第一種衛生管理者の過去問
平成26年10月公表
労働衛生(有害業務に係るもの) 問16
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問題
第一種 衛生管理者試験 平成26年10月公表 労働衛生(有害業務に係るもの) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 電離放射線による中枢神経系障害は、確率的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると発生率及び重症度が線量に対応して増加する。
- 熱痙攣は、多量の発汗により体内の水分と塩分が失われたところへ水分だけが補給されたとき、体内の塩分濃度が低下することにより発生する。
- 金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生し、長期間にわたる発熱、関節痛などの症状がみられる。
- 凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
- 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
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この過去問の解説 (3件)
01
(放射線の確定的影響と確率的影響)
確定的影響とは、放射線に被ばくしたときに、ある一定量の放射線以下では症状があらわれず、それ以上の放射線を浴びると症状が出ることをいいます。このある一定量を「しきい値」といいます。
確率的影響は、しきい値が無く、放射線を少しでも浴びた時にある確率で症状が発生することを言い来ます。もちろん放射線量が増えれば増えるほど症状が出る確率は高くなります。
確定的影響はしきい値を超えると症状があらわれ、しきい値未満だと症状がでないと覚えてください。確率的影響はしきい値自体が無く、少しの被ばくでも確率的に症状がでる場合があり、被ばく量が増えると、それに比例して症状がでると覚えてください。
(熱痙攣)
熱痙攣は多量の汗をかいた時などに、水分のみを補充してしまい、塩分等の補給を行わなかったときに、血中の電解質(ナトリウム・カリウムなど)が不足することで、神経や筋肉の働きに障害が起き、痙攣や硬直が起きることをいいます。
(金属熱)
金属熱は、作業中に金属ヒューム(金属の粉じんや蒸気)を吸い込むことで、発症します。いずれも1日程度で回復し、後遺症はないとされています。
(凍瘡)
凍瘡は、いわゆるしもやけのことで、気温が4~5度ほどで、一日の温度差が10度以上のときに起きやすいといわれています。
(減圧症)
気体は高圧下では体積が小さくなり、減圧下では体積が大きくなります。減圧症は、高圧下で体積が小さくなり血液中に溶けていた気体が減圧下で体積が大きくなり、血管をふさぐことで起きる様々な症状のことです。
空気中には窒素が80%含まれているので、減圧症では主に窒素が原因物質となります。
では問題をみてみましょう。
1.誤りです。確率的影響にはしきい値が無く、少量の被ばくでも症状がでる確率が存在します。
2.正しいです。
3.誤りです。金属ヒューム(粉じんや蒸気)を吸い込むことで起きます。
4.誤りです。凍瘡は4~5度で起きやすくなります。
5.誤りです。正しく見えますが、酸素ではなく窒素が原因となります。
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02
1.× 「確率的影響」ではなく、「確定的影響」となります。
2.〇 「熱痙攣」は、発汗により体内の水分と塩分が失われたところへ水分だけが補給されたときに、体内の塩分濃度が低下することによって発生する症状です。
3.× 「高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生」ではなく、「発生するヒュームを吸入するときに生じる疾病で発生」となります。
4.× 「凍瘡」ではなく、「凍傷」となります。
5.× 「酸素」ではなく、「窒素」となります。
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03
2の熱痙攣は、熱中症のⅠ度に分類され、発汗に伴う塩分の欠乏により生じるため、正しいです。
3の金属熱は、「主として亜鉛や銅のヒュームが空気中で酸化された酸化亜鉛や酸化銅などを吸入して数時間後、特に帰宅後や就寝中に悪寒と発熱、関節痛などの症状がみられるもの」で、「体温調節中枢の麻痺」は関係ないので、誤りです。
4の凍瘡は凍傷とは異なり、寒冷による血行障害が原因で起こり、患部が赤く腫れるものであるため、誤りです。
5の潜水業務における減圧症は、高圧の環境下で血液や組織中に溶解した窒素ガスが、減圧時に気泡化し起こるものであるため、誤りです。
よって、2が正解です。
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