第一種衛生管理者の過去問
平成29年4月公表
労働生理 問44

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問題

第一種 衛生管理者試験 平成29年4月公表 労働生理 問44 (訂正依頼・報告はこちら)

体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。
  • 高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。
  • 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
  • 計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。
  • 放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

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この過去問の解説 (4件)

01

誤っているものは「高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。」です。

選択肢1. 寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。

本肢は、そのとおりです。

選択肢2. 高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。

高温にさらされ、体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が減少し、体内の代謝活動も減少します。その結果、人体の放熱が促進されます。本肢では、「増加」や「亢進する」との語句がありますが、誤りです。

選択肢3. 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

ホメオスタシスの定義です。

選択肢4. 計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。

本肢は、この表現で正しいです。

選択肢5. 放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

これも過去問中心主義で十分解答ができます。正しい肢です。

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02

「誤っているもの」を答える設問です。

選択肢1. 寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。

正)記述のとおりです。

体温を維持します。

選択肢2. 高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。

誤)

設問の場合、内臓の血流量が「減少」し、代謝活動を「抑制」して、放熱が促進されます。

低温の場合は内臓に血が集まり熱を逃がさないようにします。高温の場合は皮膚に血が集まり、熱を逃がすと理解しましょう。

選択肢3. 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

正)記述のとおりです。

選択肢4. 計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。

正)記述のとおりです。

気化熱とは1gの液体が同じ温度の気体になるときに吸収する熱のことで、水1gが蒸発するときの気化熱は約0.58kcalとされています。

したがって、設問の100gの水分が蒸発するときの気化熱は58kcalとなります。

一方、人の比熱(1kgの人の体温を1℃変化させるのに必要な熱量)は0.83kcalです。

なので、70kgの人の熱容量(重量×比熱)70×0.83=58.1kcalとなります。

以上により、双方58kcalとなり、設問の理屈になります。

選択肢5. 放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

正)記述のとおりです。

なお、ふく射とは温度の高い所から低い所へ熱が移ることをいい、不感蒸泄とは皮膚および呼気からの水分喪失をいいます。

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03

誤り:「高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。」

選択肢1. 寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。

正しい、記述のとおりです。体温が上昇しすぎるとときはその逆の作用で放熱が増加します。

選択肢2. 高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。

誤り

体温調節の仕組みとしては、体温が正常以上に上昇するとまず「血管が拡張」します。その次に「血液量が増加」し表面積が増えることで「放熱が増加」して体温を下げます。設問では代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進されるとありますが、これだけでは放熱の役割を果たせないため誤りです。

選択肢3. 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

正しい、記述のとおりです。

選択肢4. 計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。

正しい、記述のとおりです。

選択肢5. 放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

正しい、記述のとおりです。不感蒸泄とは、発汗していなくても失われていく水分蒸発のことをいいます。

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04

誤っているものは「高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。」です。

選択肢1. 寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。


正しい記載です。寒冷な環境では皮膚の血管は収縮し、血液量は減少して放熱が減少し、皮膚温は低下します。

選択肢2. 高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。

×
誤りです。高温にさらされて体温が正常以上に上昇すると、体内の代謝活動は低下します。一方、皮膚の血管は拡張して血流量が増加し、放熱が促進されます。

選択肢3. 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。


正しい記載です。体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みのことを恒常性といいます。これは自律神経系と内分泌系により調整されています。

選択肢4. 計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。


計算上、体重70kgの人の体表面から100gの汗が蒸発すると、気化熱が奪われて体温が1度下がります。

【詳しい解説】水(汗)が100g蒸発するときの気化熱は約58kcalです。一方、人の比熱(1kgの人の体温を1度変化させるのに必要な熱量)は0.83kcalです。

70kgの人の場合、体温を1度変化させるには0.83×70 = 58.1kcal が必要になります。これは水が100g蒸発するときの気化熱の値とほぼ同じになります。

以上から、理論上は体重70kgの人から100gの汗が蒸発すると体温が1度下がることになります。

選択肢5. 放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。


正しい記載です。

参考になった数34