に外部から電流を供給し、その金属を陰極にして腐食を防ぐ方法。

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02

この問題で覚えておくポイントは、塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物への対策や補修に関してです。

塩害を受けにくい場所や地域もあるため、馴染みがあまりない方もいるかもしれません。

選択肢1. 劣化が顕在化した箇所に部分的に断面修復工法を適用すると、断面修復箇所と断面修復しない箇所の境界部付近においては腐食電流により防食される。

不適当です。

劣化が顕在化した箇所に部分的に断面修復工法を適用すると、断面修復箇所と断面修復しない箇所の境界部付近においては腐食電流によりマクロセル腐食が発生する恐れがあります。

ミクロセル腐食もあり、マクロセル腐食のほうが進行がかなり速いのが特徴です。

選択肢2. 表面処理工法の適用後からの残存予定供用期間が長い場合には、表面処理材の再塗布を計画しておく必要がある。

適当です。

表面処理工法の適用後からの残存予定供用期間が長い場合には、表面処理材の再塗布を計画しておく必要があります。

選択肢3. 電気防食工法を適用する場合には、陽極システムの劣化や電流供給の安定性について考慮しておく必要がある。

適当です。

電気防食工法を適用する場合には、陽極システムの劣化や電流供給の安定性について考慮しておく必要があります。

電気防食工法によりコンクリートのひび割れなどの防止が可能です。

 

選択肢4. 脱塩工法では、工法適用後に残存する塩化物イオンの挙動が、補修効果の持続期間に大きく影響する。

適当です。

脱塩工法では、工法適用後に残存する塩化物イオンの挙動が、補修効果の持続期間に大きく影響します。

脱塩工法は、塩害によってコンクリート中に侵入した塩化物を電流にでコンクリート外部に排出し、鋼材の腐食環境を改善します。

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